第20話 真夜中の決戦

 今は三日月のはずであるが、雲に隠れて拝することはできない。月明かりのない闇の中、蛍のように小さな光がゆらゆらと揺れている。それは蒼龍が手にしていた松明の炎であった。彼はお菊を連れて、矢文に書いてあった地図を頼りに道を歩いているのだが、あたりが暗すぎて自分のいる場所がはっきり分からずにいた。

「昼間のうちに場所を調べておくべきだったかな」

 不安そうな顔をするお菊に蒼龍が笑いかける。その時、遠くから寺の鐘の音が九つ聞こえてきた。子の刻を知らせる鐘である。

「しまった、急がねば」

 蒼龍は慌てて松明に照らし出された地図に目を凝らした。

 やがて二人は、小高い丘のふもとにある細いつづら折りを見つけた。上のほうは闇に包まれて、よく分からないが、頂上付近に明るく照らされた場所がある。

「この場所らしいな・・・」

「本当ですか?」

 お菊が少し驚いた顔で尋ねる。神社のあるような雰囲気とは思えなかったのである。蒼龍はうなずきながら

「間違いない」

 と答えた後、お菊に顔を向けた。

「お菊殿は、できるだけ拙者の背後に隠れていてくれ。相手は一人だけのようだ」

「もしかして鬼坊が?」

 その問いには答えず、蒼龍は斜面の道を登り始めた。

 途中、立派な石の鳥居があり、闇の中で灰色の煙のように浮かび上がっていた。その鳥居を目にすれば、過去に大きな神社が存在していたことが窺える。鳥居の先に続く細い道を、二人は黙々と登った。昼間には眼下に広がるだろう景色も、今は一面黒い霧に覆われたようで何も見えない。時折り、ふもとから湿った風が吹き上がり、蒼龍の持っていた松明が揺れる度に、地面に映った影が振り子のように動く。鳥居を過ぎてからしばらくして、ようやく開けた場所に到着した二人は、目の前に広がる異様な光景に言葉を失った。

 周囲を密集した木に囲まれた空き地の左右に篝火が勢いよく燃えている。麓から見えていたのはこの炎の明かりであろう。撒き散らされた火の粉を浴びながら、大男が篝火の間に立っていた。その奥には、炎によって赤茶色に染められた古いお社がある。男は石像のごとく微動だにせず、目だけが鋭い眼光を蒼龍たちに向けていた。お菊は、男の気に飲み込まれ、気を失いそうになるほどであった。その男、鬼坊の凄まじい気迫を、お菊は初めて目の当たりにしたのである。

「遅いぞ、蒼龍」

 男が、大地を震わすような唸り声を上げた。

「人質はどこにいる?」

 蒼龍も胆力のある声を返す。

「そのお社の中だ」

 答えながら、鬼坊は抜刀した。その刃は炎によって赤く彩られ、熱く熱せられた鉄のように輝く。

「お菊殿、できるだけ後ろに下がっていなさい」

 お菊にそう告げた蒼龍も、腰の刀を抜いて、鬼坊の下へ近づいた。その光景は、赤鬼に向かう子供のようだ。

「約定どおり、一人で来たようだな」

 鬼坊が尋ねると、蒼龍はピタリと歩みを止めた。十歩ほど離れた位置で、蒼龍が答える。

「お主も一人のようだが」

「誰にも邪魔はされたくないからな」

 鬼坊は大股に一歩踏み出しながら話を続けた。

「お前も楽しくて仕方がないのだろう。行方の分からぬ闘いほど肌の粟立つものなど、この世にあろうか」

「残念ながら、俺にはお主の考えが理解できぬ」

 鬼坊の顔が歪んだ。鬼が笑うと、きっとこのような顔になるのだろう。

「それは嘘だな。お前も同族よ。それを隠そうとしているが、俺にはよく分かる」

 蒼龍の表情は固く、心情を読み取ることはできない。口を閉ざした蒼龍の心を波立てようと、鬼坊は言葉を重ねる。

「お前は生まれながらの人斬りだ。人を斬ることで生きる意味を見出し、闘いの中で自分の価値を認める。お前が完全な人斬りになりきれないのは、あの女が関係しているのだろう。この俺が、その束縛を断ち切ってやってもよいのだが」

 意味ありげに笑う鬼坊の姿に、初めて蒼龍が動揺した。相手を睨みつけながら、一歩前進する。

「お前を倒したら、あの女は用済みだ。死なせたくないのなら、本気でかかってくるんだな」

 相手の予想以上の反応を見た鬼坊が、さらに追い打ちをかける。いつの間にか、両者は二、三歩ほど離れた位置にまで互いに近づいていた。赤黒く色づく地面に、二人の長い影が揺らめいている。

 鬼坊はゆっくりと刀を頭上へ持ち上げた。対する蒼龍は腰を落とし、刀は地面に水平になるように構えている。両者はそのまま、ほとんど動かなくなった。しかし、実際には少しずつ前に進み、その距離を縮めていた。鬼坊は蒼龍の刀の切先を、そして蒼龍は鬼坊の目を凝視している。

 鬼坊は、その巨体に似合わず動きが素早く、しかも地上に降りてきた雲雀をいたずらに一刀両断したことがあるほど精密な剣さばきができる。しかし、誠に恐るべきは、並外れた剛腕による一撃であろう。雷のごとき斬撃は相手に避ける暇を与えず、刀で受け止めようとすれば弾き飛ばされるか、刃が折れてしまう。蒼龍は、今まで鬼坊の剣術を目にしたことはない。それでも、相手が怪力の持ち主であり、その攻撃がとてつもなく重いであろうことは想像できた。だから、相手が攻撃する前に先手を打つことだけに集中している。しかし、それは鬼坊としても同じであった。一撃必中の相手に対し、後手に回ることは許されない。

 普通に考えれば、鬼坊のほうが圧倒的に有利であった。身長差に加えて、刃渡りも鬼坊の刀はより長い。間合いの広い分、鬼坊が先に攻撃を仕掛けられる。だが、蒼龍には奥の手があった。まだ、一刀一足の間合いに入る前、蒼龍が先に動いた。

 鬼坊の目には、蒼龍の持つ刀が二つに映った。構えたままの位置と、その反対側の位置である。そして、次の瞬間に、相手が逆袈裟に斬りつけたことが分かった。あまりの速さに、残像が目に映っていたのだ。しかし、まだ自分との距離は遠く、その行為の意味するところが理解できない。

「なんだ?」

 そうつぶやくと同時に、脇腹から肩にかけて自分の着物が斬られていることに気がつき、鬼坊は愕然として左手を胸に当てた。

 蒼龍の放った『かまいたち』が、鬼坊の体を切り裂いたのだ。致命の傷を相手に与えた蒼龍は勝利を確信した。だが、仁王立ちのままの鬼坊に視線を移し、それが誤りであったことにすぐ気づいた。

 鬼坊の切り裂かれた着物の下から、赤く塗られた鉄板が覗いている。彼はその身に具足を纏っていたのだ。

「これがお前の奥義・・・」

 斬られた箇所を指でそっと撫でると、痛みが走った。具足の表面に傷が付き、のこぎりの刃のような状態になっていたのだ。指から流れ出す血を口で吸いながら、鬼坊は笑った。

「恐るべき男よ。鎧を着ていたのは正解だったな」

 そう言うや否や、鬼坊は一気に距離を詰めてきた。蒼龍の頭上に、岩をも砕く渾身の力で刀を振り下ろす。蒼龍は、それを後ろに下がって避けるだけで精一杯だった。刃が空を切る音が響き渡り、蒼龍はその風圧を顔に感じた。

 鬼坊は、さらに前進して強烈な突きを放つ。喉元へ真っ直ぐに飛んでくる切先を、蒼龍は間一髪で横に避けてから今度は前に踏み出し、刀の棟に左手を添えて、鬼坊の首へ刃を充てがうように押し込む。それをしゃがんで避けた鬼坊は、すっと後ろへ下がった。蒼龍も同様に一歩下がる。

 両者はいったん離れて体勢を整えようとした。この命懸けの闘いが楽しいとでも言わんばかりに鬼坊は不敵に笑う。その顔を、蒼龍は厳しい表情で睨んでいた。

 どちらも再び、先程と同じような構えで向き合う。鬼坊は両腕を高く掲げて上段に、蒼龍は右足を前に出して横向きになり、腰のあたりに刀を下ろした。じわじわと距離を詰めながら、互いの動きを瞬きもせず凝視している。

 お菊は、二人の闘う様子をただ眺めていることしかできない。両手の指を固く組み、その手を唇に寄せて、祈るような姿勢で決闘の行方を見守っていた。できることなら、この死闘を止めたくて仕方がなかった。お菊としては、どちらにも死んでほしくはないのだ。だが、体が金縛りになったように動かない。二人の発する闘気が、彼女を近寄らせようとしなかった。

 緩慢な動きによって、二人は徐々に近づいてゆく。非常に長い時間が経過して、その間ずっと緊張を強いられてきたお菊は足の震えが止まらなくなった。

 そのまま腰が砕けて倒れるのではないかとお菊が思ったその時、二人の動きが急激に速くなった。その動きを追うことが、お菊には到底できず、何が起こったのか全く分からない。

 先に動いたのは鬼坊だった。すっと前に出て、自分の攻撃が届く位置に入る。すかさず蒼龍の脳天に刀を振り下ろそうとした瞬間、今度は蒼龍が動いた。前回と全く同じ動きで刀を薙いだのだ。しかし、その切先は鬼坊の体には届かない。鬼坊の刀は勢い余って地面にぶつかり、その刃が中央から折れた。折れた切先は、回転しながら闇の中へ消えて行く。

 お菊の耳に、キーンという甲高い音が聞こえてきた。知らぬ間に目を閉じていたお菊は、そっと目を開けて二人に視線を向ける。鬼坊は、折れた刀を下に振り下ろしたまま、そして、蒼龍は斜め右上に刀を持ち上げたまま、微動だにしない。勝敗の行方がどうなったのか、お菊には見当がつかず、無事なのかどうか確かめたくて、震える足を何とか動かし前に進もうとした。

「馬鹿な・・・」

 口を開いたのは鬼坊のほうだった。自分の振り下ろした刀が右にずれて、蒼龍には当たらなかったのである。突然、胸から腹にかけて、強烈な痛みを覚えた。左手で胸に触れると、鉄の板が切断されている。そこから血が噴き出し、自分が斬られたことに初めて気がついた。


 深夜、銀虫と猪三郎は、崩れかかった空き家を探し当て、その中に身を潜めていた。伊吹たちが停泊している宿は、蝙蝠の鬼の目によってすでに把握していたが、朝まで待機して追跡を続行しようとする猪三郎と、今すぐ宿を急襲して伊吹を捕らえようとする銀虫とで意見が対立していた。

「騒ぎを起こせばまずいことになる。人気のないところで襲うべきだ」

「捕まえた後はすぐ逃げればいい。誰も追ってこないさ」

 銀虫がヘラヘラと笑いながらそう答えるので、猪三郎は腹を立てた。

「すぐに捕まえられると思っているのか。抵抗されている間に町中から人が集まって、こちらが捕まる羽目になるぞ」

 怒鳴る猪三郎に、銀虫が慌てて

「馬鹿野郎、大声を出すな」

 とたしなめた。怒りの収まらない猪三郎は、銀虫から視線を逸らし、大きなため息をついて気を落ち着かせようとする。そのとき、銀虫がさっと立ち上がった。

「お前はここで待っていろ。俺たち三人で片を付ける」

 そう言って外へ出ようとする銀虫の肩を背後からつかみ、猪三郎が耳元でしゃがれ声を上げた。

「しくじって捕まれば、どうなるか分かるだろう。悪さする余所者に町の連中は容赦しない。袋叩きにされた挙げ句、さらし首になるだけだぞ」

 銀虫は黙って話を聞いていたが、猪三郎が言い終わるや手を振りほどいた。

「町人ごときで怖じ気付くような臆病者は黙ってろ」

 その後、銀虫が猪三郎に面と向かって放った言葉が猪三郎の怒りを買った。

「お前も鬼坊と同じだな。大きいのは体だけで、たいそう小心者と見える」

 その瞬間、猪三郎が熊をも倒す強烈な拳を銀虫の頬に向けて放った。完全に油断していた銀虫は、避ける暇もなく攻撃をまともに食らい、吹き飛ばされた。その体は土壁に激しくぶつかり、その周囲を大きく破壊してしまったほどだ。

 剣や弓矢の攻撃をものともしない銀虫も、猪三郎の一撃はかなり応えたようで、崩れた土壁に埋もれる体を起き上がらせようとしても下半身が麻痺したように動かない。顔は怒りに赤く膨れ上がり、体を小刻みに震わせるだけで、反撃することは不可能だった。

「お前たち、何をしてるんだ」

 物音に勘付いた近くの住民らしき男が、手に刀を持って現れた。猪三郎は静かに男に近づき、落ち着いた声で話しかける。

「すみません、泊まるところがなくて仕方なくこちらに。明日の朝には出立します」

 内に秘めた殺気を感じたのか、それとも猪三郎の巨体に恐れをなしたのか、男は口をポカンと開けたままうなずき、足早にその場を立ち去った。猪三郎は、それを見届けると踵を返し、元の場所へ戻っていく。部屋の奥には、蝙蝠と月光がうつろな目を猪三郎の顔に向けてふらふら立っていた。猪三郎は首を横に振り、壁にかけた松明を剥き出しの地面に放り投げて上から砂を掛けた。炎が止み、あたりは真っ暗になった。


 なぜ、二度目の攻撃で鬼坊の体を斬ることができたのか。蒼龍は、初撃での傷と全く同じ場所に向かって『かまいたち』を発したのだ。一の太刀で脆くなった箇所を正確に狙うことで、鎧ごと相手を斬り裂いてしまった。その精緻を極めた剣技に、鬼坊は驚きを隠せない。

「なんという男だ」

 そう言いながら、血で赤く染まった鬼坊は、折れた刀を捨て、小刀を手にした。まだ闘おうという気なのだ。

「もう止めて!」

 いつの間にか、お菊が近くまで来ていた。鬼坊は蒼龍に顔を向けたまま視線だけをお菊に移し、荒く呼吸をしながら、かすれた声を上げた。

「お嬢様、お蝶は死にました」

 鬼坊の言葉に、お菊は息を呑んだ。

「俺はもう、この世に未練はない。ただ、剣客の一人として、この男だけは身命を賭しても倒したい」

 そう叫ぶや、刀を持つ手を自分の顔の右側に引き寄せて、刃を立てて構えた。蒼龍は素早く左足を前に出して横向きになり、腰のあたりに刀を下ろして切先は鬼坊へ向ける。

 鬼坊は、辛うじて立っている状態であった。体からは血が流れ落ち、意識がだんだん遠のいていく。それでも彼は諦めない。残った力の全てを剣に込めて、鬼坊は前進し、蒼龍の背中へ斬りつけた。しかし、蒼龍は鬼坊の右側へ飛んでそれを避け、具足に守られていない左脇めがけて下側から刀で突いた。切先は首の右横から飛び出し、そこから更に大量の血が噴き出す。蒼龍が刀を引き抜くと同時に、鬼坊の巨体は仰向けに倒れ、あたりに砂埃を巻き上げた。

 眼前で繰り広げられた殺し合いのせいで、お菊はとうとう気を失ってしまった。その様子に気がついた蒼龍が、倒れそうになったお菊をすんでのところで抱きかかえる。

「大丈夫か?」

 お菊は反応がない。右手の血塗られた刀を地面に置いて、蒼龍はお菊を抱きかかえ、拝殿へ近づいた。その時、拝殿の奥がほのかに明るいことに初めて気がついた。お菊を濡れ縁の上にそっと寝かせ、拝殿の扉を開けると、中で座っていたのは雪花だった。

 勝負は一瞬だった。目を合わせた瞬間、蒼龍は体が麻痺してしまった。それでも、手には抜いた小刀を握りしめている。その反応の速さに雪花は驚嘆し

「あの鬼坊様を倒されただけのことはありますわね」

 と口にした。

「お蘭はどこにいる?」

 体が動かなくても話すことはできた。束縛から逃れようとしながら、蒼龍は早口で尋ねる。

「ご心配なく。私の後ろで眠っておいでですわ」

 雪花はそう答えたが、背後は暗くて何も分からない。少しの間の後、蒼龍は前からの疑問を雪花にぶつけた。

「なぜ、お蘭を連れ去った?」

「貴方様にお越しいただくためには一番効果的ですから」

「何のために?」

「取引をしたいのです」

 琥珀色の瞳を輝かせて微笑む雪花を、蒼龍は表情すら変えることもできず、ただ睨みつけるだけだった。

「どんな取引だ?」

「この仕事から手を引いてほしいのです」

 蒼龍には雪花の意図が理解できず、しばらく黙り込んでしまった。雪花は話を続ける。

「どういう経緯であなたが伊吹様を護衛するのか私は存じませんが、そのせいでお蘭さんまで危険な目に遭わせているのですよ。私は、その危険からあなた方をお救いしたいだけ」

 雪花が立ち上がり、前に進み出た。涼しげな鈴の音があたりに響き渡る。近づく相手を蒼龍は凝視しながら

「もし断れば?」

 と質問した。雪花は、それには答えずに問い返した。

「今、ここには私と鬼坊様の二人しかおりませぬ。他の方々はどうしているのか分かりますか?」

 その言葉に蒼龍は息を呑んだ。

「鬼坊様は、あなた方の考えを読んでいらっしゃいました。今、四人の刺客が伊吹様たちを追っています。それを止められるのは私のみ。もし、要求を受け入れてくださるなら、すぐに襲撃は中止しますわ」

 これは蒼龍も予想していなかった。刺客の中には、あの不死身の三人が含まれている。一度に襲われれば、そのからくりが解き明かされない限り、伊吹たちに勝ち目はないだろう。しばらく迷った挙げ句、蒼龍はこう切り出した。

「一つ、条件がある」

「どんな?」

「俺は正直に言って、伊吹殿がお菊殿とともに因幡へ戻れば、丸く収まるのではないかと考えている。だから、あの男を捕らえたければ好きにしていい。だが、護衛している者たちをこれ以上失いたくはない。彼らを殺さずにおくと約束できるか?」

 雪花は眉を持ち上げ

「どうやって証明すればよろしいですか」

 と尋ねた。

「俺とお蘭は旅を続ける。本当に約束を果たせるか、最後まで見届けさせてもらう。しかし、争いにこれ以上俺は手を出さない」

 蒼龍の示した条件に納得し、雪花はうなずいた。突然、束縛が解かれた蒼龍は片膝を突き、肩で息をしながら雪花の顔に目を遣る。

「あら、雨が降ってきたようね」

 気がつけば、滝のような音が聞こえてくる。外にあった篝火が少しずつ炎を弱め、鬼坊の死体は闇の中に消えてしまった。

「いかん、お菊殿も刀も濡れてしまう」

 蒼龍は急いで表に駆け出した。

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