第13話

女子部屋を見ると、布団がひかれていた。「小原さん、枕投げしよー!」男の人と二人で女子部屋に来るのは良くないことだが、小原さんは優しいので安心していたのである。「枕投げ?なつかしー。」私たちは二人で枕投げをして遊んでいた。すると、チハルちゃんたちが来た。「何やってんのー?」「キャー!」「やったな!」・・・「はあ、疲れた(笑)」「トランプする?」「良いね!」「待って、酒持ってくる。」と小原さん。「私もー」完全に楽しくなった私たちはルンルンでお酒を取りに大広間(みんなで飲んでいた場所)に戻ってきた。大広間に戻ってくると異変を感じた。さっきまで瓶のふたを加えてバブバブ言ってた部長。それを見て笑っていたみんな。そんな賑やかさはなくなっていて、緊張感が漂っていた。「どうしたんですか?」近くにいたカオリさんたちにきいた。「アオがさ、急に文句言ってきて。」「そう。女子はもう寝ろ。危ないからって。」「ウチらだって飲みたいし!マジあいつなんなの。」「アオ調子乗ってない?」アオさんたちのほうを見ると、集まって話している。トランプをできるような空気ではなくなったため、私たちも寝ることにした。女の先輩たちは「マジ男子って勝手だよねー」などと布団の中で愚痴っている。

なんでアオさんそんなこと言ったんだろう。

アオさんってやっぱり何考えてるかわかんない。

朝七時。目が覚めた私は起きて、トイレに行くことにした。まだみんなは寝ている。今日は帰る日だ。そういえば昨日、二人で消えていったカップルはどこにいるのだろう。まだ部屋には戻ってきてないようで、その子の布団は空っぽだった。

トイレを出て、誰もいない廊下を歩いた。合宿所は昨日の夜とうってかわって静まり返っている。窓から外を見るとほのかに明るくなっていた。どこからか冷たい風が足元を吹きぬけた。

「?」

廊下の途中にあった部屋を覗くと、洗面台が6つと鏡が並んでいた。

そこに、アオさんがいた。

アオさんは鏡を見ながら髪を直している。

あれだけ話したかったアオさんが目の前にいる。

しかも、二人きり。

「お疲れ様です。」

「お疲れ。」

アオさんはいつもよりかすれた声で答えた。寝起きの声だ。

鏡を見ているアオさん、絵になるなあ。

白いシャツを着て、ネックレスをつけていた。なんとなくシャツは無印良品かな、と思った。アオさんがいつかの飲み会で好きなブランドをきかれた時。無印、と答えていたからだ。

「ラッキー」と思いながら、私は女子部屋に戻った。

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