#25

良く飲んだ君と僕だけの秘密な飲み物

売ってる自販機を探してひとつ先の駅まで歩いた

売り切れのランプが光って僕と君だけの飲み物じゃないことを知る

特別を願った僕らはありきたりだったか

拗ねた顔をした君を喜ばせたくて…


「もう少し歩こうよ」


「もう帰る」


機嫌を損ねた野良猫のような君を今でも思い出す



メローイエロー 僕と君だけの甘い青春

忘れられない日々をふとした瞬間に思い出す

僕の猫よ 帰る場所を未だに残して…

メローイエロー 僕らだけの秘密の呪文



水溜りの泥が制服の裾を汚した

雲の流れるスピードを目で追いかけた昼下がりの教室

手の感触を確かめあった夕暮れの駐車場


「また明日」


「まだ帰らないで」


気まぐれの猫の時折見せる甘えた仕草を今でも思い出す



メローイエロー いつか別れが来ようとも

一人淋しい夜に嫌な想像が脳裏を過る

僕の猫が 甘える場所が 今でもあることを願う

メローイエロー 何でも無い顔をして帰ってきてよ



錆びた自転車 チカチカ光る電灯 塩素の匂いがこびり付いたバッグ

震えた唇 永遠を感じた日曜日 別れは無いと願った卒業式



それでも僕らは…

いつか来る別れを感じていた


「ずっと一緒だよ」


「夢見ないで」


非現実でも君との生活を望んだ



メローイエロー 息が詰まるほどの幸福を

眠らない僕らを包み込むように

僕と君が また会えるときまで

メローイエロー 僕らだけの秘密の合言葉



メローイエロー…

メローイエロー…

メローイエロー…



果てしない道の先で…

メローイエロー

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