第6話 設定台は一番下
「え? 何? パチンコ存在する可能性あるの? マジ? ホント?」
「ちげえよあるなら王都しか可能性ねえよって話だ、あそこでなければどこにもねえ。それにねえなら作ればいいだけの話だ。王都はギャンブルが盛んだからな。ギャンブルの大祓シリーズという大会の優勝賞金は当覇賞なんだが、それは国が全力を挙げて願いを1つ叶えちまう。これを求めて狂っちまう馬鹿ばかりだ。願いを叶えるまででもなく、パチンコとやらがあればあそこもちったあマシなんだろうが」
昨日決心した心がもう揺らいでます。遊都です。
木の枝を店の裏から拝借したお店、そう武器屋です。とは言っても鍋や鎌などもあって雑貨屋のよう。こちらはモンドさん。残念ながらドワーフではありません。聞いたら腕がいいのは皆王都だ、だそうで。ドワーフも恐らくそちらなのでしょう。ちょっとモンドさん不機嫌です。
これから冒険者生活をするとしてやはり武器がいる。
そういう訳で、元手なしで冷やかしにきてます。
ゴブリンでも退治しにいかないかって??
いやいやいや命を賭けたギャンブルはしたくねえんだよー。
金金金をかけたギャンブルがしたい。
でもテキサスホールデムかあ。テキサスホールデムはちょっとなあ。
ちょっと冷ややかな眼を向けないでもらえますかね巴さん。
確かにスモールキャタを狩っていたら小銭を稼げるけど2ヶ月コースなんだよな武器そろえるのに。
「どうするのこれから? 生活を安定させるのが目的ではないのだけれど」
「先立つものは必要なのよね」と言って。巴は槍を持っては元の場所に戻している。
幸いにも最低限の衣食住は保証されている。
だけど、それは生きているだけで、俺たちは帰らなければならない。そしてその帰る方法を探すしかない。
「モンドさんからの助言をまとめると情報を得るためには王都。そして王都に行くには冒険者ランクをDにしなければならない。そして、まずEにするためにゴブリンを倒さなければならない。んで倒すためには武器がいる。武器には金がいる。金を稼いでこい、と」
「金を稼ぐ依頼で一番簡単な討伐依頼がゴブリン退治なのよね。魔力草採取もゴブリンのねぐらの奥って話らしいわ。キャタピラーでべとべとはもう嫌」
「城壁内に行っても、より中心である王都に行こうとすると冒険者ランクが必要になるぞ」
「そもそもランクって何まであるのよ」
「そりゃFからSSまでだな。Fが
「なんか半端だなSSSとかないのか」
すぱこーんと鞘でモンドさんからはたかれた。
「馬鹿やろうけったいなこと言いやがって、そりゃあお前陰謀論だ。王がSSだからな、間違っても王都で言うなよ、不敬罪になっちまう……物騒だからな」
まだ獲物をウィンドウショッピングしてた巴に向かってモンドさんががなりたてる。
「大体王都でもない城壁内の街でもない辺境に武器もくそもねえよ。魔物が強いのは王都だ。まあこのあたりは平和ってこった。それに神級装備なんてものは全部王族が押さえてるって話だしな。いい武器は基本的に売ってねえ。王都ってのはいい武器手に入れるにも、冒険者ランクを上げていくにも大概テキサスホールデムでなんとかなる。嫌んなるぜ。まあ儂が言ったら元も子もねえがな」
「冒険者なの? ねえそれ? ただのギャンブル好きの駄目国家に聞こえるわ」
「駄目国家か! 違えねえ。魔物も囲い込んでギャンブルに狂ってる国だからな王都とその圏内まで含めて魔都なんて言い方をしてる輩もおるし。テキサスホールデムが国策で推し進められてから大体50年か……どうなっちまうんだろうな」
テキサスホールデム……この世界でも聞くことになるなんてな。
頭からテキサスホールデムを振り払うため素振りし始めた俺にモンドさんが言う。
「スキルがあるだろうが、持ってても使わないとレベルも上がらないし、意味ねーぞ」
さっさとゴブリン狩って稼いでこいと他の客が入ってきたタイミングで追い払われた。
「どうするの?」
「とりあえず森に行ってみるか1匹だけならなんとかなるのかも」
俺たちは油断していた。
異世界転移の当事者になったことで、まるで物語の主役か何かと勘違いしてたのかもしれない。
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