第16話

さっきまで話し声がきこえていた会場。今はみんな静かになり、式が始まるのを待っている。私も長椅子に座って、みんなと同じように前を見ていた。


そのとき。


カチャ。

と後ろから音がした。


扉を開けて入ってきたのはアオさんだった。変わらない。サラサラな黒い髪。小さな声で「すみません。」というと、手を顔の前にしてごめん、とポーズを取っている。アオさんは扉に一番近い席に座った。あまりに優雅な動きについうっとりしてしまった。

初めてアオさんを見た、あの時と同じように。私は彼のことを見つめてしまう。

司会の人が話しはじめ、私は慌てて前を向いた。

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結婚式 甘夏みかん @na_tsumi

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