「空里なら、たしかにボクも連れて来てほしいわっ!」

「あやめっちも?」

「ひさしぶりに空里の顔も見たいしな~」


「あーっ!そんな強力なヒント言ってもええのー?当ててまうでーっ!」

「もう、はよ当てて~や」


「よしっ!オルセー美術館の学芸員のお姉さんやろっ!」


「あーっ!オルセー美術館の学芸員のお姉さん」

「会ってみたいなあ!どうしてるやろな?」

「ヴィーナスの絵も観に行きたいな~」

「そやな~」


「やったあ!正解やな!...オルセー美術館の学芸員のお姉さんなら2人の芸術的なお姉さんみたいなもんやしっ!お師匠さんかもしれへんし!...これから学芸員のお姉さんも、芸術家になっていくんちゃうの?」

「あ~、なるほど...そうかもしれへんな」

「ちがうの?」

「ちょっとちがうよ...なんで学芸員のお姉さん、空里を連れて来てくれんねんな?」

「知らんわ!聞きたいのは、こっちのほうやわ!...あーっ!わかってもうた!」

「やっと、わかったん?」

「さよりんやろ?」

「おそいわっ!」


「実は、さよりんのこと、わたし、あまり知らんからなあ...」

「会ったことなかったっけ?」

「沖縄に行った時も、さよりんの話だけで会ってはいないし...沖縄の高校の工芸科に行ってるんやろ?」

「そうやで」

「ええなー!沖縄の工芸科!わたしも行ってみたいわっ!さよりんに頼もうかな?こんど...」

「さよりんに頼まんと、楓ちゃん自分で行きなさいっ!」

「うんっ!そやな~!ちょっと考えてみよ!マーリアちゃんにも、わたしの結婚相手は沖縄のほうの人やって言われてるしな~」


やがて高校受験のシーズンになった。

楓ちゃんは、沖縄の高校の工芸科を第1志望校に決めている。

さよりんの通っている高校。

楓ちゃんも合格したら、さよりんの家に住んで、そこから通えるようにと、さよりんに頼んであるみたいだ。


マーリアちゃんとボクは、同じ高校を受験しよう!って話し合っている。


マーリアちゃんも、大阪の中学生にも、かなり慣れてきたみたいだ。

クラスのみんなも、もともと全員個性的やから、マーリアちゃんも、大阪の中学に、うまく溶け込んでいる。


そして、楓ちゃんは見事、沖縄の高校に合格!

春からは沖縄で高校生となる!


春休みの間に、沖縄へと旅立って行った。

「さよりんに、よろしくね~」

「うんっ!わかったあ!」

「空里にも会ったら、よろしくね~」

「うんっ!空里ちゃんにも会えたら、言っとくね!」


マーリアちゃんとボクは、同じ府立高校に合格して、いっしょに進学することになった。

マーリアちゃんとは同じクラスになった。


この高校の近くには伊勢寺ある。

百人一首とかで知られる伊勢さんの庵のあった場所で、今は伊勢寺となっている。

マーリアちゃんもボクも、伊勢さんのこと好きやから、この高校にいっしょに進学できたのも、もしかしたら伊勢さんのお導きなのかなあ~って思ったりもしている。


高校ではマーリアちゃんといっしょに美術部に入った。

放課後は2人で絵を描いている。


1年の副担任の先生は安藤紬先生っていう、可愛い女の体育の先生。

なんとなく、中学の時の優美先生とも知り合いのようで、ボクのことも優美先生から聞いているみたいなのだ。

だから、最初から

あやめっちは高校でも、女子のほうの更衣室を使って、体育も女子のほうで出るようにって言ってくれた。洗面所なども女子のほうを使用するようにって。


だから、この高校に進学できて良かったなあ~って思った。

しかもマーリアちゃんといっしょに通えてるし。


文化祭では、美術部として、絵を展示した。

ボクはマーリアちゃんをモデルにして、めっちゃ大きな紙に、可愛いキャラクターの絵を描いた。


マーリアちゃんも、めっちゃ迫力ある絵をいつも描いている。文化祭でも、未来世界のような風景画を描いて展示している。

ボクも、マーリアちゃんの描く絵は大好きだ。なんか、めっちゃスピリチュアルな感じする。


文化祭では、サッカー部の男子からアクセサリーをプレゼントされた。

アイスクリームのスプーンに、色とりどりに名前を描いてアクセサリーを作るお店をやっているクラスあって、そこで、『AYAME』ってピンクで描いて、ボクのところまで持ってきてくれた。


その時、ボクはマーリアちゃんといっしょに、美術部の展示教室にいて、ドアを勢いよく開けて、サッカー部の男子、教室に入ってきたと思ったら、ピューッてボクのところに来て

「はいっ!あげる!」

って言って、またピューッて教室から出て行った。


うすいブルーに色付けされたスプーンに、ピンクの文字で「AYAME」って描かれてある!

ボクの横にいたマーリアちゃんも

「可愛いアクセサリーだねーっ!良かったね~」

って言ってくれた。

「あやめっちのこと好きなんだねっ!」


そのサッカー部の男子は、いつも学校でも、何かと話しかけてきてくれている。

廊下で会ったりしても

「あっ!あやめっちーっ!」

って言って手をふってくれたりしている。


だから日頃から、ボクのこと好きなのかなあ~って思っていたから、アクセサリーをプレゼントしてもらえて、めっちゃ嬉しかった。マジで!


でもアクセサリーをプレゼントされた当日から、いろんな女子に

「あんたやなっ!プレゼントもらった子は?」

って言われるようになった。

学校でマーリアちゃんと歩いていても、知らない女子にいきなり話しかけられる。

「あんたも、〇〇君のこと好きなん?」

って聞かれるから

「ボクの好きなのは、マーリアちゃん!」

って答えている。

そしたら、話しかけてきた女子も

「な~んだ!よかった...」

って言って、すぐに走りさる。


マーリアちゃんも

「〇〇君は女子から、めっちゃ人気あるからなあ」

って言ってる。

たしかにボクも〇〇君は、いつもめっちゃ優しくて大好き!だけど、いちばん好きなのは、やっぱりマーリアちゃんだから、ボクにはマーリアちゃんしかいないって普段から思っている。


ボクのところに走ってくる女子の中には、ボクを見るなり

「な~んだ!ほんまの女子とちゃうやんっ!」

って言って去ろうとして、また戻ってきて

「あっ、ごめんねっ!ほんまの女子とちゃうって言ったのは、けっして悪いって言ってるんとちゃうから気にせんといてねっ!」

って、あやまってくれる。


教室にいると、たまにボクの胸をさわってくる男子もいる。バンドでドラムをたたいている子だ。

「けっこう胸もあるんやな~」

「やわらかいなあ~」

って言ってくるけど、ボクもその子のこと好きやから嬉しい。

日頃から

「なんであんなに、どんな感じのドラムも自由にたたけるんやろうな~すごいな~」

って思っている。たぶん宇宙でいちばん好きなドラマーかもしれへん。


高校の同じクラスには、ギターを何種類も持っていて、ギターを弾くの、めっちゃうまい男子とか、けっこう好きな子、多い。

でも好きって言ったら、ボクはマーリアちゃんのことをちっちゃい頃から、いちばん好きやから、高校でもいつもマーリアちゃんといっしょに行動している。


いつも、めっちゃ面白いことをボクに言ってきてくれて笑わせてくれる男子もいて、その子のこととかも、けっこう好きなんやけど、ボクにとって、いちばん好きなのは、やっぱりマーリアちゃんなんやろなあ~。


高校の近くにも、ちっちゃな森みたいな場所もあって、美術部の帰りにマーリアちゃんといっしょに、そのちっちゃな森を通りながらキスして家に帰っている。


時々、なんで、こんなにも男子から好きに思われるんやろなあ~って思うけど、高校生っていう時季は、わりと、そういう時季なのかなあ~。知らんけど。




















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