偏性風

砦二光

真の平等

労働者は言った「こんな不平等な世界はおかしい」と。「資本家だけが楽をして生きている」と言った。


あるとき労働者は平等な世界を作るために資本家を潰し国を作った。しかし、最初に資本家を潰した労働者が資本家と同じ立場になっただけだった。


凡人は言った「こんな不平等な世界はおかしい」と。「天才だけが良い教育を受けている」と言った。


あるとき凡人は平等な世界を作るために学校を潰した。しかし、凡人も教育を受けられなくなった。


多数派の人々は言った「こんな不平等な世界はおかしい」と。「少数派の人々だけが豊かな生活ができている」と言った。


あるとき多数派の人々は平等な世界を作るために少数派を潰した。徹底的に少数派から全てを奪った。しかし、少数派は全く消えなかった。なぜなら少数派は、多数派が存在する限り、必ず付随してつくものだったから。


その後多数派は言った「平等な世界を作るためには文明を壊せばいいのだ」と。「金があるから資本家ができてしまう」また、「学問があるから天才ができてしまう」また、「自分より上の存在ができるのは文明のせいだ」と言った。


多数派の人々は今まで人類が作り上げたものを徹底的に壊した。資本家や天才や少数派の人々はそれを止めようとしたが、すでに遅かった。


暴徒となった多数派の人々は、全てを壊した世界中の都市、政府、本そして文明そのものを破壊しつくした。


多数派の人々は言った「こんな不平等な世界はおかしい」と、「自分より上の人間は存在してはいけない、存在していいのは下の人間だけだ」と言った。


人間たちは潰しあいを始めた。そして最後に一人残った人間は言った。

「これがが作り上げた平等な世界だ」と言った。

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