夢より

@mochi-oichi

第1話 この時間

 何故だろう。私が1番努力した。誰よりも辛い思いもして、誰よりも泣いて、誰よりも輝いた。なのに、なぜお前なのだろうか。

  「       」



 背中が痛い。小さい頃にできた傷がまだ痛む。ここはジュードリー病院。私、レティシアが生まれ、育ったジュードリー市唯一の病院。ジュードリー市はあまり発展した場所ではなく、親をなくした子供、訳あって都市に住めなくなった人々が多く住んでいる。

「おはようレティシア。背中は大丈夫か?」

私の専属医師兼育ての親である、マーディーが部屋に入ってきて言った。

「大丈夫では無いかな…まだかなり痛むな…」

「そうか…もう16年経ったのにな…」

私の背中の傷は、昔マーディーが私を拾う前に誰かにつけられたものだという。推定17歳の私はもうそろそろ病院から出たいが、この傷のせいで動くことが出来ない。だが、困ってはいない。マーディーはとても優しくしてくれる上に、私の傷を毎日見て治す方法を研究してくれている。今だって辛いが、最初の頃よりはマシになった。マーディーと、父と一緒なら、このままでも良い。そう思っていた。

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