第06話 漏らさなくて良かった
目が覚めた、ここは本邸の客間のようだ、時計がないので時間がわからないが障子から透けている光で夜が明けている事が分かった。取り敢えず起き上がる、服が着物じゃ無くなっていて、誰の物かかわからないが猫の顔の模様が沢山付いているパジャマを着せられていた。
あ、やばい漏れそう……急いで目を瞑り心の中でイメージする。うん生理現象のほうじゃないからな、神気が漏れそうになっていただけだからな、結局あそこでは内に留めているとどうなるかは教えて貰えなかったんだよな。
取り敢えず漏れそうになっている神気を全身に行き渡らせるイメージをしてみる、すごく思い通りに動きすぎて逆にこれでいいのか迷うな。まあいいか全身に行き渡らせる事で漏れそうになっていた神気が治まるのがわかった、手をぐーぱーぐーぱーしてみても違和感はない、結局神気って何なんだろうな、おばあちゃんに聞けば何かわかるのだろうか。
ほっとした途端今度こそ尿意が襲ってきた、やばい漏れそうだ急ぎ立ち上がり厠へ向かう、廊下に出ると何人かの人に呼び止められそうになったが「ごめんなさい」と言ってトイレへ駆け込んだ。用を足した後手を洗い厠を出ると姉ちゃんが出待ちしていた。
「怜無事に目が覚めたようね、よかったよかった」と頭を撫でてきた。
そこで気づいた、神気を纏っているからだと思うけど、姉ちゃんが一瞬だけ神気を纏ったのが分かった、一瞬の事だったけど見間違いではないと思う。
「さてとおばあちゃんに起きた報告をしに行くわよ、夢の中で何を見たかとかそれに既に神気を使えてる事もね」
「俺も聞きたいことがあるしそれは良い……その前に着替えさせてほしいんだけど」
「いいじゃないそのままで可愛いわよ」
姉ちゃんは「仕方がないわね、確か怜が寝てた客間に着替え置いてたと思うわ」と言って俺が寝ていた客間に連れて行ってくれた。俺が厠へ言っている間に布団は片付けれていたようで、部屋の中央付近には着替えらしきものが置いてあった。
手にとって広げてみると白いワンピースだった、少し迷っていると部屋の外から「着替えるの手伝ってあげようか?」なんて笑いの含んだ声で聞いてくる、この感じから見てこれを用意した主犯は姉ちゃんだろう。
他に着替える物もないので仕方なくワンピースを着ることにする、なんだか心なしか胸が膨らんでる気がするが気のせいだろう。着替えも終わり姉ちゃんと一緒に、おばあちゃんが待っている奥の間に移動する。
ふと気になって両親はどうしているのか聞くと、とっくに帰ったと返された、なんと俺は3日ほど寝ていたらしい。寝てる間の生理現象は臨死状態だった事で生命活動がほぼゼロに近かったようで大丈夫だったみたいだ、お漏らしとかして無くてよかった。
奥の間に付くとおばあちゃんとおじいちゃんが待っていた。
「怜無事に目覚めたようだね、それじゃあ夢の中で何があったか聞かせてちょうだい」
「うん、分かった……」
俺の話はのじゃロリ神に会った事から始まり、聞いたあれこれをや神気の使い方を教えて貰ったことなどその都度質問に答えながら話した。ちなみに漢祭りの事に関しては言っていない、うん俺は何も見ていなかった。
そして話が大厄災の話になった所でばあちゃんが何度も念押しするように本当かと聞いてきた、俺は大厄災が何か知らないけどそう言っていたと、ついでに神器も預けられたと言いながら鉾を顕現した所で、おばあちゃんが倒れそうになりおじいちゃんに支えられながら「少し席を外すよ」と部屋を出ていった。
鉾の出し入れは神気と同じで簡単に出し入れできた、ちなみに他人に渡せるか試すために姉ちゃんに渡そうとしたけど無理だった。この鉾だけど武器としては使えないようであくまで祭具になるらしい、いつの間にか知識として知っているという謎仕様である。
姉ちゃんがすごい冷静だなと思ったけどそういえば姉ちゃんもあの、のじゃロリ神に会ってたんだよなと思ったので、姉ちゃんは大厄災の事知ってたのかと聞いたが「流石に怜ほど詳しい時期までは聞いてないけど、遠くない時期に起きるとは聞いてたしおばあちゃんにも報告してるよ、と言っても8年前の事だしね」との答えだった。
おばあちゃん達が出ていった後に、使用人さんがお茶とお茶菓子を持ってきてくれたので、それを食べながら姉ちゃんの時はのじゃロリ神とどんな話をしたかと聞いてみたけど「8年前だからあまり覚えてないけど、怜と対して変わらなかったはずよ」と言う事だった。他にもおばあちゃんに聞こうと思っていたことを何個か聞いた。
話の途中でついうっかりあの神の事をのじゃロリ神と言ったら、お腹を抱えてしばらく笑っていた。当時は姉ちゃんも俺と変わらない外見だっただろうし、あののじゃロリ神も当時の姉ちゃんを映し身にしてたのならそうなるよな。
話は戻してまずは神気の事だ、まとっていない時はどうしているのか。答えは触媒とパスを恒げ普段はそこに流し込んでるという答えと共に、首元から紐が通されている2本の指輪を取り出し見せてくれた。
その指輪を愛おしそうに撫でながら「怜も学院から同じ指輪が送られてくるわ、まずはそれに神気を送るようにしたら良いよ、それとある程度溜まったら神へ奉納する流れになっているわ」と教えてくれた、今の俺には全身にまとう以外の選択肢はないらしい。
次に大厄災についても聞いてみた、大厄災とはつまりは日食のことらしい、と言っても普通の日食ではなく起こり得ない全世界同時の日食が起こるらしい、月と太陽が直線になり起こる普通の日食とは違い、それは長時間下手をすると数日の間続くと伝えられているみたいだ。
姉ちゃんがのじゃロリ神にそれを教えられた時に関係各所と共に調べてわかったことみたい、その時に預言者やら占い師やら星読みやらが占った結果大厄災は近い将来起こる事だけは分かっていたんだって。
それと大厄災が起これば何が起こるのかだけど、アマテラスオオミカミが岩戸にお隠れになった時に魔なるものが出たという話しを聞いた事はないだろうか、つまりはそういう事だ魔物、アヤカシ、悪魔、鬼など呼び方は違うが根源が同じ物が現れだすと、この話を聞いてのじゃロリ神が備えよと言うのはこれの事かと分かった。そんな話をして待つこと30分程たった頃おばあちゃんとおじいちゃんが戻ってきた。
「明日京へ行くから望と怜はもう一晩ここに泊まりなさい」
「京? 俺と姉ちゃんも?」
「そうだよ、5年後大厄災が起こる事を関係各所に知らせないといけないからね、総括する場所が京にあるんだよさっきそこに招集をお願いしておいた」
この感じだとうちの様な不可思議な事に関わる家が他にもあるって事か、意外とこの世はファンタジーが溢れているらしい。
「怜は疲れているだろうし早めにご飯を食べて風呂に入って寝るといい、ご飯と着替えは客間に用意させているから先に下がっていなさい、望は少し相談があるから残って頂戴」
そういう事ならと先に戻らせてもらう事にした、部屋を出て廊下に出ると外はいつの間にか暗くなり夜になっていた、話をしていた時間を考えると俺が起きた時点で昼は過ぎていたのだろうか。客間に付くと食事が用意されていたので早速食べることに、あまりお腹が減ってる気はしなかったが、胃の中は空っぽだったのだろうか完食出来た。
お風呂に関しては割愛だ、一応姉ちゃんに教えてもらった事を思い出しながら実践はしておいたが、もう既にあやふやな部分があって疲れたとだけ言っておこう。寝間着に関しては朝着ていたのと色違いだった、ほんと誰の趣味だよこれ。
部屋に戻ると既に布団が敷いてあったので寝ることに、今時の小学生には珍しい事らしいが俺はスマホや携帯を持っていないのでやる事がない、3日寝てたはずだけど布団に入ったらすぐに寝むることが出来たようで、気づけば朝になっていた。
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