仲間
電車を降りたところで、私は二人組の男たちに捕まった。
「おい、アンタ」
手を取られ、捻り上げられる。
「い、ててて!」
「痴漢しただろう」
「痴漢シタダロウ」
一人はダルダルの服を着た、ハゲの若者。
もう一人は、ハゲの外国人だった。
「ご、誤解だ」
「嘘を吐くな。さっき、そこの女子高生に傘を使って嫌がらせしてたじゃねえか」
「違うんだ! 聞いてくれ」
伊代さんに目を配り、「説明してくれないか?」と頼む。
とりあえず、私たちはベンチに座り、触手の事を話した。
初めは信じてもらえなかったが、伊代さんの説明があったおかげで、半信半疑という形で、二人は私を解放してくれる。
「じゃあ、何か? そのキモイ生き物が、あの電車にいるってことか?」
「そうだ。今日だって、傘で潰そうとしたが、すばしっこくて捕まえられないんだ」
二人は腕を組み、電車の行った先を見る。
「それが本当なら、マジで一大事だな」
「嘘は吐かない。何なら、協力してほしいくらいだ」
「呉サン。協力シマショウ」
熟考の末、呉と呼ばれた若者は膝を叩いた。
「分かった。なら、明日同じ時間に電車に乗ってくれよ。証明してくれ」
「私はいいが。伊代さん。明日、部活は……」
「ありません」
「うん。なら、明日こそ、触手にリベンジだ」
新たに決意をして、私は立ち上がった。
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