第2話 隣のニート

「俺だよ。桜庭航。」


カーテンを開けると、私が最後に見た時より背が伸びた、航がいた。隣の家に住んでる航とは小学生の頃までは結構仲が良かったと思う。中学に上がって、自然と話すことも減って、航が不登校になったという噂を聞いた時にはほぼ関わりはなくなっていた。それでもそれなりに心配はした。それ以上にできることはなにもなかった。


「ご、ごめん、あの、急に窓叩いたりして。」

「あ、だ、大丈夫だよ。それで、どうしたの」

「あ、えっと、彩、が、不登校だってきいてその、、」

「あー、、そうだね、あは、は」

「あの、俺も、不登校なんだ。だからなんか力になれるかもなーなんて、な」

「え、、ありがとう、、的な、」

「まぁ、俺もニート脱却できてないんだけど、

あ、だから俺なりのニート生活の楽しみ方を教授してあげるみたいな、、はは」

「あはは、、なにそれ。脱却する方法教えてよ。」

「はは、あの、お、俺さ、友達いなくて毎日暇でさ、だからその、親が寝た後、とか話したりゲーム、とか、彩さえよければ昔みたいに、遊んだりしたいなって、、」


数年ぶりに話した幼なじみは想像もつかないような申し出をしてきた。昔みたいに、遊ばないか、ってお互い高校生で、もう昔とはなにもかも全然違うのに、、。でも、航はずっと家で1人寂しかったのかも、そんでもって私も同じ状況なんだ。昔みたいに遊ぶか、あの頃は何して遊んでたっけ、、


「あ、彩?」

「えっあっうん。ありがとう、、いいよ」

「いいの!ありがとう、あ、嫌だったらすぐいって欲しいんだけど、てか、ごめんこんな夜に、久しぶりに話せてよかったわ、じゃあまた、、」

「うん、ばいばい」


数年ぶりにみた、幼なじみは見た目こそ成長したものの、中身は昔のままで、優しくて、少し自虐的なのも変わらないみたいだった。外にでて人と会うのは怖い、けど航と話すのは、、。

結構楽しかったな。お互い不登校の引きこもりどうし、ずっと家にいてもやることなんてなにもない。それに、結局人間は人との関わりが欲しいものなのだ。傷の舐め合いかもしれない。

それでも、部屋に1人で不安で押し潰れそうになるあの時間が、少しでも減るならいいのかもしれない。


「久しぶりに、人と話せた、、。

まぁまぁ楽しかったな。」





















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ニートでも2人なら人生やり直せますか!? @nana00

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