第8話 「先生は、罪な人ですよね!」園児たちが、園長先生に、判決を下します!何だか、逆転裁判の予感がしてきましたが?

 ノワキ園長は、目を、ウルウルとさせた。これで、刑が軽くなるか?

 園児裁判は、どうなるの?

 「…うう」

 「はんけつを、いいわたします!」

 「…」

 「えんちょうせんせいは、スクールバスのメンテナンスを、してください」

 異世界ゲーセンの裁判は、いつも、こんな感じだ。

 「せんせい?ここに、おすわりください」

 ノワキ園長を、背もたれのない、鉄製で、ゴツゴツとした三角イスに、案内した。

 「あ…ランカちゃん!」

 「おひさ!」

 「おひさ!」

 「わたしも、いけないおとなをいじめていいでしょ?」

 ランカとは、 SNS以来の、再会。「みらいはちみつほいくえん」の園児バスを、抜け出してきたのか?

 「せんせい?おすわりください」

 「こちらに、どうぞ!」

  2人で、ノワキ園長を、ゴツゴツ三角イスに、もういちど、座らせた。

 座って、尻を乗せる部分は、デコボコとした、三角形の板。

 座ったら、痛そう。

 「どうですか、えんちょうせんせい?」

 「どうって…」

 「そこにすわって、きもちいいですか?」

 「ええ、まあ…」

 「…おとなは、ウソばっか」

 「ふふふふ」

 「あはははは」

 園児対大人の戦いが、はじまった。

 「えんちょうさん?」

 「はい」

 「おかねは、ありますか?」

 「え、え?」

 「スクールバスのじこって、あるいみ、おかねがなくておこしたじこなんじゃあ、ないんですか?」

 「ええ。そうなんです」

 「ほら」

 「ほら」

 「もっと、金銭的に、経営が上手く回せれば良かった。安全ブザーを取り付けて、事故を防ぐことが、できたかもしれないのに」

 「やっぱりね」

 「だから、このゲーセンに、まよいこんじゃったんだ」

 「いや…、その…。園長室を開けたら、この世界に、つながっていたのですよ」

 ノワキ園長の顔が、青ざめはじめた。

 「最近は…」

 「はい」

 「はい」

 「ガソリン代も、上がり放しでしてね」

 「はい」

 「はい」

 「園児を送迎するスクールバスも、腹を空かせています」

 「あらら。かわいらしいいいかたですね」

 「うふふ」

 「バスの手入れまでは、手が回りません」

 「あらら。つみをけすのは、むずかしいですよ?」

 「こまりましたねー」

 ノワキ園長が、ランカちゃんが腰を下ろしたふんわかソファーを、これまで以上に、チラチラと、見はじめた。

 「よし、ここかな?」

 ランカちゃんは、その視線を、見逃さず。ノワキ園長、ピンチ?




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