第13話 探索者能力値(シーカーパラメーター)の更新
退院した日、俺はすぐに家に戻った。
佐藤先生から念の為、今日は休むように言われ、学校は明日から行くことにした。
つまり今日は何もない用事がない日になったわけだ。
俺は、いつも通りの薄暗い道を懐かしみながら、ゆっくりと歩く。
まだお昼だというのに、日差しは一切、差し込んでおらず、不気味さを感じさせた。
本当によくもまぁ、こんなところに住んでいるなと思う。
ダンジョン病院でも、太陽の日差しは毎朝浴びれるのに。
まぁこんなところに住んでいるのって俺らぐらい出し、比較するのもお
見慣れた薄汚い壁、少し触れるだけで手先が黒く変色する、本当に汚い。
「帰ってきた感じがするな」
左腕にはまだギプスがつけられているし、感覚もきちんとある。
ただ、少し動かすだけで激痛が走るので、動かさないようにも意識している。
佐藤先生の話では、左腕が完治するのに最短で3週間、長くて1ヶ月以上かかると言われた。
まぁ、仕方がないことだ、それほど重症だったんだから。
むしろ、あの状態で3週間から1ヶ月で完治するならいいほうだ。
しばらくは、右手で魔物と戦うしかないのが、いささか不便ではあるが。
「不便だな……」
いろいろと考えていると、気づけば、我が家の前に立っていた。
「ふぅ~~緊張するな~~~」
別に緊張する必要はないのだが、なぜか緊張してしまう。
8日ぶりだからだろうか。
俺は右手に鍵を持ち、鍵穴に刺した。
「ガチャッ」と音と共に我が家であることを実感する俺は、慎重に家に入ると、先は真っ暗、電気一つついていない。
「まぁ、誰もいないよな」
現時刻、愛華は学校で留守で、現在、家には俺一人。
俺はリビングに行き、しばらく、ゆっくりと過ごした。
「暇だな……」
こうして、家でゆっくりとテレビを見ることなんてない俺は、完全に暇を持て余していた。
「そういえば、由紀さんってどんな人なんだろう……」
唐突な思い付きだった。
俺が目指す目標である
俺は何も知らないのに彼女を目標にしていていいのだろうかっとふと疑問に思ったわけだ。
世間的に由紀さんはかなりの有名人のようだし、下手をすれば、愛華のほうが俺より詳しい可能性だってある。
(俺はもっと彼女のことを知るべきじゃないのか?)
由紀さんのことは
「よしっ、
俺は
探索者協会の前。
「ここも、何だか久しぶりだな……なんてな」
俺は
「あっ……」
すると、菜々花さんがこちらに気づくと、手を振って。
「日向くん~~~~~~!!!!」
「声が大きいですよ」
「あ、ごめんさない。それより、そのケガ……大丈夫じゃなさそうね」
「ええ……」
俺の左腕を見るや否や可哀想な瞳でこちらを見つめる。
「でも、生きててよかったよ。ダンジョンの出入り口からいきなりボロボロな状態で出てきたときは本当に焦ったんだから!!」
「す、すいません……」
後で聞いた話だが、ボロボロになった俺を見て、最初に駆け付けたのは菜々花さんだったらしい。
その後の迅速な《シーカー》応急処置やダンジョン病院の手配なども全てをやってくれた。
「もう、
「わ、わかりました」
「わかったならよし、はいこれ……」
そう言って、渡されたのは、現金が入った封筒だった。
「な、なんですかこれ?
「ちがうわよ。日向くんが病院に運ばれたときに、荷物とか全部、こっちで預かったの。その時に入ってた魔石分の換金よ……」
封筒の中身を覗いて数えると、125万円が入っていた。
(125万、125万、125万、125万、125万、125万……)
俺の頭の中はお金の金額で埋め尽くされ。
「はっ!!」
すぐに我に返る。
「だ、大丈夫?日向くん……」
「あ、はい!その金額が金額なので……」
「そうだよね。もしこれからもこのぐらいの金額になるなら、銀行の登録しておいたほうがいいね……」
「そうですね」
(そうか、そういえば、あのポケットに魔石が15個ぐらい、はいってたっけ)
まぁ、よかったよなっとホッとする。
こういう場合って、荷物没収されてそのままの場合もあるし。
「あっ!そうだ、菜々花さん……」
「なに?」
「今から、
「更新?ちょっと待ってね……」
言うなれば、その
そこには、レベルとスキルとスキルランク、アビリティ、魔法が記載さており、その情報でその
レベルは文字通り、その
スキルは
まぁ、スキルを二つ以上持つ
スキルランクはそのスキルの練度を表す。
最初にスキルが発現するとき、誰もがスキルランクEから始まる。
スキルランクの段階はEからはじまりSが最高ランクに設定されており、
スキルランクの上げ方は人それぞれだが、死線を乗り越えてのスキルランクアップや、鍛えることでスキルランクをあげたりと、あげ方はいろいろ。
魔法は、ダンジョン内でのみ使用が許可されており、基本外では使用してはならない。
取得方法としては、
理由としては魔法は基本、後衛の仕事になるため、役割としてサポーターにもならない限り、取得するメリットがないのだ。
だが、魔法にもしっかりとメリットがあり、一度習得すれば、鍛えるなどをする必要がない。
つまり、魔法にランク差は一切ないのだ。
アビリティはスキルとはまた違う位置づけ、簡単に言うなら、その人の能力のことで、才能といってもいいかもしれない。
言い換えるなら、
持っている人はごく少数で、未だにアビリティ関しての謎が多い。
一様、アビリティにもランクが存在するが、スキルよりも遥かに上げづらく、持っている人でもあまりアビリティを気にしていないと聞く。
「日向くん。更新ができますよ」
「すぐにお願いします」
「じゃあ、こちらへお越しください」
しばらく、菜々花さんの後ろへついていくと、派手に装飾された大きな扉の前に連れていこられた。
「いつも思うんですけど、派手過ぎません?」
「それは、大條会長に言ってください」
大條会長のセンスは少し、周りとずれている気がする。
「それじゃあ、どうぞ中へ……」
「ありがとうございます、菜々花さん」
俺は扉を開けるとそこはどこまでも続く暗闇が続いていた。
「これで、2回目だけど、やっぱり慣れないな……」
どこを見ても闇一色、一切何も見えない。
「よし!!」
俺は勇気を振り絞り、扉の先へと足を踏み入れると、開いていた扉が勝手に閉じた。
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なんか、いいキャッチコピーはないかな?
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