見合った対価【第二回「甘い」】
「それで、仕事受けちゃったの?」
「まぁ、成り行きでな」
小さな小包をバイクに固定する男の言葉に、相棒の獣は深いため息をついた。
契約を結べば頼まれた荷物を何処へでも届けるのが運び屋の仕事だ。その道中には危険がつきまとう。故に見合った対価を一緒に貰うべきなのに、この男は片道の路銀といくつかの果物のみで仕事を受けたのだ。
「いくら子どもの頼みだからって、甘すぎるんじゃないの?」
「じゃぁ留守番するか? しばらく帰ってこないぞ」
「……行くよ、行けばいいんでしょ!」
いーっと歯を見せて威嚇をしつつも、獣はぴょいと男の肩に飛び乗った。ふさふさの尻尾で男の頬を叩くのは、気持ちばかりの抵抗だ。
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