51話 金三封 値千金 新衣装 団長の巻

Luruna Ch.ルルーナ・フォーチュン

【#ルルーナ・フォーチュン新衣装 / 収益化記念 / 75万人記念 / 初コラボ案件記念】 記念多すぎじゃね? 【ルルーナ・フォーチュン/YaーTaプロ】

2万人が視聴中 チャンネル登録者数 75.3万人

#旅団長の文化勉強 


「やあ、待たせたかな。YaーTaプロダクション1期生、アイドル兼、メイドVtuberのルルーナ・フォーチュンだ」


¥6670:知 っ て た

:シルエットが完全にメイドなんだよなー

:初手新衣装公開wwww

:だが団長の声が普段よりウッキウキしてるぞww

:可愛いwwww

¥6670:本格的にアイドル業始動開始! おめでとう団長!

観照退@ジルフォリア戦記31巻発売中:すまねえ団長、お嬢さんと姫さんで今日の限度額いっちまいました……

:↑何やってんだセンセェwwwwww

:↑ナカマwwwwwww

:↑俺がいるwwwww


「むはは、ええよええよ。お嬢も姫も、二人とも人気があってよろしい。君たちの熱い思いが俺たちを高みへ押し上げてくれる。今後ともお付き合い願うよ、団員の皆」

 

¥6670:あああ! 不意にてぇてぇ言葉ありがてえ!

¥6670:しゅき

¥6670:そんな変わった言葉を使ってないのに、どうしてこうも昂るのか


「さっそく新衣装を公開しちまったところだが……どうだ皆の衆。新衣装はメイドさんだ。俺とハゲで趣味性癖のことごとくを詰め込ませてもらったぞ」


¥667:正直言ってあまりにも馴染み過ぎて違和感ゼロですわー

¥6670:もっとアイドルらしさを強調したメイド服だと思ったけど、これはこれでアリです

観照退@ジルフォリア戦記31巻発売中:団長と一緒に理想のメイド像を詰め込ませてもらいやした

¥10000:↑ドストライク 理解ってるなーセンセェ

¥667:姫さんのスーツと同じく機能美と様式美にこだわりを感じる

:露出が少なくなった……姫さんとは真逆のスタイル

:こういうクラシックスタイルのメイドの方が好きだわ


「ベースはいわゆるクラシカルメイドだな。露出は少なく、性的なアピールポイントも控えめに。機能美重視のメイド服だ。だがところどころに施されたレースのきめ細やかさや、エプロンの刺しゅうなどにより、決して地味な印象を与えない。ヴィクトリアンメイドほど機能を追求しすぎず、ミニスカメイドほど媚びていない。実にいい仕事だ、観照退。

 もちろん坂佐賀パパ殿も、俺の身体に違和感なく定着させてくれて感謝に尽きる。このデザインで俺の動きを魅せるのは苦労したろうに」


観照退@ジルフォリア戦記31巻発売中:感 謝 の 極 み

坂佐賀サカ:ルルちゃん褒めるの上手いわ……ちゃんと見てくれてる……

:坂佐賀パパはリスペクトしてるのに、センセェは舎弟関係なんだなw

:団長とセンセェの関係って本当に謎

:ベストセラー漫画家を舎弟にする3か月児……気になりすぎる


「今回の配信だが……記念が4つも被っちまったな」


:4つ目の案件配信がめっちゃ気になる

:歌配信じゃないのがちょっと残念だけど、でも案件はめでてえ

:このタイミングだとデビュー前から案件決まってたよね

¥6670:早くも大きくなってきたなYaーTaプロ いいぞもっとやれ


「記念があるに越したことは無いが、お祭りは小出しにしたいもんだ。盆と正月が一気にやってきた、というヤツか。

 さて、今日のメインはコラボ案件の紹介なんだが……その前に、団員たちに一つエピソードを語らなくちゃいけない」


:お、なんだなんだ?


「この案件のキーワードはズバリ、メイド服だ。俺を今回の案件へ繋げるに至った話となる。少し面白くない話が続くが、ご了承願いたい」


:問題無し!

:ていうか、団長が面白くない話をした覚えがないんだが……


「もはや知っての通りだと思うが、俺は大のメイド服好きでな。普段着でもメイド服を着ているくらいに愛しているんだ」


:!???

:面白くないと言っておいて、初っ端から面白い話題をぶっこまないでください団長

:関係者が言ってたリアル女神様にまた一歩近づいたな

:普段着でもメイド服 まーたパワーワード生まれましたね

:それ特定されない? 大丈夫、団長?


「安心してくれ。さすがに室内で家事をする時くらいしか着ないよ。俺の中でメイド服は作業着でしかないからな」


:メイドの正しい姿ではあるな 昨今のフレンチメイドやミニスカスタイルがオタ向けすぎてピンと来ないかもしれんけど


「だが、メイド服は作業着である、という俺の中の前提認識が今回のを生んだ」


:悲劇?

:コラボなのに悲劇とはこれいかに?


「順を追って経緯を話そう。目覚めたばかりの俺は服すらロクに買えない一文無しだった。この資本主義の令和時代、兎にも角にも金が無い事には始まらない。関係者から紹介された仕事の他でも手っ取り早く路銀を稼ごうと思い、俺はメイドの募集を捜したわけだ。メイド服を着ながらにして金が貰える。俺にとっての理想郷へ飛び込める。そう胸を躍らせながら求人雑誌を読み漁ったよ」


:団長がだんだん変態に見えてきたぞ……

¥6670:合法的に性癖を満たせるならば進むが漢の花道


「ンむ、良い事を言うなスパチャの君。まあ淑女にはあまり理解しがたい行動かもしれんが……」


¥6670:女の子でも可愛いメイド服目当てでメイド喫茶で働く人いますよ(私です)

¥667:好きな服を着れるって要素は割と大事

:求人雑誌とメイドと来たら、メイド喫茶か


「なるほど……淑女皆方、貴重な意見助かる。話を戻そう。賢い君たちは感づいたかもしれない。メイド喫茶だ。しかも国籍や学歴不問とハードル低めの求人がいくつも載っていた。当然、俺は募集を受ける事にした」


:だんだん察してきたぞ

:もしかして団長、アキバ系のメイド喫茶に行っちゃった?


「そうだ。俺が選んだのは世間一般のイメージ通りな、正統派な店だった。いわゆる『萌え・萌え・きゅん』が一般的な、客足少なめなメイド喫茶だな」


:ああ……

:家政婦としてのメイドをイメージしているとギャップが激しいよな


「幸い、容姿に自信のあった俺は即採用され、軽い研修を受けてから接客へ回されることになった。

 ……ここで俺は、人生の中でも汚点と言える事件を起こしてしまったんだ」


¥6670:生団長の萌え萌えきゅんが聞きたい人生だった……

¥6670:団長とチェキのチャンスだったのか ワンチャン生団長とのツーショットを持ってるヤツがいると思うと羨ましいが止まらん


「いや、チェキはしなかった。というか、その店ではほとんど仕事をしなかったな。

 クラシカルスタイルなメイド好きの俺が知らずにそんな店へ行っちまったとなると、俺の次の一手も団員の皆には想像がついてしまうかもしれないが――」


:すぐに辞めちゃったのか

:理想と現実のギャップというヤツね

:まだ目覚めたばかりだったから下調べのやり方もままならなかっただろうな

:話が終わりそうな流れだけど……


「仕事をする前に、ブチ切れてしまったんだ」


:ん?

:切れ……え?

:想像外でしたが、それは


「メイド喫茶の文化を知らなかった俺は、元来のメイドの根本となる給仕精神を――俺の中に根付く聖域を汚されたと考えてしまってな。気炎万丈、怒髪衝天。烈火の如く、その場で切れに切れ散らかした。団員の皆が想像しているより、ずっとずっと激しい勢いで。

 少ない客を追い出し、オーナー含め従業員を全員店内に整列させ、その場で長時間の説教を始めてしまった。俺が持っているメイドの理想像を押し付け、メイド喫茶文化を完全否定する……もはやクレーマーを越えた何かになっていたな」


:うわあ……

:いくらなんでも団長……

:切れてる団長の姿が想像付かない

:好々爺っぽいところもあるから余計に考えられん

:団長の中では、それだけ許せなかった事案なんだろうな

:想像以上に団長のメイド愛が深くて重かった

:期待のNEWフェイスを拾ったと思ったらモンスタークレーマーだった件


「この件ばかりは擁護不要だよ、団員の皆。そもそも営業妨害で訴えられて当然の事案だ。今こうして配信できているのが奇跡だと言えるくらいに危ない行為だから、団員の皆は決して真似しないように。本当に、ひとりの大人として恥ずべき行為だったと反省しているよ。

 言い訳をさせてもらうが、今はメイド喫茶文化を否定してはいないぞ。アレは日本特有の派生文化であり、別物だと理解している。廃れずに発展を願うばかりと言わせてもらうよ」


:安心して団長。たぶん誰も真似しないよ

¥667:俺メイド喫茶好きだから、団長が受け入れてくれて良かったよ

 

「続けよう。怒りを発散させた俺が次に実行したのは営業改革だ。

 ミニスカメイド主体のエンタメスタイルからクラシカルメイド主体の給仕スタイルへ路線変更させた。可愛さキューティーから優雅さエレガントへ。エンターテイメント重視から格式美重視へ。所作、言動、気構え――俺が持つメイドの何たるかを徹底して仕込んだ。

 ハゲにも手伝ってもらったな。メイドの指導ならば俺の得意分野ではあるが、当時の俺には茶や製菓の知識が無かった。だから、ハゲの知り合いに頼んでメニューも店の雰囲気に合うように大改革をしたんだ」


観照退@ジルフォリア戦記31巻発売中:俺も駆り出されて、えらい目にあったっス

:センセェ……

:本当にますます関係性が謎

:謎解明のためにも、団長とセンセェ、コラボ配信してくれないかな


「俺たちの指導の末、店名を変え営業スタイルを変え制服を変え内装を変え、かくしてその店舗は生まれ変わった。

 その店鋪の名は――『Victoriaヴィクトリア Springスプリング』」


:ヌゥ!? ヴィクトリア スプリング! よもやこの配信でその名前を聞こうとは!

:↑知っているのか○電!

¥6670:電気のひと:ウム 東京某所に店舗を構えるクラシカルスタイル――いわゆる本格的な給仕をコンセプトとしたメイド喫茶だ 去年末にオープンするや否や即座に口コミでその名が広まった 料理の腕もさることながら、給仕たちの振る舞いが実にエレガントの極みと評価され、いま界隈で大きな注目を集めている店となっている 

¥6670:電気のひと:特筆すべきは客に対する設定とメイド長の存在だろう 我々客は皆、主人の屋敷へ迷い込んだ異邦人 (エトランゼ)として招き入れられる そう、我々は主人ではなく客人として持て成されるのだ

¥6670:電気のひと:そしてメイド長たる役職の方が在籍しているという点が、メイド喫茶としては非常に珍しい形態となっている 彼女は壮年の女性ではあるが、誰よりも凛々しく誰よりも思慮深く誰よりもエレガントな女性なのだ ちなみにファンクラブもあるぞ

:↑よくこんな短時間で書けるなwwwww

:↑鬼才現る

:企業に雇われたか……? まあいいやナイス解説だから不問!

:店のホームページ、もうアクセス過多でダウンしてやがるww

:団長もすっかりインフルエンサーなんやな……


「解説助かるぞ、電気のかた。かつては閑古鳥が鳴き止まぬ十把一絡げのメイドカフェだった店が一転。Victoria Springは一躍著名店へ仲間入りを果たすことができた」


:閑古鳥……ジッパー?

:↑要するにどこにでもあるような店だったから売れてなかったってコト

:↑お嬢乙

Agnis Ch.紅焔アグニス:↑あたしゃここにいるよ……団員さん質問と解説ありがとうね

:↑お嬢……やはり、国語が……

 

「方針転換により店は赤字から黒字経営へ立ち直り、店側の利益を大きく向上させたとして俺の営業妨害は不問となった……むしろ経営を立て直してくれたと、店のオーナーから感謝されてな。こうして俺はVictoria Springと縁を持つことになったんだ。

 そう、今回のコラボ案件はVictoria Springから頂いたものになる。

 俺は自分の主張を通しただけの厄介者だったから、その賛辞を聞くと複雑な気分になるが……えにしとは分からんもんだ」


:もう完全にプロデューサーやんけ!?

:団長がコンサルタントの資格を持ってるとは思えないから……この営業改革、タダでやったってコト!?

:Victoria Springは金払っていいレベル

:というか、メニュー以外も、食器とか制服とか店舗改装費とか人事費とか、めっちゃ金かかるよね? 資金はどうしたので?


「資金回りもハゲに協力してもらった。苦労をかけたな」

 

観照退@ジルフォリア戦記31巻発売中:黒字になって回収の目途も立ってるんで問題無しでさ 経営の勉強をさせてもらったと思えば

:センセェが某猫型ロボットに見えてきた……

:俺は○嵐財閥とか20万Gの金持ちを連想したわ


「世話になった分はボチボチ返していくさ。おっと、今の発言を聞いてのスパチャはよしてくれよ。

 さて、肝心のコラボ内容だが……YaーTaプロ1期生をモチーフとした、俺考案の期間限定フードメニューを予定している。中身の開発はこれからだな。店の雰囲気を汚さぬように努力させてもらうよ。それと限定グッズも用意させてもらおうと思っている。もちろん、こちらも1期生3人だ」


:おおおお!

:アイドルっぽい!

:絶対行くわ

¥6670:這ってても行かせていただきます!

:案件というよりオーナー特権に近いなww

:行列の予感 いや不可避だなこれ

:メイド服好きだから、てっきり衣装コラボするかと思ってた

:↑確かに 期間限定で団長考案のメイド服が見られるとかあったら胸熱だよな


「む? メイド服のコラボ? 今俺が着ているメイド服をVictoria Springの皆に着てもらうってことか。このクラスになると出来上がりがだいぶ先になりそうだから実現は難しいかもしれないな。刺しゅうが厄介なんだ」

 

¥6670:今から実現可能なデザインを団長が考えてもろてもええんやで むしろ拝ませてください


「俺考案のメイド服? そいつはもうやってるぞ」


:ん?

:え?

:もうやってるって、何やったの団長?

:まさかな……まさかな……?



「Victoria Spring初期メンバーの制服は全部俺のハンドメイドだからな」



:ふぁああああ!?

:もう既にコラボ済みやんけ!?

:ああそうか! 営業改革してるから制服にも手を出すよな

:ちょっと今から店に行ってくる

:↑落ち着け今の時間は店が開いてない

:俺、気づかぬうちに団長お手製の制服を毎日のように見ていたのか……!

:明日から諸手合わせて拝んじまいそう

:一人ひとりデザイン違うよな!? あれ全部!?

¥667:団長、服作れるの!?


「メイド服限定だが作れるぞ。俺がいま手元に所持しているメイド服の半分は俺の手作りだ」


:本当に何ができないの団長……出来ないことを教えてくれ

:団長って、俺たちを驚かせないと気が済まないのか? 俺、団長の配信で驚かなかった例が無いんだが

:これが超スペック持ちアイドルの日常ということなんだな

:明日からヴィクトリアスプリングは修羅の国になるでぇ……


 

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