第16話 カナリア view

 数時間前………。


「…………」


 うつむいてしまう誠。先程までに焦りを覚えていた表情からの変わりように私とフードの男も黙ってしまう。

 その後、沈黙を破るようにフードの男の左腕が破裂した。


「ああ! あああああーー!ー!、!!!!!」


 フードの男は言葉にならない叫び声で崩れ落ちた。

 何が起こったのかはわかったが、それを彼がしてしまったことに恐怖心が込み上げる。

 誠はうつむいたままフードの男の方へと歩み寄って、足元でとまった。


「おい。それだけなのか?」

「ひっ!」

「おいおいおいまさかこんなもんじゃないだろ?俺が呼ばれたんだから余程の状況じゃないのかよ…。もっとやべぇ奴らがうじゃうじゃいると思ってこいつをうそぶいて入れ替わったのによぉ」


 悪態をつきながらフードを暴く誠。苦悶の表情を浮かべたままの優男だった。浮かんだ紋様を見る限りあっち側の人間だということがわかった。


「とりあえず、俺に敵意を向けたことを後悔するんだな」


 誠がそう告げた瞬間にフードをつけた男は爆発し、血が弾けた。

 辺りに血が飛び散り私も返り血を浴びた。


「ちっ…持ってねぇか。毒だけ吐いといて、解毒薬とか持っとけよ。自分に跳ね返るとか考えないのかよ…ったく」


 悪態をつきカナリアの方を向き近寄る誠。


「ひっ…」


 恐怖心が一気に湧き出る。ここから逃げないと…。


「おい。んな警戒すんな…。今解毒魔法を作るから…」


 一気に距離を詰められ、腕を握られた。


「少し体がほてるけど我慢しろよ」

「んっ…」


 全身に熱が駆け巡る感覚…。下手をしたら殺される可能性があるだけに動けなかった。

 一分ほど握られていたが、離れると熱が逃げるとともに身体が軽くなった。思わず立ち上がった。


「おっ、成功だな……………」

「あり…え?」


 彼はそれだけ言い残し、その場に倒れた。


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