修学旅行

夏休みも終わって初秋。修学旅行で岐阜と長野に行く。

バスに乗って、ずーっと雄大な山々の景色をながめている。

楓ちゃんマーリアちゃんといっしょに並んで座っている。


「山って、すごいなあ!」

ってマーリアちゃんも感動している。

「ほんまやなあ!」

「タイガースも、山のつく選手に期待やなあ!」

ってタイガースファンの楓ちゃんは言っている。

「ほんま、それな!」

「先生も、そう思って、修学旅行で山々に連れて来てくれたんかなあ?」

「先生も、タイガースの、山のつく選手のこと好きなんかな?」

「山のつく選手のファンなんやで!きっと」

「そやな」


「六甲おろし吹くかなあ?」

ってマーリアちゃんも言うから

「ここは六甲山とはちゃうから、六甲おろしは吹かへんのとちゃうか?」

「そっか...やっぱり」


「でも旅っていいなあ!」

「あやめっちは、ちっちゃい頃から、いろいろ旅してきたから、余計そう思うでしょ?」

ってマーリアちゃんに言われた。


「そやなあ!海の近くも良いし、山の近くも良いし...」

「それな」


「でも、たぶん、先生は修学旅行で、こんなに凄い山々の景色もあるんやでってことをみんなに知ってほしくて、修学旅行で岐阜・長野方面に来たんやと思うで」

「ほんま、それな」


それから善光寺に到着した。

緑の木々にあふれた参道を楓ちゃんマーリアちゃんといっしょに手をつないで仲良く3人で歩いた。

「楓ちゃん?マーリアちゃん?」

「なに?」

「どした?」


「ボクな、ほんまは女子高に行きたいねんっ」

「そうなん?」

「あやめっちらしいかも」


「で、調べたらな、女子高も、自分で女子やって思ってる子は行けるらしいねん...」

「ああ、そうみたいやなあ」

「戸籍の上での性でなく、自分は女子だって思う子は入学できるんでしょ」


「えっ?楓ちゃんもマーリアちゃんも、知ってたん?」

「うんっ!なんか、そんなこと聞いたことあったよ...」

「そういうふうに、なってきてるみたいだよ」


「そうやったんや...」

「あやめっち、女子高に行くの?」

「あやめっちには、むいてると思うょ」


「そやろ...ボクの合ってるのは女子高のほうやと思うからなー」

「まあ、たしかに...女子高、似合ってるわ」

「女子高生っぽいもんな」


「楓ちゃんもマーリアちゃんも、やっぱり、そう思う?」

「うんっ!あやめっちは女子高に行って、まわりみんな女子の学校に似合ってるしなあ...」

「女子高に行くの良いと思うょ」


「そう?」

「うんっ!女子高に行くのも、ええんちゃう?」

「うんっ!わたしも、あやめっちのことを見てたら、そう思う」


「そやなあ...そうしようかなあ...」

「まあ、受験してみて合格したら、その女子高と縁もあるんやろうから、そしたら、その女子高に行くのもええんちゃう?」

「そうだょ。そう思うわ」


「そやな!受験してみよっ!」

「きまりやな!」

「うわーっ!あやめっちも、もうすぐ女子高生になるのか」


「楓ちゃんもマーリアちゃんも、いっしょに同じ女子高、受験せえへん?」

「えっ?同じ女子高?」

「3人で?」


「そやねん、楓ちゃんとマーリアちゃんと3人でいっしょに同じ女子高に通えたら、ええなーって思って...」

「そっか...それもええかも」

「うんっ!いいかも」


「じゃあ、いっしょに受験してみるかっ!」

「そやな!」

「うんっ!そうしよう」


「善光寺で合格をお願いしておくか!」

「ほんまやな!」

「ちょうど良かったな!修学旅行で来れて」


「それで、先生も善光寺に連れて来てくれたんかなあ?」

「それもあるのかもしれへんなっ」

「みんなにも、ええこと、ありますようにって」


「じゃお祈りしとこ!」

「そやな!」

「うんっ!お祈りしとこ!」


3人で合格できますようにって、お祈りした。


緑の木々にあふれた善光寺を3人で歩いていたら、たぶん女子高生らしい3人組に声をかけられた。

「ねえねえ!修学旅行?」

「あっ、そうですっ」


「中学生?」

「はいっ、そうです」


「日本人ひとりに、あと外国の方ふたりで、ずいぶん国際的な中学生ですね」

「そうなんですよ~」


「どこの国の方なんですか?」

「フランス系ですねっ!」


「えーっ?フランスから来られたんですね」

「はいっ、ひとりはフランスとアメリカのハーフなんですけど」


「えーっ?すごいー」

「ひとりは純粋な大阪人です」


「えーっ?じゃあ、大阪のほうの中学生なの?」

「はいっ、大阪の中学から、修学旅行でみんなで来ました」


「おふたりは留学生なの?」

「留学生っていうより、もう大阪に住んで中学に通って学んでます」


「えーっ?普通に大阪に住んでるんですね?」

「そうですねっ」


「じゃあね~ありがとう」

って言って、3人組のお姉さんたちは、笑いながら、また歩いて行った。


「マーリアちゃん!今の女子高生のお姉さんたちは、どこから来たかわかる?」

ってマーリアちゃんに聞いてみた。

「えっとねぇ...けっこう近くにある女子高の遠足みたい...」


「えーっ?マーリアちゃん、わかるの?」

って楓ちゃんは、ちょっと、びっくりしてる。

「そうなんだょー。マーリアちゃんって、わかるんだょねー。けっこういろいろと」


「すごいねー!じゃあ、わたしの結婚相手って、どんな人なのか、わかるー?」

って楓ちゃんはマーリアちゃんに聞いていた。

「えーっ?...なんとなく、南のほうの人みたいな感じする」


「えーっ?南のほうの人?」

「うんっ!なんとなくだけど、沖縄の人とか、そんな感じする」


「えーっ?沖縄とかの人なの~?」

「うんっ!これから学校とかで出会うっぽい人みたい...」


「えーっ?これから出会うのかー!学校とかで...沖縄のほうの人と...」

「楓ちゃんも、もしかしたら、沖縄のほうの学校に進学するような感じだよ」


「えーっ?沖縄のほうの学校に進学するのか...」

「うんっ!高校を卒業してからかなー?それくらい先の話かなー?たぶん、なんとなく...」


「うわっ!もしかしたら、沖縄の芸術大学かもしれへん...」

「えーっ?楓ちゃん、沖縄の芸術大学に行くの?」


「いや、ほんまに、沖縄の芸術大学で、沖縄とかの伝統的衣裳のテキスタイルとかを学びたいな~って思ったりもしてるから...」

「うわっ!そうやったんや...」


「えーっ?そこの大学とかで出会うのかな...だれかと...」

「きゃあああ!楓ちゃんの相手、どんな人なんやろ?同じ芸術大学で芸術を学んでる人なのかな?」


「えーっ?そうなんやろか?」

「いいなー!そういう、自分と同じような感じの人って!」


「じゃあ、ボクは、どんな感じの人なん?」

ってマーリアちゃんに聞いてみた。

「あやめっちのことは、まだわからないねっ!あやめっちは、とりあえず高校をどこにするのかっていうようなことしか、今のところわからない。そっから先は、また高校に合格して通いはじめてからかな~」

「そうなのか~、やっぱり~、自分でも、まだまだ今の時点では高校よりも先のことは、あまりよく考えてはいないからかな~」

「そうだね~」


「あやめっちの高校のことも、わからないの?」

って楓ちゃんはマーリアちゃんに聞いてくれてた。

「わからないね~。あやめっち自身、高校をどうするか、まだ決まってないみたいだから...」


「そっかあ!そういう意味じゃあ、マーリアちゃんはボクのこと、よくわかってくれてるってことになるなあ...」

「あやめっちは、とりあえず高校は女子高なのか、府立なのか、どうなるのかってとこみたいだね~今のところは...」

「やっぱり、そうなんやなあ~」











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