5分だけ
「そう、なにも。それで今までの君の気持ちがわかったの。」
「俺の気持ち?」
君が戸惑った声を出す。
「そう。私ね今この瞬間も君のために時間を使いたくないの。最近よく君が言ってたよね。メールの返信が億劫だって言ってた気持ちも、5分で早く帰りたくなる気持ちもよくわかったの。」
「……それは。」
君はなにか言いづらそうにする。
「いいよ、誤魔化さなくたって、言ってたの覚えてるし、君の嫌そうな顔くらい嫌でも覚えて知っちゃったから。もういいの。何も思わないから。君だって私に対して何も思わない。そうでしょ?」
「……………俺は、まだ好きだよ。」
「……っ。そんな嘘いらないよ。たとえ、嘘じゃなかったとしても、もう戻れないや。君を好きだったあの頃には。」
「絶対に?」
君が辛そうな声を出す。
「うん。絶対に。君への気持ちが戻ることは無い。私が好きだった、尊敬していた君はもう居ないから。私はもう君がどんなことを言ったって許さないし、許せない。だからね、この関係をズルズル引き伸ばしになんてしたくないの。そんな未来になることだけは、私は絶対に嫌だし、許せない。」
君はまた何も喋らない。
代わりに私が口を開く。
「だから、私たち別れよう。もう、終わりにするの。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます