霊の女の子?

マーリアちゃんもボクの部屋に来た。楓ちゃんとボクとの話をずっと聞いてて、やっぱり同じように感じてるみたいだ。


マーリアちゃんも

「わたしにも芸術家の女の子のように思える...」

って言ってる。

「やっぱり、そうやろ」


「でもね」

「うんっ?」

「なんか、そのうち、本当にあやめっちに会いにあらわれるような感じをしてしょうがない...」

「ええーっ?どういうことなんー?」


「女の子は、あやめっちに再び会いたくてしょうがなくてな...」

「うんっ!」

「それで、今、毎晩、あやめっちのところに本当に会いに行けるように、なんていうか...自分でその女の子は訓練しているような、そんな感じする...」

「ええーっ!毎晩、訓練してるのー?」

「うんっ!そんな感じする...」

「本当に会いに来るために~?」

「会いに来るっていうか、なんらかの形で、実際に、あやめっちとつながりたい!って想ってるみたいな...」

「つながりたい...?」

「姿をあやめっちに見せたいって想ってて、その女の子は訓練してるのか、そこのへんのことは、まだ、はっきりとは、わたしにもわからないんだけども...」

「へぇー、でもマーリアちゃんの想うことなら、きっと、そうなのかもしれへんなっ...」


そして、夜になって、3人で、ボクの部屋にふとんを並べて寝てみた。

ボクを真ん中にして、3人並んで...


そしたら、なんとなく、いつもの夜みたいに、甘くて優しい香り、してきたように思えた。

2人にも、そう感じられたみたいで

楓ちゃんも

「うわっ?あれ?なんか甘い香りしてきた?」


マーリアちゃんも

「うん!なんだろうか...あたたかな香り...」


「そうやろー!」

ボクも2人にわかってもらえて嬉しい。


そしたら楓ちゃんは

「うわっ?握手されたような感じした...?」

って、びっくりしている。

マーリアちゃんも

「たしかに...今、握手してくれているように感じる...」

って言っている。


「そやねんっ!ほんまにそう感じられるから不思議やねんな~」

って、ボクは2人に答えた。


そしたら。いつもみたいにボクを抱きしめてくれてるような感じしてきた。

楓ちゃんにもわかったのか

「あれ?なんとなく今あやめっちのことを抱きしめてるように思える...」


「そやろ?そやねん...」

楓ちゃんもわかってくれて、ボクも嬉しくなった。


そのうち、ボクの顔にチュッてキスしてくれているのを感じたら、楓ちゃんも

「あれ?なんだか今あやめっちの顔にキスしてるような、そんな感じしてる...」


「うわっ、楓ちゃんにもわかるんやなー?」

「うんっ!なんだか、めっちゃ不思議~!」


マーリアちゃんは、ずっと黙ってたから、ボクはマーリアちゃんをちょっと見てみた。

マーリアちゃんは、ずっとボクのほうを見ていた。

「マーリアちゃん、どう?何か感じられた?」

って聞いてみた。


マーリアちゃんは

「うんっ!感じた...」

って、一言くらいしか答えてくれない。


「どんなふうに感じるの?」

ってマーリアちゃんに聞いた。

「あやめっちには教えられない...」

「えっ?なんで?」

「女の子に言われたの」

「ええーっ!なんて?」

「『あやめっちにはまだ言わないで』って...」


「ええーっ?なにそれー?」

ってボクはちょっとびっくりした。

楓ちゃんも

「ええーっ!マーリアちゃんには、その女の子のことわかるのー?」


「うん!わかるよ...」

「マーリアちゃんには、その女の子のこと見えてるの?」

「うんっ...」

「ええーっ!どんな女の子なのー?」


「それはまだ言えない...」

「なんで?」

「えっとね...これから、あやめっちに、なんらかの形で接触するから、今はまだ、ないしょにしといてねって...」

「言ってるの?...その女の子...」

「そうだよー」

「どんな女の子なの?」

「うーんとね...やっぱり、まだ言わない...」


「ええーっ!めっちゃ気になるー!」


「その女の子は、そのうち自分で、あやめっちにわかってもらえるようにするからって言ってて...」

「そうなの?...」

「その女の子は、あやめっちに直接わかってもらいたいみたいだから...」


「へぇー、わかった。もう聞かないねっ...」


そのうち、いつものように、その女の子の存在を部屋に感じないようになったから、3人で手をつなぎながら、仲良く寝ることにした。



楓ちゃんは、アイドル好きで、よく1人で会いに行っている。

推しているアイドルのグッズを、中学にも持ってきているから、いつも、休み時間とかにカバンから出して見せてくれる。

サインされているCDだとか、生写真とかは、めっちゃ大切にケースに入れて持ってきている。それをボクのために、ケースから出して、いつも見せてくれる。

ケースも、めっちゃ大事そうに扱っている。

クリアケースの中に、きれいにしまってある。


そして、好きな4人組アイドルの話をいつもしてくれる。

4人のメンバーひとりひとりの特徴や個性、グループでの担当・役割などをめっちゃ詳しく教えてくれる。

だからボクも、そのグループのメンバー4人のことをめっちゃ詳しくなってきた。


「日曜日に、CDショップで、リリースイベントやるから、いっしょに行ってみよう!」

って誘われて、マーリアちゃんと3人で行ってみた。


ミニライブ始まった。

4人みんな、めっちゃ可愛い!

曲も、アイドルの王道曲で、めっちゃ可愛いし、振り付けもまた、アイドルの王道らしい、めっちゃ可愛い振り付けだ。

いっしょにすぐ躍りたくなってくる可愛い振り付け。

だから、ボクも初めてなのに、見ながらすぐいっしょに振りコピできた。

そんなボクの躍りを、ステージ上のアイドルさんも気付いてくれて、ボクを見て、嬉しそうに笑ってくれていて、ボクも嬉しくなった。


マーリアちゃんも、パリにいる頃から日本のアイドルとかも、めっちゃ好きだったから、ライブ始まったら、めちゃめちゃノリノリで、コールしたりミックスしたりフリコピしたりしてる。


ミニライブのあとは特典会だ。

楓ちゃんは

「ちょっと行ってくるから待っててねー」

って言うと、ピューッて走って、推しの子の特典会の列の最後尾に並びに行っていた。

すぐに、楓ちゃんのうしろにも、ファンの子たちの列、いっぱいつながりはじめている。


マーリアちゃんとボクは、ちょっと離れた、うしろのほうで、そんな楓ちゃんのことをながめていた。


やがて、4人のメンバーあらわれた。

それぞれのファンの列の前に行くと、列の先頭にいたファンの子と話をしはじめた。


楓ちゃんも、推しの子と握手して、何かしゃべっている。

もう何回か行ってるから、楓ちゃんのことも覚えてくれているみたいだ。

それから推しの子と手をふって、わかれたと思ったら、楓ちゃんは、また同じ推しの子のファンの列の最後尾に並んでいる。


「うわっ!もう1回行くんやなあ~」

って楓ちゃんを見ていた。

めっちゃ、その子のことを好きそうなの伝わってくる。


こんどは、楓ちゃんは推しの子といっしょに手でハートマークをつくって、2ショットを撮っている。

きゃあああ!楓ちゃん、めっちゃ嬉しそう!

ボクも沖縄にいる時、よく行っていた。

今もよく行ってるけども。


楓ちゃんは、マーリアちゃんとボクのところに戻ってきて、2ショットチェキを見せてくれた。


マーリアちゃんは

「わたしも、ちょっと行ってくるーっ!」

って言って、ピューッて、1人のメンバーの子の列の最後尾に並んでいた。


「じゃあボクもー」

ってボクも、マーリアちゃんの後ろに並んだ。

「あーっ!あやめっちも来たのー!」

「うんっ!記念にいっしょに行ってみよう!」

「やったあああ!」


マーリアちゃんとアイドルの子は、2人でギュッて抱き合ってチェキを撮っていた。


ボクは

「こんにちは~はじめまして~」

ってあいさつをした。

「うわ~はじめまして~」


「今、中3だから高校合格を祈ってくださいー」

って言ったら

「わかったー!高校ぜったいに合格しますようにーっ!」

ってボクに祈ってくれた。

「やったあ!これで高校合格やあ!」

「最後までしっかりねっ!応援してるねっ!」

「ありがとうー」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る