夏の朝習慣【第七回「朝」】

「おはよう、お兄さん!」

「あぁ、おはよう」

 元気な子どもの声を聞きながら、古書店の店主は箒を動かす。彼らの行き先は近くの公園だ。早起きの習慣をつけるために、この時期になると毎日参加型の運動イベントが催される。今年は週替わりで球技をするとチラシに書かれていた。参加すると出席の証としてスタンプが押され、会期中全ての日程のスタンプを集めると、店舗ごとにおまけがもらえる仕組みになっている。

「今年は、どの話にしようかな」

 古書店は、毎年違う小話がおまけだ。中身を選ぶのは楽しいが、小冊子を作るのは一苦労なので、そろそろ取りかからなければならない。まるで学校の宿題のようだ、と苦笑しながら店主は掃除を再開する。

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