人間の軽戦士 #2
エルフの魔法使いの提案で、4人は休憩をとることにした。
本来は探索場所で野営をする予定だった。
が、予定より早く目的が達成できたので、近くの村まで移動することにしたのだ。
「少し早いですが、食事をとって村まで一気に向かいませんか?」
エルフとドワーフが火を起こして食事の準備をすることに。
「日が暮れるまでには、何とかたどり着けそうですよね」
エルフはにっこり笑う。少年も村に行く前提で、優しく同意を求めてきている。
少年は周囲の様子に気を配りながら、今は薪になりそうな枯れ枝を拾っている。
遺跡探索に対してようやくあきらめが付いたようだ。
隣にはルーンフォークのマギテックシューター。
「・・・どうか、されましたか?」
彼女が声をかけてきた。
「あ、いや・・・いえ・・・」
周囲を見ながら、何度も彼女と目が合った。
意識しないようにしているのが返ってよくない。
彼女が視界に入るたびに表情を伺ってしまっていたのだ。
「ごめんなさい・・・機嫌が悪いとか、不満があるとかではないんです」
「え?」
どうやら彼女に勘違いさせてしまったらしい。
「自然にしていると、こういう表情なのです」
少年は動揺して、目をそらす。
見続けていられないくらい、
(かわいい・・・)
「私は、半年前に遺跡内で発見された
その話は聞いていた。4人が集まり仕事の依頼を受けた後だ。
発見したのは、エルフの魔法使い。
彼女が生まれたその部屋には、製造者の記した資料があった。
「私は暗殺用に造られました。対象は主に女性や子供だったようです」
「この顔は、この表情は、相手に警戒されないための人物像、研究や統計の結果らしくて・・・どうしても、好きになれなくて」
表情がもとに戻る。
口調はややのんびり聞こえるのは変わらない。
声が先ほどと違う、ほんの少し悲しそうになった。
「意識して、今のような顔になってしまうんです」
彼女の心に少し触れたので、わかるようになったのかも知れない。
人形のよう、と思っていたのは考えを改めようと少年は思った。
「でも、今は。暗殺のお仕事はしなくても良いので」
「冒険者というお仕事は、色々な人に喜んでいただけるそうなので」
「がんばりたいと思ってます」
彼女はそう言って、再び薪を拾い出した。
動揺も、遺跡への未練も、焦りも。
いつの間にか少年の心から、消えていた。
「うん・・・そうですね!頑張ります、俺も!」
無事に、村まで帰ろう。
そして、またみんなで仕事を受けられたらいいのに・・・。
その時、食事の準備が出来たとドワーフが2人を呼ぶ声がした。
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