#26

不条理を数えたら中二の冬

移りゆく季節に 去りゆく時の数

破れた迷子猫のポスター 消火器の中身とチョークの粉

眠気を覚ますエナジードリンク SAN値を下げる嗜好品

西の空が茜色に染まる 逃げる場所はなくとも帰る場所がある

千円札を握りしめてスクーターに跨った

セルでは掛からないエンジン 固まったキック 底が破れるスニーカー

それでもここには居たくなかった

遠い向こうまで僕を連れて行って


外灯が均一なリズムで過ぎ去っていく

夜を照らして 僕を避けるように

何者にも見つからぬように 朝から逃げるように

夜に溶け込んで 影に潜むようなこんな僕を笑って

胸にしまい込んだ想いをかき消して 

出来ることなら夜の帳で封印してよ…

ってニヒルな笑顔で呟いて…



膨らんだ思考が破裂した二十歳の春

徐々に心が壊れていく 実感する事に蝕まれていく

治ることのない傷をなぞる

治癒薬を使うこと無く汚れた手で何度も…

後悔と懺悔を織り交ぜて

自傷行為の様に何度も…何度でも…

自分を取り戻すまで何時までも…


太陽が世界を照らす前に目を覚ます

辺りの薄闇が心地良い

ベランダに灰皿とベンチ

高タールのタバコに火を付けて

一日が始まる

青白い煙が口元から漏れていく

次第に上がってきた陽に向かって飛んでいく

目で追いかけるだけで飛んでいけそうだった

眠たい目を擦りながら昨夜の反省点に目を背けながら…


苦しんだ日々にピリオドを打つ

◯んだような目をしていた自分はもういない

新たな気分で 新たな足取りで 新たな旅に出る


僕が僕を取り戻した様に…

いつか君に辿り着くように…


白紙の地図に記しをつけるよ

目的地は未定のまま…

僕だけの旅路を今進むよ

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