第2話 転生……だと思う

 記憶は元のがある。だか、身体が思うように動かない。そして…。


「あー、よしよし…今日もかわいいねー」


 キラキラした目で俺を毎日欠かさず覗き込んでくる女性。おそらくこの人が母親なのだろう。手を見ても想像より小さく、それ故赤ん坊なのだと理解した。


 時は流れ…。


 自我がある程度できるようになり話せるようにもなった。幸いにも言語や文化が記憶にあったというところと赤ちゃんということで学習能力も高かった。


 だが、時折目を凝らすと人の周りやらなんやらにメラメラとしたオーラのようなものが見えるようになった。普段なら気にならないものの、ふとした時に見える。


「このボアボアみえるのはなぁに?」


 俺は気になり父親に質問してみた。


「なに!?」


 父親は目を剥き驚いた表情を見せた。やべっ、余計なことをいったかも……。


 父親はさらに俺に近づき両肩に手を置いた。そして、俺の目をじっと見つめた。


「じーーーーー」

「ど、どうした…の?」


 悪いことをしたような気分になり、かろうじて聞き返す。それでも父親は目線を外さずこちらを見たまま唸っている。


「何かあったの?」

「ああ…確証はないがこの子は魔力が見えてるみたいだ…」


 ん?今、魔力と……。ということはこのオーラのようなものが魔力?

 だが、それを知ったところでこれを有効活用できなければ意味がない。

 何やら親同士で相談しているが、その言葉は自分の思案でかき消されてしまった。



 次の日、まだ言葉をうまく話せるかどうかの俺に父はこういった。「お前は魔法師にする」と。

 俺の方に手を当て、ゆっくり話し出す。


「この世でその力を視られるというのは聞いたことがない。それは、凄まじい力だ…。だが、それ故にお前を異色のものとみなし忌み嫌うものもいるだろう」


 父親は言葉を切った。自身が理解する時間ができるように間を置く。

 魔力を見る力が、貴重だということは言葉では理解できるものの、イマイチ実感が湧かない。それに意識しないと見れないので戦闘という意味で捉えた際にはそれに囚われて本来の魔法構築がおろそかになり、むしろいらないのではとも感じていた。


「だから、この力を使えるということは誰にも言っては駄目だ。いいね…」


 俺の目をじっと見つめ肩を軽く押された。

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