1.5部 飛翔
33話 あの夜を語る
―― GーState4期生
minamo ch./飛沫みなも
【#みなもん朝だもん】起きろ、みなのもん! 速報いっぱい朝報だよもん!
1.2万人が視聴中 チャンネル登録者数 98.3万人
「おっはみなもーん! GーState所属4期生、飛沫みなも! 今朝も元気に朝活朝活ゥ!」
:え……
:何があったんだよみなもん
:いつも低血圧キメてる時間なのに……
¥3760:今日は何の血を輸血したんですかねぇ
「いつも朝が弱くて朝報に遅れがちなみなもんでした。だがしかし、みなもんは悟った。逆に考えればいいんだ。起きられないなら、寝なければいいのだよ」
:逆転の発想……やはり天才か
:ただの徹夜明けじゃねーかww
「というわけでして、今日は開幕全開みなもんで配信をお送りしまーす。みなのもん、どんみなもん!」
:相変わらずどうあがいてもdon't miss itには聞こえねえw
¥376:珍しく徹夜したのは、やっぱりヤタプロとアリたん絡み?
「スパチャありがとう。うん、そうだね。昨日はずっとアリア先輩のグループ通話で話してたんだよ。今後の先輩のお話とか、YaーTaプロの配信の感想とか、配信見返しをずーっとやってたよ。アリア先輩については、みなもんの口からは話しませんので、今日はYaーTaプロ特番に決まりだよ! わー!」
:箱外のニュースってオッケーなワケ?
「そこらへん
:ちゃんと監査しとるんかいなw
:でもYaーTaの配信の話題だけでも余裕で時間溶けるね
:もはや事件
「ひとりずつ見ていこっか。まずは紅焔アグニスちゃんだね。はい、シンプルにヤバい子が来ました!」
:GSメンバーからRT連打されたときは何事かと思ったが、あれはしゃーない
:他所の子をヤバい扱いするのはどうかと思うけど的確すぎるんだよなぁ
:なんで今まで世に出てなかったのってレベル
「まだ初配信と見守り配信しかしてないのに、GSだけじゃなくて、企業個人関係無く業界全体が大注目しちゃってるよね。トーク力ある、愛嬌ある、芸人気質ある、そしてあの紅蓮烈火ですよ! みなもんが去年ライブの時にやった紅蓮烈火の切り抜き、3時間くらいで再生数抜かれちゃったからね。まあ比べるのも失礼だけど」
:あれはあれで好きだよみなもん
:需要はあるんだ。ソースは俺
「慰めてくれてありがとだよー。本当に紅焔ちゃんの紅蓮烈火は凄いから、見てない人は本当に見て。絶対に出会ってよかったと思うから」
:アカルんのグレレンも十分すごいけど、あの子のは本気で心を揺さぶられる
:何回聞いても鳥肌立つ
:同じグレレンなのになんつーか根本が違う
「GSみんなで緊急会議してたからねー。メンバーみんなレッスン増やすようにスケジュール調整入れてるところです。もうちょっとアイドル路線をしっかり見直さないとだね」
:GSを陳腐化させかねない勢い
:お嬢本人はGS箱推しなのにww
:GSも流れ変わったな
「GSが大きく変わるかもって意味でも、昨日は革命の夜だったね。だからこそ、アグニスちゃんの結果も当然だよね」
―― じゅうもんじライバー
那由多/Nayuta【じゅうもんじ】
朝活BーPAX! 野良でカジュアルに行こう!
6852人が視聴中 チャンネル登録者数 120万人
『lul KILL(GL-1 Vanpil)HS なゆなゆ』
「あああ!? しくったー!?
:あー
:さくりと死んだ
:コイルガンのヘッショはしゃーない
:lulのキルログめっちゃ流れてる……
:やっぱコイルは悪だな滅べよ
「コイルガンまじで調整してくれ……うっし気を取り直してこー! このセリフ今日何回目ェ!」
:3回目。まだ一桁だぞ新兵
:実力はそこそこあるのに運が追いついてないよな
:野良だとボイチャ繋げられないから苦労する
:チーム戦ありのバトロワだとやっぱつれえわ
:マッチング中のトークタイム よーいスタート
¥740:なゆたはヤタの配信見た?
「スパチャセンキュ――おっと他所の話か。その話題をぶっこむのは、あまり褒められたもんじゃないぞ。ありがたいけど、次は気をつけてくれ。
でもまあ反応しちゃった俺も悪いし、いつか話そうと思っていたから話そうかな。YaーTaさんとこの配信は見たよー。ルルーナ団長の凸待ち配信だけ生で見て、他はアーカイブと切り抜きでご拝見よ」
:ルルーナの凸待ちはアツかった
:伝説だらけの夜
:アリア復活フラグ設立とか新人補正抜きにしても偉業すぎる
:なゆた誰推し?
「推しかー……んー……推しってワケじゃないけど、注目してるのはナティカ姉さんかなー。アグニスちゃんと団長の影に隠れがちだけどね。あの人も大概だよ」
:意外なチョイス
:やはり時代はエロスか……
「いやいやいや真面目な意見だよ。みんな俺の初配信おぼえてる? データ破損で用意したネタ無しで配信せんといかんかったヤツ。あの時の俺パニクっちゃってまともに配信できなくて滅茶苦茶叩かれたでしょ」
:あれは酷かった
:あの後の配信でよう立て直したよ
:先輩たちとなゆたのてえてえ話めちゃすこ
「君たちも応援してくれたから救われたね。ホントに感謝してるよ。彼女の場合は配信開幕アクシデントでしょ? 俺より酷いパニクりの極地ですよ。でも30分以内で立て直して配信の形にしてるよね。サポートはあったみたいだけど、ベテランでもなかなか出来ないよー。
あの状況を
:だが1時間もしないうちに見守り配信である
:「リスナー安心させたい」「ルルーナへの恩返し」ぐう聖なんだよなあ……
:ヤタはデフォで2回行動なのだろうか
「今後どう転ぶか分からないけど、俺はあの人伸びると思うよ。まあしばらくは彼女の同期――アグニスちゃんの話題になっちゃうかなー……おっとマッチ完了! しかもlulさんいる! リベンジチャンス!」
:よっしゃやったれ
¥2000:なゆたの死亡に我が魂を賭ける!
:魂やすいなwww
「スパチャセンキュー! クレームはノーセンキュー! いくぜ突貫! エントリーィィ!」
:のりこねー
:lulと同地点w
:開幕ショットガン! リボルバーもあるよ!
:ダブルバレルシャッガンは不安だが無いよりまし
:接敵!目標lul!
:勝ったな
:あ
『lul KILL(chop) なゆなゆ』
「嘘だろォォオオ!?」
:殴り殺されたw
:大w草w原w
:相手瀕死になってるし、一応チートっぽくはないな
:クソエイム乙
:完全に見切られてたぞ ショットガンだから当てれた
:今日もなゆたの悲鳴でごはんが美味い
―― 声優
「第64回 リュートのしゃべくり朝レイディオ ゲストは大河内孝雄こと、オーコウチのじっちゃんにお越しいただきました! ウェーイ!」
「最近ますます早寝早起きになりました、大河内孝雄です。本日はよろしくお願いします」
「挨拶かたーい! 違和感ありすぎィ!」
「たまには貫禄見せないと近所のおじいちゃんにしかならないんだよ」
「俺にとっては近所のおじーちゃんだけどネ! 今日も元気にしゃべくってくぜ! よろしくゥ!」
・・・・・
・・・
・
「続いてのお便りいきまっしょうぃ! ラジオネーム『月の旅人』さん。リュートさん、大河内のじっちゃん、おはようございます。お二人はVtuberの配信をよくご覧になるとお聞きしておりますが、先日デビューされたルルーナ・フォーチュンさんの配信はご覧になったでしょうか。
配信のはじめにルルーナ団長が自己紹介のイメージ動画を流した時におじいちゃん役のアテレコをしていましたが、そのアテレコの声がじっちゃんそっくりでびっくりしました。まだお若そうな方なのに貫禄たっぷりの演技でしたので、もし未視聴なら是非その演技を聞いていだきたいです――とのことですが……」
「月煌旅団の人だね」
「だねー。先に月の旅人さんへお伝えしておきますが、我々拝見しております」
「じっちゃんYaーTaの配信出たの? ってリュートがメールしてくるんだもん。こっちもビックリしちゃってさ。ガクと三人で、あれ誰だ、あんなスゴイ新人いたか、ってスマホで話し合ってたね。
ちなみにですが、彼女からは今朝Twisterでお返事を頂いています。ちょっとファンを混乱させて申し訳ないです、って。いや僕はまったく気にしてないけどね。むしろいいものを聞かせていただいて感謝してるくらいです」
「
「あれ? ガクの奴、見習えって言ったんだ。僕は逆なんだよね。リュートにアレはやらせちゃダメだよ」
「え、なんで?」
「僕は声優業界に入って50年になるけど、あんなに重さのある感謝を聞いたのは初めてだった。アニメや吹き替えで似たようなセリフをいっぱいやってきたのにだよ」
「じっちゃんならギリいけそうなんだけどなー」
「無理とは言わないけど、厳しいんじゃないかな。だからこそ僕は思ったよ。あの感謝は演技じゃなくて本物なんじゃないか。あの娘、相当な挫折や後悔を何度も経験したうえで発言したんじゃないかって。それこそ戦争で従軍して罪を重ねたり、何人もの親しい人と死に別れてしまった……そんなレベルでだね。あれは経験の質だけでは表現しきれない。量がないとたぶん出せないかな。
もちろん彼女が実際に体験しているって話じゃないよ。あくまでイメージの話」
「演技じゃないから真似するなってこと?」
「うん。言えちゃダメ。そんな状況をリュートには経験させたくない。
だから僕は、団長の異世界転生の設定を信じることにしているよ。じゃないと説明がつかないし、納得できない。もし彼女と話す機会があれば、僕はその前提でお話するつもり」
「じっちゃんにそこまで言わせますかルル団長。ほんとうにスゴイ娘が現れちゃったねー」
「団長といえばリュート。ヤグーのYaーTaのニュースは見た?」
「うん見た見た。いやー、アレもなかなかの衝撃だったね。ホントに快挙だよね、紅焔アグニスちゃん」
「僕も本当にビックリしたよ」
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