63話 Legendary Fire Mother 転


―― 佐藤のり子 ――


 どういうことなの、どういうことなの!? お母さんの特攻服の写真を渡しただけでセッカちゃんが配信もままならないくらい縮み上がっちゃったんだけど!?

 

「セッカちゃん、大丈夫ですか!? 何が起こったんですか!?」

「ちょっと時間くれ――ください」

「私に敬語なんて蒼火セッカらしくないですよ! 落ち着いて! セッカちゃん、モニターを見てください」

「モニター?」

「いまセッカちゃんと喋ってるのは、配信歴ひと月にもならないセッカちゃんの後輩です。そして間違いなく年下です。せめて敬語は控えましょう。普段と違う、慣れない言葉遣いを止めるだけでも落ち着くと思いますよ」

「あ……ん、んんん……分かった、敬語、止める。頑張る。ちょっと、事務所の、電話、出る」


 セッカちゃんが人間社会に触れたばかりの野生児みたいになっちゃったよ……だいぶ心を抉られちゃったみたいだなー。

 事務所からの電話に出てるみたいだけど、声が遠くて何を話してるか聞き取れな――


『だから悪いって言っとるだろうが! あぁもう、ホントに不意打ちなんだよ! 百回でも土下座してやるから、今は紅焔嬢と話をさせろ! 切るぞ! 後で謝るからな! ごめんなマネちゃん!』


 うおぉん!? セッカちゃんのお怒りの声、迫力あるなー! 私、何か怒らせちゃった? 心当たりが全く無いんだけど……。

 

「ごめん、お待たせ紅焔嬢」

「はい……その、私、何か失礼をしてしまいましたか?」

「ううん、大丈夫だ。さっきの怒鳴り声聞こえちまってるよな。悪いのは全部あたしだから、紅焔嬢は何も悪くないよ」

「いったい何がどうなってるんですか? 状況がちんぷんかんぷんで」

「ちょっと話すと長くなる。でもリスナーが待ってるから、できるだけ手短に話せるよう頑張るよ。

 まずは君のおふくろさんの特攻服について話さなきゃいけない。紅焔嬢。この特攻服――いや、おふくろさんが所属していたチームについて、彼女自身から聞いてないかい?」

「いえ。リアル武勇伝とか、ぜんぜん興味無かったので。でも、お母さんも自分から話そうとしなかったから、聞かなくてもいいことなんだなって思っています」

「あー……本当に良い人なんだな、おふくろさん。確かに、暴力の話なんて娘に聞かせられないよな。母親の鑑だと思う」

「でもお母さん、『ヤンキーに喧嘩売られたら、売った相手が全部悪いから問答無用でぶちのめせ』って言う人ですよ」

「あ、うん。ごめん。そういや、ヤンキーに対して異常なまでにストイックな方だったわ、あの人」

「会ったことがあるんですね」

「本当にちょっとの間だけどな」


 我が家との関係がどんどん深まってきたぞ。嫌だなー、推しとこんな暴力めいた関係持ちたくなかったよ。

 

「紅焔嬢。この特攻服には右前半身にチームの名前が書いてあるんだが、読めるか?」

「えーと……『てるれふしこうら』ですか」

「『コー』――不良の界隈では有名を超えて伝説のチームだった。チーム共通の紅色の生地。そして胸元に蒼ハートのアップリケ。そのハートはテレプシコーラ総長にだけ許された特別仕様だ。構成員は君のお母さんと、その下についていた男子4名」

「伝説の……そんな大層なチームのリーダーだったんですね」

「今から15、6年くらい前かな。当時の関東は強豪がひしめく群雄割拠の黄金時代だったんだ。血で血を洗う抗争が毎日のように起こっていた。といっても一部の地域だけだから、ニュースでもそう大きくは取り上げられなかったけどな。喧嘩に喧嘩を重ね、チームは少しずつ数を減らしていった。そしてとうとう大きな5つのチームにまで統一され、チーム総員、延べ500余名にもなる勢力争いにまで発展したんだ。後の関東大抗争と呼ばれる時期だな。

 だが、そのチームは――テレプシコーラは、関東一帯を武力で制覇し、大抗争を終結させちまった」

「はあ。制覇ですか」

「ああ……」

「……?」

「お、おい? 関東制覇って言ったよ、あたし。500人を5人でぶちのめしたんだぞ!?」

「はい、大丈夫です。聞いてましたよ」

「感想そんだけ!? 関東制覇だぞ!? リアクションペラペラすぎないかい!?」

「なんで喧嘩ふっかけたのかよく分かんないな、とは思いましたけど。ただ、お母さんと同じくらい強い人が5人もいればやれそうだなって。今でも30人くらいなら取り囲まれても軽くひねる人ですから。その大きなチームがそれぞれ100人いたとしても、5人で割れば20人でしょ? それを5回繰り返せばできるかなって、ふんわり単純計算しました」


 あれ。セッカちゃん固まっちゃった。どうしたんだろう。


「………………すげえ。ジョークで言ってないってトコが恐ろしいな。君があの人の娘さんという事実に納得しちまうよ。

 悪いけど、この写真は絶対に公開しないでくれ。紅焔嬢の身元がバレちまう」

「分かりました」


 あ、あぶねー……事務所の監査が通ってたのは、単に事務所側の知識に引っかからなかっただけなのか。拡張子さん、ナイスアシスト。

 

「ごめんなさい、話の腰を折ってしまって。その伝説のチームのリーダーがお母さんだって話は分かりました。でもそれが、どうやって私と繋がるんですか?」

「そのおふくろさんが縁で、あたしは紅焔嬢と会ったことあるんよ。5年位前に」

「ヴェ!?」

「まー、縁っていっても薄いもんだけどね。おふくろさんの噂を聞いて探しに行った時、たまたま紅焔嬢と出会っただけだし。

 ここからあたしの昔話をするよ。あたしが服を見て挙動不審になっちまった理由を説明するためにね。

 GSに所属する前――あたしが15、6歳になった頃だ。テレプシコーラの関東制覇後、彼女たちを含めたそれぞれのチームは解散して次の世代のチームが台頭し始めた。あたしらの世代だな。

 もちろんテレプシコーラは伝説のチームとなっていて、あたしも彼女たちに憧れてドロップアウトした、典型的なヤンキーだった――」



―― 赤羽根せつな(後の蒼火セッカ) ――


 不良になったきっかけは些細な反抗期からだ。当時は家庭関係も上手くいっておらず、顔が会えば口喧嘩をしたり、数日間の家出なんかしょっちゅうだった。ちょうどグレ始めたタイミングでテレプシコーラの噂を聞いて真似事を始めたら本格的にヤンキー化しちまったことも本格的なドロップアウトの原因だろう。ギリギリの成績で中学を卒業し、最底辺の高校へ進学した頃には、それなりに名前の知れたヤンキーとなっていた。

 当時のあたしは負け知らずだった。毎日のように喧嘩に明け暮れ、男女関係なく相手のことごとくをぶちのめしてきた。順当な不良ライフを送っていたと思う。強敵に恵まれ、友人に恵まれ、警察と顔なじみになるくらいはバカな事もやった。スリルと隣り合わせの人生は、それなりに楽しんでいたよ。

 そのうち地元じゃ敵がいなくなった。敵がいなけりゃ刺激も減る。危機も感じない退屈な毎日とすれ違いばかりの家庭に苛立ちを感じ始めていたあたしは、とある噂話を聞いた。

 

 テレプシコーラの総長が隣町に住んでいる。


 あたしは居ても立っても居られず、すぐさま隣町へと駆けつけた。もちろん、伝説へ喧嘩を吹っ掛けるためだ。いわゆる度胸試しという名目もあったが、実際は思い切り暴れてスカッとしたかった。

 相手は10年のブランク。対してこっちは現役バリバリの喧嘩屋である。負ける気はしなかった。『テレプシコーラ総長の特攻服、土産に持って帰ってやんよ!』と友人に意気込んで自前のバイクにまたがった瞬間が不良人生最大のピークだっただろうな。


 隣町は地元にも負けず劣らずの荒れ模様だった。新参者のあたしは少々喧嘩を吹っ掛けられたが、威勢ばかりの腰抜けどもばかりで相手にならなかった。

 小一時間ほどバイクで駆けずり回るも成果は出ず、大きめの公園にでも入って休憩しようと敷地に踏み入れたことで、あたしの人生は大きく動き始めることとなる。


 ひとりの女の子が公園で踊っていた。無線ワイヤレスイヤホンを両耳にさして、スマホから曲を流しているようだ。近くにランドセルが置いてあったから、小学校の高学年くらいだっただろうか。とりあえず敷地内にバイクを停め、そのバイクへもたれかかりながら女の子のダンスをぼんやりと眺めることにした。踊っていたのは当時流行っていたアイドルのダンスだろう。素人目から見ても上手いと言わざるを得なかった。

 とはいえ、当時のあたしは不良人生の真っただ中。自分のエゴを貫き通して拳一つで成り上がる人生こそが最高の生き方だった。チャラチャラした服を着て気持ち悪い愛嬌を振りまきながら男に媚びて金をむしり取る、あたしとは真逆の生き方をするアイドルの存在は大嫌いだった。どうしてそんなダサい生き方ができるのだろうか。どうしてあんな生き物に憧れるのだろうか。当時のあたしには何も理解できず、少しだけ苛々を募らせながら見ていた矢先――。


『あのー……お邪魔しちゃいましたかね』


 なんと少女が話しかけてきた。バリバリの革ジャンヤンキースタイルで全身武装したあたしに、である。度胸があるのか、自分は安全だと勘違いしているのか。その能天気さに呆れながら、あたしはバイクから離れて女の子へと近寄った。

 なかなか可愛らしい女の子だった。まるで人を殴ったことが無いと言わんばかりに綺麗な手。傷跡ひとつ無い体。自分とは生きる世界が違う人種だ。


『別に。金でも払わなくちゃいけなかったか?』

『いやいやそんな、ただの練習ですから! お姉さんもアイドル、お好きなんですか?』

『そう見えるかい?』

『硬派に見えて、実は好きという方もいますから。じゃあもしかしてお姉さん、実は事務所のスカウトの人だったりしますか!?』

『いや、ちげーけど……』

『そっか、残念です。じっと見てたから、もしかしたら、と思ったんですけど』


 なんだこいつ。馴れ馴れしいな。脳みそが天気すぎる。住んでいる世界が別過ぎてイラついてくる。

 小学生からお高そうなスマホとワイヤレスイヤホンを持って、勉強もせずアイドルごっこか。何も苦労を知らずに育ってきた 金持ちのガキお嬢 がやりそうなことだ。


『なんつーか……楽しいか?』

『はい! 楽しいです!』

『ふーん。アイドル目指して、ご苦労なこった』

『は?』

『アイドルって、オタクにチヤホヤされて媚び売って、CDや握手券を何枚も押し付けて金を儲けるアコギな商売だろ。踊って口パクして可愛い可愛い言われてニコニコしていれば何千万と貰える楽な仕事だろ。あたし、そういう軟派なヤツらは大嫌いなんだ。

 アイドルの追っかけなんかも嫌いだな。気持ち悪い口調して汚らしいし、同じ人間として見ていて恥ずかしさすら覚えるぜ。

 だからお前のように、能天気にアイドルなんか目指している阿呆を見ると苛々してくるね』


 家庭ので何日も家に帰ってなかったし、人探しも手掛かりが無くて苛ついていた。やや憂鬱な自分とは対照的に目の前で楽しそうに振る舞う女の子が気に障ってしまい、ちょっと魔がさしてしまったのだろう。言わなくてもいい罵倒をついつい口に出してしまった。

 晴れ間のような笑顔だった女の子の顔が一瞬で曇る。

  

『ちょっと……いくら嫌いだからって、言い過ぎじゃない?』

『別に。思ったこと言っただけだ。嫌いなものを嫌いと言って何が悪い。

 そういや最近ニュースで、どっかのアイドルが精神病んで自殺未遂して人生終わったって事件もあったよな。なんで自分のやりたいことが我慢してまでチヤホヤされてえんだ。理解できねえな。はっきり言って、バカだろ』


 冷静に考えれば偏見だらけで的外れもいい意見だ。一生懸命努力して夢を追いかけている人間に対して、思い切り冷や水をぶっかける行為。そりゃ怒る。誰だって怒る。

 当然、女の子も怒る。

 

『あたしは何も間違ったこと言ってねえぞ。悔しかったら何か言い返してみろよ。殴り返してみろよ。できるならやってみろよ゛ッ!?』


 最後まで言葉に出し切ることができなかった。胸ぐらを掴まれたかと思えば、顔面の目前まで引き寄せられた。眼前には犬歯をむき出しにして怒りの形相で睨みつける女の子の顔。とても小学生とは思えない眼力と威圧感だ。振りほどこうとしても女の子の手は万力のように私の服を掴んで離さない。


『誰が――バカだって?』

『あ?』

『私の前で、誰をバカにしたかって聞いてんだよ。相手の名前ぐらい言えよ。言えねえのか? あ?』

 

 未曾有の体験だった。小学生の女の子が、今まで会ってきたどんなヤンキーよりも遥かに恐ろしい殺意を放っていたのだから。暴走族のヘッドよりも、学生ギャングのリーダーよりも、ずっとずっと別次元の怪物だ。

 

『名前なんて知るかよ! 離しやがれクソガキ!』

『ロクに知りもしねえくせに、口だけの薄っぺら女が……ふざけんな! いいかよく聞けカス女!』


 もう完全にスイッチが入ってしまったらしい。女の子は一気に私へまくしたてた。

 

『アイドルが楽な仕事だと? 軟派な奴だと? ふざけんじゃねえ!

 てめえが言う何千万と稼ぐまでにどれだけの汗と涙と血が流れると思ってんだ! 人気が出ず知名度も上がらずじまいで、一生のあいだ日の目を出ないアイドルなんて山ほどいるんだぞ! その涙をバネにして、毎日毎日体と心の痛みに耐えながら必死に努力してるんだ!

 売れなかった時のアイドルってどういう生活してるか知ってるか? アイドルだけじゃ稼げねえからバイト漬けでレッスン代やライブ代を稼いで身を削って生きてるんだよ! そんでもって寝る間も食う間も惜しんで何十日何百日何千時間とレッスンを繰り返して、ちっちゃなイベントやったりSNSで告知をして、知名度を少しずつ上げて、やっとこさライブができたかと思えばだ! ファンがつかずに馬鹿にされて、同僚や後輩に追い抜かれて、年を取っていくだけで現実に押しつぶされそうになって裏で泣いてる女の子なんて! 努力したって努力したって報われない、苦労しましたの一言じゃとても言い表せられないくらい頑張ってんだよ!

 人気が出たら出たで仕事に次ぐ仕事の大オンパレードだ。テレビ出演もある、コンサートもある、雑誌取材もある、グラビア写真撮影もある、握手会もある、サイン会もある! お前らがバカ笑いしてタバコ吸ってバイクふかして呑気に寝てる間に、アイドルは寝る間も食う間も惜しんで、秒単位のスケジュールでこなさなくちゃいけない生き物なんだよ!

 オフの時間ができても自由なんてありゃしねえ! 周りにバレたら取り囲まれて握手攻めサイン攻め! ちょっと男の人と話をしたら熱愛のネガキャン報道だ! 周囲の視線をいつも気にしながら生きていくしかない、プライベートも休みもロクに取れず息抜きもできねえんだよ!

 こんだけの苦労を背負いながら夢に向かって努力してる人たちを、なんでお前みたいなヤンキーに全否定されなきゃいけねえんだ! ふざけんな!』

『なんでそんな自分を追い詰めんだよ! 意味わかんね――ガッ!?』

『オイ……まだ口答えすんのか……だれが発言を許可した……言ってみろ』


 なんだそりゃ、理不尽もいいとこだろ! 額に頭突きされただけなのに、脳みそが揺れるほどの衝撃だ。痛いを通り越して気持ち悪さすら感じる。今までの相手とは攻撃の質が違う。相手を屈服させるため、力を自慢するためじゃない。確実に敵を殺傷する目的の攻撃だ。


『ご達者な口はどうしたよ……私が割ってやろうか? あ?』


 何が何でも答えないと死ぬ。一瞬で覚悟した。

 

『なんで……なんで自分を追い詰めてんのかって聞いてんだよ!』

『ファンの笑顔のために決まってるだろうが!

 アイドルが頑張っている姿を見て、元気を出して、夢を見て、ちょっと辛い現実を忘れて、応援してくれるファンを勇気づける栄誉ある仕事なんだよ!』

『そ……それだけ!?』

『それだけで十分すぎるだろうが! 日本語分かんねえのか!? クソが!』


 怒りの表情のまま、女の子は突然涙を流し始めた。

 

『今お前がバカにしたアイドルは! 私が推していたアイドルだ! 私が大好きなアイドルだったんだ! 今言った苦労を全部背負いながら頑張って頑張って、やっと人気が出てきたところでダメだったんだ。もうちょっとだったんだよ……畜生、畜生……酷いこと言いやがって……せっかく同じアイドル好きの同志だと思ったのに……不良でも仲良くなれると思ったのに……』


 そこまで言い終わってようやく女の子は私を突き飛ばすように放した。

 

『これ以上見てるとぶっ殺しそうだ。だからさっさと失せろ』


 そして女の子は涙を拭きながら自分の荷物を取りにランドセルの元へ戻った。

 恐怖から開放されたあたしは、ただただ安堵していた。が、弱者気分は長く続かない。相手は小学生。そしてあたしは高校生である。恐怖心はすぐに収まり、格下に説教されて侮辱されたという屈辱感に塗り替えられた。

 なんであたしがこんなガキに尻込みしなくちゃいけねえんだ。なんであたしが退かなくちゃいけねえんだ。許せるわけがねえ。ガキに好き勝手を言われて引けるかよ!


『ちょっと……待てやクソガキャァアア!』


 あたしが気力を振り絞って吼えると、女の子は持ち上げようとしていたランドセルを降ろした。不良は全身が矜持プライドで構成された生き物だ。舐められっぱなしで地元へ逃げ帰るなど、とてもできない。

 

『あたしは……あたしは赤羽根せつなだぞ! 関東で 頂点テッペン トる女だぞ! てめえみたいなチビが、この赤羽根せつなに向かって調子コイてんじゃねええええ!』


 なりふり構わずあたしは女の子へ襲いかかった。少しでも威厳を取り戻したかった。

 しかし少女は一切怯える様子もなく、怒りに満ちた顔であたしのほうへ振り返り――。



『これだから見下したがりの不良は大嫌いなんだ』




―― 佐藤のり子 ――


「――気が付いたら病院のベッドの上で全身ギプスと包帯だらけだったッスわ。これが紅焔嬢との出会い。後遺症が残らない程度の怪我だったことが不幸中の幸いだったッスね」

「あ……ば……が……」

 

 セッカちゃんの過去話を聞いている最中、私はあまりの衝撃ぶりに、うまく日本語を話せなかった。

 推しをボコ散らかしていただと……なんちゅー……なんちゅう事しでかしとんじゃ、昔の私ぃぃいいいいい!?



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