日本好き

実際、ボクはフランス人とアメリカ人のハーフやから、日本の血は混ざってはいない。

でも両親とも日本好きなので、ボクも日本好きなところを受け継いでいるんやと思う。


たぶん、日本は、奈良や平安の時代から、今に至るまで、すごく良き国なんやろなあ。


大阪の中学のみんなも、めっちゃ面白いし、めっちゃ優しい。

ボクは女の子みたいやから、女子の友達多いし、いつも女子といっしょにいるけど、大阪の中学だと、それならそれで良いっていう雰囲気だ。だから大阪の中学も、めっちゃ過ごしやすい。

でも大阪の中学生のいちばん良いところは、やっぱり面白いとこかなあ。

フランス人とかも、めっちゃユーモアあったりするけど、もしかしたら、いちばん面白いのは大阪人かもしれへんなって思っている。


大阪の中学校に行くと、みんなそれぞれ好きなことを好き勝手にやっているんだけれど、なんとなく共通しているのは、やはり面白さなのかなあ~って。

ボクのフランス人とアメリカ人のハーフなところも、みんな、それを面白さだと思ってくれている。

女の子みたいで、いつも女子といっしょにいるところも、それはそれでボクの面白さやと思ってくれているみたいだ。


ボクは大阪弁も好きなので、みんなと大阪弁でしゃべるのも楽しいし面白い。

優美先生も取り込んで面白い教室にしている。

そこは大阪の中学の良きところなのかなあ。

でも、まさかマーリアちゃんまで加わるとは思っていなかった...


夏休みの終わりまで、まだちょっと日数あるから、毎日、マーリアちゃんと家でいっしょに過ごしている。


マーリアちゃんと太陽の塔に行ってみた。

駅から歩いていたら、太陽の塔は正面を向いて、せまってきた。

「うわっ!太陽の塔、こっち向いてる。面白い」

「なんだか独特な存在感あるね」


万博記念公園の門を入って歩いていくと、ちょうど太陽の塔の前に到着する。

「うわーっ!面白い塔だあ」


後ろ側にグルッとまわったら、太陽の塔の入口になる。

「後ろから入るのかあ」


後ろ側から太陽の塔の中に入った。


予約していた時間になったら、グループごとに中に入る。


なんか、面白い色んな民族的な仮面の映像を観れた。


映像を観ながら進んで行くと、最初に三葉虫のようなもの、あらわれた。

同じグループで、いっしょにまわっていた3人組のお姉さんは

「あーっ!あの三葉虫っていうか、カブトガニみたいなやつ、田んぼでよく捕まえてたよねーっ!」

って話をしていて

「田んぼでよく捕まえられるもんなん?」

って思って、マーリアちゃんと顔を見合せて笑ってしまった。


そこから、階段で、だんだん上へと登っていく。

上へと行くにつれて、地球の動物たちの進化の過程を見ていくこと出来るようになっている。


太陽の塔の保存されてるのには、外観の面白さもあるけれど、中の展示も良いからだろうなって思った。


「あ~面白かった!」

「万博の熱い情熱みたいなものも感じられたよね」

「ほんま、それな」

「ほんま、感動してもうた!」

「中に入れて良かったわ」

「うんっ!ほんまやなー」


太陽の塔の中から出て、万博記念公園にある民族学博物館に行ってみた。

なんとなく、ここにはマーリアちゃんといっしょに来てみたかった。


入ってみたら、思ってた以上に、はるかに面白い博物館だ。

世界中の、いろんな国の、いろんな民族の、興味深い資料、めっちゃいっぱいある。

まさか、ここまで凄い博物館だとは、思っていなかった。

マーリアちゃんと来て良かった。

マーリアちゃんも、めっちゃ面白がって展示を見ている。


お土産コーナーもあった。

マーリアちゃんは、民族的に装飾されたボールペンを買っていた。

ボクは、インド象の置物を買った。


家に帰って、おばあちゃまにプレゼントしたら

「これ馬なの?」

って聞かれて

「象さんだよーっ!インドに象さん、おるやんかーっ!知らんけど」

って言ってもた。


夏休みも終わって、マーリアちゃんも、ボクといっしょに同じ中学の同じクラスで学ぶことになった。


教室で楓ちゃんと会った。

「おはよう!楓ちゃん」

「おはよう!あやめっち!」


そして、優美先生も教室に入って来た。

「みんな中学生最後の夏休み、充実できましたかー?」

って言ってから

「このクラスに転校して来た、マーリアちゃんですっ!」

ってマーリアちゃんをみんなに紹介した。

先生のあとに、くっついて来てたマーリアちゃんも

「パリから来ましたマーリアです!あやめっちと優美先生とは知り合いです!よろしくねーっ」

って、あいさつしていた。


マーリアちゃんは楓ちゃんを見るなり

「あーっ!楓ちゃんですねーっ?」

って言っている。


「えーっ?そうですけど...」

楓ちゃんも、ちょっとびっくりした感じでマーリアちゃんのことを見ている。

なんで知ってるの?っていう感じで。


「あやめっちの家に行った時に、あやめっち、部屋で、えっちな女の子の絵を描いていて、そのえっちな女の子は、楓ちゃんに、そっくりだったんだよー」


楓ちゃんは、真っ赤になってたけど

「あやめっちは、そういう子なんですよ...だから、そんなことは、ほんまに、してるやろなって思います」


「あやめっちのこと、よく知ってるねっ!」

「小学校4年生からの、付き合いになりますからっ!あやめっちとは!」


「わたしは幼稚園からの付き合いだよー!あやめっちとは!」

「えーっ!幼稚園からなのーっ?」

「だから、あやめっちのことは、何でも、わかっちゃうのょーっ!」

「うわーっ!幼稚園からの付き合いなら、そりゃ、わたしよりも、あやめっちのこと、わかっちゃうわーっ!」

「そうなのょーっ!」

「先輩ですねっ!マーリアちゃん!よろしくねーっ」

「こちらこそ楓ちゃんよろしくねーっ」

マーリアちゃんも楓ちゃんも仲良くなっている。


美術の最初の時間に、好きな絵を模写する授業あって、ボクはフェルメールの「牛乳を注ぐ女」っていう絵にした。


楓ちゃんはアングルの「泉」を!

マーリアちゃんはフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の絵を模写していた。


美術の先生は、ボクの模写してるところをめっちゃ嬉しそうに見ていたから、たぶん先生の好きな絵なんやろな~。


「『牛乳を注ぐ女』の絵は、幼稚園の時、マーリアちゃんといっしょにオランダに観に行ったんですよっ!」

って美術の先生に言ったら

「えーっ!いいなーっ!ほんもの観れたなんてー!」

ってめっちゃ羨ましがっている。


「『真珠の耳飾りの少女』の絵も、オランダで、あやめっちといっしょに観たんです~っ!」

ってマーリアちゃんも先生に言ってた。

「うわーっ!ええなーっ!2人とも!先生も、この2枚の絵はホンモノ観たいわっ!」


そして

「アングルの『泉』はオルセー美術館で、あやめっちといっしょに観たよねーっ!」

ってマーリアちゃん言ったら

「えーーっ!めっちゃいいやんっ!マーリアちゃんと、あやめっち!」

って、先生も楓ちゃんもクラスのみんなも、びっくりしてる。


模写した絵を丸めて、家に持って帰ったら、庭におばあちゃまとおじいちゃま仲良く庭仕事していて、ボクの手から、絵をスッと抜き取って、2人で嬉しそうに見ていた。

それから黙って、絵をボクに返した。

何か感想を言ってくれたら、ボクも絵について話そうかなって思ったけど、特に何も言わなかったから、ボクも絵を受け取って、そのまま自分の部屋へ入った。

でも、2人とも、絵を見てる時、めっちゃ嬉しそうやったから、それでええかなって思った。


それやのに、晩ごはんの時に

「絵、うまいなあー」

って2人に言われた。

「フェルメールやな」

「うんっ!そうやで!」

「光と影とか、繊細な色調だとか、よく描かれてあったわ」

「あっ、そうなん?ありがとう」

「絵の才能もあるんちゃう?!」

「そうかな?」

「あるよ~」

「美術の先生も嬉しそうに見てたわ」

「そやろ!」


「おふたりはフランスで絵を描いてらっしゃったんですよね?」

ってマーリアちゃんは聞いていた。

「主に広告用に絵を描いてたわね~っ」

って、おばあちゃまは答えていた。

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