第14話

部会で私たちは部長の話をきいていた。みんなメモ帳をだして、サークルの予定をかきこんでいる。「もうすぐ学祭でーす。来週から前14夜祭が始まります。」耳を疑った。「前夜祭」はきいたことがあるが、前14夜祭は初めてきいた。14日連続で飲み会が行われるのだ。先輩から、学祭はやばい、ときいていたが、もうすでにやばそうな予感がしていた。「これは出席自由だから。前夜祭はみんな参加ね。」

前14夜祭が始まり、私たちは部室に集まった。1日目は10人ほどが集まった。毎年、学祭が近づくにつれ徐々に人数が増えていくらしい。「あ、ユウさんだ。」仲の良い先輩がいて嬉しくなった。「あ、オトちゃん。」先輩たちと話していたら、「アオは?」と誰かがいった。「あいついたらおもろいよな。呼ぶか。」

ドキドキドキ。

アオさんが来る、かもしれない。

「あいつのために飲みすごろく作ろうぜ。」「どうする?」「バナナの皮ですべって転ぶ。1杯飲む。」「良いね、それ(笑)」「良い天気だった。1杯飲む。」みんなで案を出し合い、先輩が紙にすごろくをかいていった。「全部飲むじゃないですか。」と私が言うと、「大丈夫、飲むのはあいつ(アオさん)だからさ(笑)」とユウさん。アオさんってああ見えて結構いじられキャラなんだよなあ。先輩たちと楽しく飲みながらアオさんのことを待った。「あいつ遅いな。」「ラインだ、もうすぐ着くって。」

・・・ガチャ。ふいにドアが開いた。入ってきたのはアオさんだった。

あ、アオさんだ。「遅くなってすいません。」「アオ、大丈夫。もう準備はできてるから。」「なんすか、これ(笑)」アオさんがすごろくを見て笑った。

そのとき1年のレイナちゃんたちが「私たち、明日1限あるのでそろそろ。」と言った。時刻は12時を過ぎていた。「そうだよね。1限ある人は全然帰って良いよ。」と先輩がいった。先輩のその言葉で、半分くらいがぞろぞろと立ち上がった。「ウタちゃんは?」とユウさんがきいてきた。「私1限あります・・・」「じゃ、帰ったほうが良いよ。」「でも・・・」「単位が大事だし。」「はい。」自分だけ、残ります、とは言えず、しぶしぶ立ち上がった。せっかくアオさんがきたのに。「俺も明日1限なんで~」とアオさんが言うと、先輩たちに、お前はだめ、と引き留められた。「一年のみんなごめんね。すごろく楽しみに待ってたのに(笑)」とユウさん。

誰かが、先輩はどうするんですか、ときいた。「俺らは朝まで飲むか、ここで寝るよ。」といった。部室に布団があるのは今日みたいな日のためか、と納得した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る