愛の詩 ~言葉のない想い~

華ノ月

想い

 あなたと付き合うようになって一年・・・。

 

 ネットカフェのリビングルームで横並びに座る。


 あなたに寄り掛かってゆったりとした時を過ごす。


 マスクはしたまま・・・。


 あなたは今、猛威をふるっている感染病を心配してキスをしてくれない。


 分かっているの。


 もしその感染病にかかっていて、うつしてしまったら申し訳ないからキスをしないことは・・・。


 でもね、私は時々不安になるの・・・。


 あなたは優しい人だものね。


 だからつい考えてしまうの。


 

「こんな私を一人に出来なくて同情で付き合っているのかもしれない」って・・・。


 

 私が寂しそうな表情をする。

 

 あなたはきっと私が不安がっていることに気付いている。


 その原因が「キスをしていないこと」も分かっている。


 でも、あなたはあえてその話題をしない。


 時々、問いたくなってしまう。


「私のこと、ちゃんと好きですか?」と・・・。


 分かっているのにね・・・。


 だって、私のことをすごく大切にしてくれているもの・・・。


 キスができないくらいで不安にならなくていいのは分かっているのだけど、考えてしまうの・・・。



「本当は本命がいるんじゃないの?」って・・・。


 

 だから、キスしてくれないのかもしれないって考えてしまうの・・・。



 私の表情に気付いたのか、あなたが私を抱きしめる。


 強く・・・。


 強く・・・。




 その力強い抱き締め方からあなたの「想い」が伝わってきた・・・。。


 言葉はない・・・。


 言葉のない『言葉』が伝わってくる・・・。







  『愛してるよ・・・・・・』




(完)

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