移ろう加護【第六回「祈る」】

 日の光を浴びて、キラキラと輝くステンドグラス。虹色の影を白いワンピースに映して、少女は十字架に向かって祈りを捧げていた。静寂に包まれた教会に、こつこつと静かな足音がやってきた。少女は後ろを振り返らず、ただ祈っている。

「あんたを運べと言われて来たんだが」

 男の言葉に少女はくるりと振り返り、じっと男を見つめる。そして、ゆっくりと首を傾げた。

「最後にここにきた神父からの依頼だ。寂しそうにしているなら、連れてきてくれと」

 少女はこくりと頷き、立ち上がる。少女が男と共に出口に向かうにつれ、教会はさらさらと魔法が解けるように朽ちていく。男は物言わぬ瓦礫を一瞥して、少女をバイクの後ろに乗せて走り出す。

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