第05話 のじゃロリ神が現れた
夢を見ている、そうこれは夢だ、きっと夢だ……夢であってくれ。
俺の目の前で行われている惨劇、上半身裸で
暫く呆然と眺めていると突然すべてが消え白い空間だけが残った。
「こ、これは違うのじゃ、これは妾のコレクションではないのじゃ、アマテラス姉さまが前置いていった、はわわわわ」
気づけば目の前に可愛い女の子がいた、服装はなんていうか改造された巫女服とでも言えば良いのだろうか、現代のとは違って色々なと所が際どい感じだ、はっきり言ってエロいと思う、着ているのが中学生くらいの女の子じゃなければ……そうです見た目まんま俺です自分で可愛い女の子とか言ってごめんなさい。
後なんかトンデモ発言を聞いた気がするが聞かなかったことにしよう、と本能が何か危険なものを察知している。
「先に言っておくが妾とて好きで、こんなちんちくりんな格好をしておるわけではない無いのじゃ、本来の妾はこうもっとナイスバデーな見た目なのじゃ、それと先程見たものは最初から無かったのじゃ、そうしておくのじゃ姉さまは怒ると怖いのじゃ」
ちんちくりん言うな……おかしい……なんだか心の
「ここはそう言う場所じゃと思うておれ、多少の無礼は気にしないのじゃ」
しれっと人の心読んでない?
「だからここはそういう場所だと言っておるのじゃ、ちなみにお主が妾の心を読むのは無理じゃからな、まさに格が違うというやつじゃな」
そう言って「カカカ」と笑っている。
「つまりはだ、その姿は俺を模して作った、ここでは俺の考えていることはまるわかりで、逆に俺はあんたの考えは読めないと……そういう事だな」
「うぬ、概ねそれで合っておるのじゃ」
「なんか含みのある言い方だな」
ここが夢の中と考えるとそんなものなのかな、俺に主導権がないのは解せないけど。
「ふむお主はここを夢の中だと思うておるが今お主は臨死状態じゃからな、時限の臨死じゃから時が来れば蘇生はするから安心するが良い」
さらっと臨死状態とか言いやがった、まあ蘇生できるって言うなら良いのか?
「話がずれてしまったが改めてなのじゃ」
眼の前の俺の姿をした神が「うおっほん」と1つ咳払いすると居住まいを正す、心なしか威厳のような神々しさを感じなくもないがきっと気のせいだ。
「我が血に連なる者よまずは神に至る道を一歩進んだことを祝福しよう、これからも精進するが良い、真の神の
暫しの沈黙。
「…………それで?」
「それだけじゃが?」
…………え?マジで?これだけのために俺臨死の状態にされてここにいるの?
「と言うのは半分冗談なのじゃ、本題は後に回すとしてお主が聞きたいことに答えてやるのじゃ」
「本題を先に済ますとかでは駄目なのか?」
「別にそれでも構わぬのじゃが、本題が済んだらお主は強制退去になってしまうのじゃ」
強制退去されるにしても、聞きたいことを聞いてからの方がいいな、色々疑問もあるし願ったり叶ったりか。
「ちなみに妾の年齢とスリーサイズは内緒なのじゃ」
「じゃあ、まずは俺が男から女になった理由とか詳しく教えてほしいな」
「そう真顔で無視されると心に来るものがあるのう、まあ良いそうじゃのそれに関してはお主の先祖が神に成るために、ある神と契約したからじゃな。男から女に成るという奇跡を体現することで、神格を得て神に一歩近づくことが出来るのじゃ、そして神格を得ると信仰を集めることが出来ての、それが極まれば神に到れるというわけなのじゃ」
結局その神になろうとしたご先祖様のとばっちりが俺たちに降り掛かっているって事でいいのかな。
「お主のように神になど興味がない者にとってはそうなるのう、だがな今の世で神に至るどころかその切っ掛けすら得るのは難しいのじゃ、それを性別が変わる事で得られるのは本来幸運な事なのじゃ」
これ以外でも色々聞いてみたが、ご先祖様は結局神になれ無かったみたいだし、契約を解除しようにも契約した神事態が既に消滅しているとか、後は一応確認のために聞いた男に戻れるかも「無理なのじゃ」の一言で終わった。他にはこの目の前の神と対話したのは、直近だと姉ちゃんだけと言う事らしいそれまでは数世代無かったと言っていた。
あとこの目の前の神についての質問はことごとく「答えられぬのじゃ」だし、名前すら教えてくれなかった「察しはついておろうが妾から答えることは出来ぬのじゃ」という事らしい。唯一答えてくれたのが、俺はこの神の直系なのかかという事だけど「直系ではないが最も近い別家というやつなのじゃ」とおばあちゃんに聞いたのと同じ感じの答えだった。
「さてそろそろ本題に入りたい所なのじゃが、ここに来ることが出来た事による褒美代わりに1つ神気について教えてやるのじゃ」
「神気?」
「そうじゃ、今のお主は神気を垂れ流している状態じゃ、今のまま戻ってしまうとお主の周りのものが、お主の神気に充てられてあまり良くない影響を受けるのじゃ」
「そうなのか?その神気ってのはよくわからないんだが」
「ふむわからぬか、なら一度神気を浴びてみるが良い」
そう言った途端少女からとてつもない圧を感じた、これが神気というものなのだろうか、時間にして1秒にも満たない間だったが体が勝手に跪きそうになった。
「これが神気じゃ、今感じた力を己の内から探してみるのじゃ」
己の内……取り敢えず目を閉じ探ってみると意外とあっさり見つかった、多分なんでだと聞いても「ここはそういう場所なのじゃ」という答えが返ってくるのだろう。確かに見つけたこの力は決壊したダムのように垂れ流し状態になっているのがわかる。
「お主うまい表現をするの、そうじゃお主が思ったようにその壊れたダムを修復するイメージをしてみるのじゃ」
壊れたダムをなんとかしよ言うと考えを巡らせる、取り敢えず石垣でも積んで見るかと石垣を積み上げ穴を塞いだ、これで良いのだろうかと思っていると、勝手に穴が綺麗な壁になるのが頭の中に浮かんできたので多分これで良かったのだろう。
「これって俺の中にずっと留めていても大丈夫なのか?風船みたいにバンッってなったりしないよな?」
「お主神気をなんじゃと思っておるのじゃ、ここでなら問題ないが戻った先であのまま垂れ流して居ればいずれ死ぬだけなのじゃ」
「そう言う事は最初に教えてくれない、聞いてなかったら危なかっただろ」
「うぬ忘れておったのじゃ、すまぬのじゃ」
こののじゃロリ神一発殴ってやろうか。
「なんぞ不名誉な呼び方はやめい、神気の使い方は戻ってから己で工夫するのじゃ、既に止められているのじゃがら放出も出来るじゃろう」
放出を試してみたら普通にできた、水のように出すことも体を覆う感じでの放出も色々出来るようだ、効果はわからないけど。
「ふむうまいものじゃの、さてそろそろ頃合いなのじゃ、ここらかは真面目な話じゃ」
そう言うと少女の体が光だした、眩しさに目を細めていると気づけば少女の姿は手足はすらりと伸び胸も豊満に膨らみ、服装も相まって艶美という言葉がぴったりな姿になっていた。
「今よりおよそ5年後大厄災が起こる、故に人よ備えよ」
真剣な表情でそう言った目の前の存在からは身も竦むような神気の圧を感じた。
「我ら神の座にあるものは直接手を貸せぬ、故に我が血に連なるお主に我が神器の1つである鉾を託そう」
突然俺の目の前に、俺の身長ほどの長さの槍のような鉾が現れた、その鉾には小竹葉が巻き付き鉾の刃部分と持ち手の間にあるツバには複数の鈴がついている。体が俺の意思とは関係なく勝手に動き鉾を手に取る、鈴がしゃりんしゃりんと音を奏でる。
恭しく鉾の長柄部分を手に持ち頭を下げる「謹んでお受け取りいたします」と言う言葉が自然と口から出ていた。
「うぬ、本来1世代に1人しか男児が生まれぬ中、2人目の男児であるお主が生まれた、そのお主は女人となり神格を得た、そして今神器がお主の手にある、見事大厄災を超えてみよ」
手に持っていた鉾が光りとなり、俺の体に入ってくる……暖かい、そして神器を得た事により俺の位が一段階上がるのを感じた。
「神になるならぬはお主次第じゃ好きにすれば良い、ただ此度の大厄災は今までで最大規模になるであろう、故に守りたき者を守るためお主は強くあれ」
目の前の存在がパンッと
「さて時間なのじゃ、お主は戻るが良い、もう直接会うことはないじゃろうが息災でな」
その言葉を聞くと共に俺の意識は閉ざされた、お礼の一言くらい言わせてほしかった。
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