2023年

嘆きも許さぬ(第1回 お題「初」)

 初めてのことだから緊張するよね。

 大丈夫、君はそこに座っていればいい。

 君の正面には分厚いカーテンがかかっていて、誰も君が真っ青な顔で震えているとは分からない。

 門が開いたら、音楽がはじまり、人が入ってくる。

 音楽が終わったら私が最初の文言を言うので、その後に君がその手元の紙にある言葉を言えば、儀式は終わりだ。

 泣いて首を振っても無駄だよ。君は私に選ばれたのだから。

 この国では、神官に望まれれば光の精霊が闇の精霊にも、水の精霊にも変わる。そのやり方に慣れてもらわなければ困るのだよ。

 いまの君はただの奴隷、主人の命令を拒否する権利はないのだ、隣国の精霊よ。

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