#28

僕は善人なんかじゃない

悪を気取る少年ではないが自分の本質を理解している


速やかに逃げ出した寒い雨の日

自分が何者か理解する


何処に向かうべきか分からない

分岐点でいつも間違えた


正解のない世界で

間違いばかりを選んでいた


震えた両手を静かに沈めて

今日も暗闇だけが僕を優しく抱きしめていた


知れば知るほど自分に嘘を吐いていて

やりたいこととすべきことの狭間で苦しむ


本当になりたい自分の姿を想像して

今夜も床について

遣る瀬無い妄想の夢を見る


ふざけあった友人達は今では疎遠の友

それぞれの場所で生きていることだろう

今の僕を見つけないで


古びたレコード 炭酸の切れたジュース 掛からないエンジン 昨夜の置き手紙

ムラのある一日が寝坊で始まる

気合が入るのは夕方頃で


古本についていた付箋を剥がす

悟りを得たように宙を眺めた


絡まり縺れた足取り

帰巣本能だけが作用していた


このまま何処に行こう

拙い足取りで

確かな歩幅で

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

アリスちゃんの作詞置き場 ALC @AliceCarp

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ