第4話 始まり
それからは、耶永と顔を合わさないように、なるべく友人達と一緒にいるようにした。
耶永の気配を感じると、申し訳ないが、友人達の
耶永は、僕以外の生徒達からはとても好かれていて、取り巻きの女生徒の数は、どんどん増えていく。
彼女の親友が増えるという事は、あの不気味なブレスレットも増えるという事で……。目にする度に、あの痛みを思い出して、不安になった。
そして1ヶ月ほど経ったある日、ちょっとした事件が起こった。
一部の女生徒達が
最初は友人達と騒ぎを見にいって、ヤンキー漫画みたいだな、と呑気な感じで見物していたが、よく見るとそれは、耶永の取り巻きの女生徒達だ。
いつもは金魚のフンみたいに、耶永の後ろをついて歩いているだけなのに、何をそんなに
少し離れた場所に立っている耶永を見ると、喧嘩しているのは自分の取り巻きなのに、まるで
それは興味がないのか、本当につまらない。と言いたげな表情にも見える。
僕が友人達の
———うわ、まずい!
と、急いで自分の教室に戻ろうとすると、中に入る寸前に、冷たいものが手に
驚いて、思わず身体がびくん、と跳ねる。そして、
「え? どういう事?」
「なになに? 付き合ってるの?」
見ていた同じクラスの生徒達は
「何……?」
僕が小さな声で問いかけると耶永は、ふっ、と
「ねぇ、視えてるよね?」
周りにいた生徒達は何の事か分からずに、不思議そうな顔をしたが、僕は全身が氷のように冷たくなって、言葉を失った。
寒いはずなのに、背中には汗が
「何が? 離してくれる?」
僕は、精一杯強がって返した。
「私は御門くんと、仲良くしたいの」
「なんで? ……
「友達になってくれるなら、離してあげる」
もし今、手を
「いつも女子といるんだから、女子と友達になればいいだろ」
「ふふっ。御門くんは特別だよ。友達になってくれるなら、これをあげる」
耶永はそう言いながら、ポケットからブレスレットを取り出して、僕の腕に乗せようとした。
僕はブレスレットを見た
心臓は
そんな僕を見た耶永は、何も言わずに両手で顔を
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