ゴミ箱ビジネス

私はIT企業に勤めているものだ。


新しく大量に顧客データを集める際にネット上でスクレイピングなどを行うのが普通だが、新しい方法がないかと私は考えていた。


インターネット上ではなく物理メディアから情報を集めるのがよさそうだ。そう思った私は、いろいろな方法を考えた。


そしてたどり着いた考えがこれだ。


その名もゴミ箱観測システム。


この技術は、地域ごとのごみ収集センターにwebカメラを設置し、捨てられたものの情報を収集し、それを機械学習して、それをマーケティングをするものだ。これにより一般大衆の興味関心を分析することでデータを取集できるし、地域のごみ収集センターの活性化にもつながる。


そう思った私は会社を退職しこのプロジェクトの実行に移った。


私のプロジェクトは成功した。しかし、人間が物質世界で生きるのをやめる方があまりにも早すぎたのだろう。


ゴミ箱から観測された「無」を商品の生産ラインから外した結果、全ての生産ラインが止まってしまった。

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