分割

「自分の好きなものに分かれて」

そう先生が言った。

この国はそうできていた。

6~20歳までの間に自分の一生を決める。

男性、女性でまず分かれる。

その後、健康状態で選別され。

趣味のあう人々が同じ県に行く。


ちなみに私の住んでいる県は「AA-411」


最初の一桁で男性か女性かで分けられる。

そもそもこれがないと県民みんな話が合わない。


次の二桁で健康状態が把握できる。

だって友達が先に死んだら悲しいからね。


残りの桁に趣味や学力などがすべて記録される。

趣味があわない人と一緒にいたくないし、自分の話が理解できない人とも話したくない。


そうやって全県民が簡単に話ができて、幸せな県が作れる。

他県の人とは全く話したくもないし、話そうとも思わない。


ただ例外がある、外国人観光客だ。

彼らだけは、県境を越えて移動できる。


いつだったか忘れたけど、外国人がこの県にやって来てこう言った。

「自分と趣味や性格が合わなくても面白い人はいるんだよ」

「君たちは本当に幸せかい?」


私は言った

「あなたは価値観のあわない人といて幸せなんですか?」


彼はこう言った

「ああ、幸せだよ」と。


数日後彼は、この国から追い出された。

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