仕事終わりの依頼【第五回「待つ」】
「ねぇ、まだぁ?」
「あぁ、まだだ」
肩に乗った獣の相棒が何度目かの深いため息を吐く。路肩に止めたバイクに跨がったまま男は、のんびりと本を読んでいる。
ここで次の依頼主と落ち合う約束をしている、と男が言ったのが朝。今はもう太陽が地平線に沈もうとしている。これまで、男に話しかけてきたのは近所の話し好きのおばさんだけだ。獣がふて寝をしようとバイクの荷台に下りるのと同時に、男はぱたんと本を閉じて顔を上げる。
「確かに、引き受けた」
男の言葉に反応するように、ぱっと手元が明るくなる。閉じた本の上で、まるで太陽をそのまま囓り取ったような宝石が、ラベル付きの瓶に入って輝いていた。
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