第2話 ここで何が①

 「すみませーん」

誰かがやってきた。マーディーはたまに誰かと一緒に何かをしている。その内容は決して教えてくれない。今回もきっと教えてはくれないのだろう。

 しかし、今回は違った。

「レティシア、少し動けるか?君に用がある人がいるんだ。」

マーディーはそう言うと、私の部屋に誰かを連れてきた。碧い髪、黄色がかった瞳に少し透けてしまいそうな肌…どこか私に似ているような気がした。

「初めまして、レティシア。マーディーさんからよく聞いているよ。私の名前はユリス。魔法使いさ。」

魔法使い…?何を言っているんだろう。聞かなかったことにしよう。

「初めまして、ユリスさん。レティシアです。」

「ユリスはレティシアをずっと探していたらしくね、魔法で君の居場所を見つけてすぐに来てくれたそうだ」

私を…探す?何の為に?

「すみません、色々と聞きたいことがあるのですが、伺っても?」

「もちろん」

「まず、魔法ってどういうことですか?あと、なぜ私を探していたんですか?」

「君のその黄色い宝石のような瞳。それは魔法使いを象徴するものの一つなんだよ。しかも黄色はレアだ。君はどこで捨てられたかは知らないが、本来魔法使いの国で育つはずだったんだよ。私はどこか人間の国に魔法使いが、特に君みたいなレアタイプの子が紛れ込んでいないかを探すことが仕事でね。」

「え?」

信じられない。私が魔法使い?確かに、私が魔法使いで彼も同族なのであれば、最初に会った時に感じたことはあながち間違ってはいなかったかもしれない。

「つまり、私は人間ではなくて、魔法使いだから、魔法使いの国に行かなければならない、ということですか…?」

「そういう訳でもないよ。君が望めば私が責任を取って引き取るし、ここにいたいなら、君はここにいるといい。」

「そうですか。分かりました。答えて下さりありがとうございます。」

マーディーは少し困った顔で私を見ていた。

「それで、どうする?レティシア。ここを出て、魔法使いの国に行くか、ここに残るか。」

ユリスが聞いてきた。外に行きたい気持ちもあれば、長年一緒にいたマーディーのそばを離れたくない気もする。何より、背中の傷のことが気になる。

「…少し考えさせてください。」

「もちろん良いとも。では、私は少しマーディーさんと話をしてくるよ。」

彼とマーディーはそう言って私の部屋から出ていった。

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