第31話 愚かな王子の悔恨2(マクシミリアン視点)
【読む前にご注意】それほど具体的な描写ではありませんが、ヒロイン以外との性行為の回想があります。あと、
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ある時、夜会でひどく疲れて休憩室で休んでいたら眠り込んでしまったようだった。目が覚めたらなんとアナが裸の僕の腰の上にまたがって僕の一物を中に入れて腰を振っていた。すぐにやめろと叫んだけど、身体中が熱くて理性ではやめたかったのに肉体の快感が勝ってしまった。気が付いたら自分からあの女の股の間で腰を動かしてあの女の中で何度も精を放っていた。多分、媚薬と睡眠薬を盛られてしまったんだと思う。幸いなことにあの女は婚外子を孕んで結婚を迫るというつもりはなく、避妊していた。
一度そんな関係になったらあとは坂を転げるようにアナの肉体におぼれていった。今から思えば媚薬も使われていたんだろう。でももっと快楽を与えてくれるものがあるとアナに教えてもらって、それも使うようになった。それが阿片だった。そこからの転落はもっと早かった……阿片を吸いながらアナと身体を繋げるのは最高に気持ちよかった。こんな快感はそれまで感じたことがなくてますます阿片とアナの身体に夢中になっていった。
もうそうなると、罪悪感が大きくてユリアと会うのはおろか、贈り物や手紙も送りづらくなった。オットーにはいくら偽装でもやり過ぎじゃないかと怒られた。僕がアナと肉体関係まであるとはオットーは思っていなかったというか、思いたかったみたいだけど、すぐにばれてしまった。最もアナと初めて身体を繋げてから数ヶ月で興奮しても男性の象徴が勃たなくなってしまった。ユリアの純潔は結婚まで守るつもりだったけど、結婚しても彼女を抱けなかったらどうしようと悲しくなった。
阿片を吸うようになってだんだんと異様な様相になってきているのに自分でも気づいた。こんな姿をますますユリアには見せたくなくて彼女の面会希望を何度も無視してしまった。母上も僕の異常な状態に気づいて口うるさくいろいろ言ってきたけど、言われれれば言われるほど僕も頑なになって母上を無視して遠ざけた。もっとも自分の異常性を認識できる時間はだんだんと少なくなっていってしまい、この葛藤を感じることも段々少なくなっていった。
それでもユリアは僕を見捨てずに阿片中毒を専門にしている医師を派遣してくれた。そのおかげで薄皮を剥ぐようにゆっくりと僕の症状は改善した。でも皮肉なことに正気になる時間が多くなると、自分でもわかってしまった。いくら治療しても、中毒になる前の自分はもう戻ってこない。
ここまで堕落してしまったら、どんなに母上が僕をかばったとしても父上は許さないだろう。王族から追放されるどころか、平民落ちにされるかもしれない。正気を失って財産も地位もない男と一緒になったらユリアがかわいそうだ。だから最後に残ったわずかな理性で、ユリアに婚約解消をお願いした。だけどユリアは了承しなかった。
だからあんなふうに婚約破棄を宣言するしかないとあの時は思っていたけど、ユリアを傷つけてしまった…国王という重責のある立場になる将来を放棄したいためだけにこんな愚かなことをしてしまった。王位継承権を辞退して一貴族としてユリアと幸せな家庭を築きたいと思っていただけなのに…
婚約破棄宣言のせいで僕は北の塔で1ヶ月謹慎の罰を受けてしまった。全身を掻きむしりたいほど苦しくなって気を失うことが増えた。ある日、気が付いたら吐しゃ物と排泄物まみれで床に倒れていて愕然とした。仮にも第一王子と敬われる高い地位にあり、容姿端麗と言われたこの僕が糞尿を垂れ流して吐き散らかしているなんて!こんな姿をユリアには、いや誰にも絶対見せられない。でも王家の影が探っていて両親や弟、ラウエンブルク公爵家にもばれているかもしれない。そう思ったらあまりの恥ずかしさでもう二度と家族にもユリアにも会いたくなくなった。
身体を清潔にして服を着替えようと思っても、牢番が悪臭を嫌って中々来ないか、牢番に頼めても渋々持ってくるから時間がかかる。だから、たいてい着替える前に僕は正気を再び失い、乾いた糞尿と吐しゃ物の上にまた新しいものが重なっている状態で目が覚めた。その繰り返しで僕は王子としての尊厳どころか、最低限の人間としての尊厳すら失い、恐ろしいことにその状態に段々慣れていった。というより、自分がどんな状態にあるのか、最早わからなくなっていった……
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マクシミリアンは、今はまだこんなに反省できるほど正気になってませんが、治療が進んだ頃には後悔できるほど正気に戻れる時があるという感じです。
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