第7花 作戦会議と恥ずかしさ

「ここだね。ホームセンターだった場所」


「ぽ」


 さきとシトは、とある跡にやってきた。

 そこには、建物の石や鉄材の残骸、割れた鉢植、潰されたショッピングカート、爆発したように飛び散っているレジスターなどが散乱していた。


「除草剤、除草剤……。あ、あったよ」


 咲は落ちていた白いポリタンクを持ち上げた。草の絵が描かれているラベルが剥がれかけてあり、かろうじて除草剤だとわかる。


「さて、どうやってあの花にかけようか」


 咲は辺りのくろ浜茄子ハマナスを見渡した。

 花びらは波打つように揺れ、花粉が舞い、建物や車両が次々と黒浜茄子と化していく。


「あれで、試してみよう」


 咲は、ホームセンターの社用車で、軽ワゴン車黒浜茄子を指した。


「いい? わかりやすく説明するつもりだけど、わからなかったから、すぐ言って、いや、首を傾げてね?」


「ぽ」


 シトは頷いた。


「まず、あなたは悪いけど、四つん這いになって土台になってほしいの。こうやって」


 咲は地面に膝と手を突いた。


「ぽぽ」


 シトは咲を真似して四つん這いになった。


「そうそう。そうしたら、あなたの背を蹴って駆け上がるから、肩を踏むのと同時に、私の足を掴んで投げ上げてほしいの」


「ぽ?」


 シトは四つん這いのまま首を傾げた。


「んーと」


 咲は立ち上がり。


「あなたの肩を」


 シトの両肩をポンポンと叩き。


「蹴って跳ぶから」


 自分の両足を触り。


「足を掴んで投げて欲しいの」


 地面に座るとスニーカーの靴底をシトに向けた。


「ぽぽぽぽぽ」


 シトは急に顔を赤らめ、大きくきれいな手で顔を覆った。


「え、何で赤くなってんの」


「ぽ……」


 シトは長い人差し指で咲の下半身を指した。


「ん? ああ、下着が見えちゃったか、スカートだもんね」


「ぽぽぽ」


 シトはぶんぶんと大きく頷いた。


「……女の人の下着、見た事ないの?」


「ぽ?」


「わかんないか。自分のこともわかんないんだもんね」


「ぽぽ……」


 シトは四つん這いの体を縮こませた。


「だから、責めてないってば」


 咲は立ち上がり、スカートを直すと、シトの頭をポンポンと軽く撫でた。


「ぽぽ」


 シトは嬉しそうに目を細めた。


「じゃあ、試してみよう。あの花を減らして、生きていくために」


「ぽ」




 — — — —



 あとがき。


 シリアスとほのぼのを混ぜていく、所存でございます。……この回がほのぼの、なのかは、聞かないでください(苦笑)


 次回、跳ぶよ! な、化け物花との戦闘になりますっ。


 この作品は、ホラーなのか現代ファンタジーなのか恋愛なのか。ジャンル迷子な至らぬ作品に、よければ愛のフォローなどをー。

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