毎月300字小説企画参加作品(2023年~)

虚影庵

おしまいの音(第19回 お題「きらきら」)

 世界はすべてきらきらと光っていました。

 小さく割れたガラスのかけらたちが、落下しながら陽光をはじいているからです。

 生き物も、建物も、すべて溶けて消えてしまったむきだしの地面に、ガラスたちは落ちてゆきます。地にあるガラスとぶつかって、高く澄んだ綺麗な音を響かせて、それは降り積もってゆきます。

 長く、長くかかって、空中ではなにも光らなくなり、地上でもなにも音を立てなくなりました。

 その様子を見守っていたモノが、ふうと溜息をつきました。

 「まあまあ、でしたね」

 その言葉を聞いて、小さなモノたちがまた新しい世界をつくりはじめます。あの方が満足するような、世界が壊れる時に聞こえる音を奏でるために。

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