第16話 不死と終わり
しばらくの間ミーネには寂しい思いをさせることになってしまうが、俺は一度旧食堂を離れ混然術士のマロットを探しに行くことにした。
(食料などの心配はないようだが…)
壊嵐霧に呑まれたミーネは霧への耐性を持っていたため怪物にはならなかったがその肉体には変化があったようで、彼女の話によると食事や睡眠の必要がなくなってしまったらしい。
とはいえ、必要でないというのはあくまで生きるためにという話のようで眠気や空腹は以前と変わらず感じているようだ。
(必要ないといっても…ずっと我慢しているようなものだな)
死にはしないとはいえ、我慢し続けるのは精神的にかなりキツい筈だ。
(探索中に何か食べられるものを見つけたら持ってきてやるか…)
◇◆◇
蝦蟇噴水の広場からマロットが今もいるであろう家まで行くにはどんなルートを辿っても排除しなくてはならない大ボスが存在する。
中ボスだったゴネスとは違い、大ボスはエリアに入った時点で強制的に戦闘になるので事前に作戦をたて念入りに準備を整えておく必要がある。
(蘇りできる俺たち勇者の生に終わりはないが…人としての終わりはある)
勇者が死ぬ度に、その魂と結びついた勇命結晶は輝きを失っていく。
完全に輝きを失った…つまり魂が死んだ勇者は動く屍と変わりないのだ。
(莫大な生命力を消費することで、陰り始めた勇命結晶の輝きを取り戻すことも出来るが…)
輝きを一段階取り戻すだけで大ボス五体ほどの生命力が必要になるので、そう何度も死んでいては再生が追い付かない。
(死を恐れず、されど終わりを恐れるべし…か)
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