葵ちゃん
中学では毎日、葵ちゃんといっしょに行動している。
教室に入ったら、葵ちゃんとくっついてる。
学級委員だから、クラスで何か決める時の司会をやったり、あとは先生からの伝言をみんなに伝えている。
沖縄の中学のみんなも、転校生のボクの学級委員の話もちゃんと聞いてくれる。
沖縄はあったかい。
みんなめっちゃ個性的。
沖縄っていう島だけど、沖縄の子のひとりひとりは、めっちゃ個性的。
それで、転校生のボクの学級委員も、みんな面白いって思ってくれている。
もしかしたら、転校生のボクに、クラスの学級委員をやらせるところって、沖縄らしいのかな?
沖縄に転校してきて、沖縄のことをまだよく知らない転校生に、そのクラスの学級委員をやらせるのって、沖縄のあたたかさなんやろか?
きっと、そんな気する。
転校生だって、学級委員をやったって良いじゃないか...っていうところ、沖縄のあったかさなのかなあ~って、転校して来て、ボクは思った。
体育の着替えも葵ちゃんと、いつもいっしょにやって、体育も女子のほうに出ている。
体育の授業の前になると、いつも
「あやめっち!いっしょに行くよっ!」
って言って、ボクの手をギュッと優しく握って、ひっぱって行ってくれる。
女子の更衣室のほうで、葵ちゃんといっしょに、チャチャッと着替えて、それから体育の授業に向かう。
葵ちゃんは、めっちゃ積極的な女の子で好き。
学校でも、いつもボクの手を優しくギュッと握って、ボクをひっぱっていってくれる。
ボクは女の子みたいなので、どっちかというと、ボクのことをギュンギュンと、ひっぱっていってくれる女子のことを好きなのかも。
だから沖縄の中学でも、葵ちゃんと出会えて良かった。
結衣先生も、そんなボクのことをわかってくれて、葵ちゃんと結び付けてくれたのかも。
まあ、葵ちゃんとは、家も近いほうやから、帰る方向もいっしょだっていうのもあるけども。
葵ちゃんは沖縄の女の子やから、いつも学校でも、沖縄の言葉でしゃべってる。
ボクは大阪弁でしゃべってまうけど、葵ちゃんは、そんなことは、まったく気にせず、どんな言葉でも受け入れてくれている。
ボクの大阪弁に対しても、いつも面白そうに興味を持って聞いていてくれている。
葵ちゃんは、たまにボクの大阪弁も真似してくれたりもする。
葵ちゃんの沖縄の言葉も、めっちゃ可愛い。
葵ちゃんの可愛い沖縄の言葉を聞いているのも好きだ。だからボクも、沖縄の言葉っぽく、しゃべれるようにも、毎日ちょっとづつだけど、そうなってきたかも。
葵ちゃんは、世界のことにも関心を持っていて、ボクのロンドンやパリの話も、めっちゃ楽しそうに興味深く聞いてくれている。
大阪や関西のことも、めっちゃ好きみたいだし。
美術も好きなところもボクといっしょ。
だからフランスとかでルーブル美術館やオルセー美術館など、色んなところで絵画や彫刻などを観てきたことにも羨ましがっている。
「いつか、わたしも、あやめっちといっしょに色んな美術館に行って、いろいろ観てまわりたいさぁ~」
っていつも言っている。
大阪も好きみたいで
「タコ焼きやお好み焼きの美味しいのを食べに行きたいさぁ」
って言ってる。
「実は太陽の塔の中にも入ってみたいさぁー」
「いつか葵ちゃんと、いっしょに行けるといいさぁ」
「そうだね~」
放課後に、葵ちゃんといっしょに美術部の教室に行った。
葵ちゃんは
「新しく転校して来て、前の中学でも美術部だった、あやめっちです」
って紹介してくれた。
それから美術部で絵を描きはじめた。
沖縄はきれいな海もあるし、風景画も良いもの、いっぱい描けるなあ。
ある日、葵ちゃんといっしょに学校の休み時間に廊下を歩いていた。
そしたら、夏休みにサンフランシスコの中学校に希望者は1か月間、留学するっていう貼り紙を廊下で見つけた。
「あーっ!こんなのあるよ」
って、葵ちゃんに指さして見せた。
「ああ、毎年、夏休みにやってるアメリカ留学でしょ」
「さすが沖縄の中学!中学生から積極的に留学してるんやなあ」
「あやめっちも行けば?」
「葵ちゃんも行く?」
「う~ん、どうしよう...行ってもいいけど」
「じゃあ、いっしょに行こうか?」
「うん...いいよ」
「よしっ!さっそく先生に言ってこよう!」
結衣先生のところに行った。
「じゃあ、この留学希望届に記入して提出してね」
それから筆記試験とか面談とかあって、葵ちゃんもボクも、夏休みに留学することになった。
サンフランシスコには、パパのほうのおばあちゃまとおじいちゃまも住んでいるから、葵ちゃんといっしょに会いに行った。
「よく来たね!」
って言って、めっちゃ喜んでくれた。
「沖縄の中学で同じクラスの葵ちゃんだよっ!」
って紹介した。
「志伊良葵です。はじめまして。こんにちは」
「こんにちは~。あやめっちのことをよろしくねっ!」
「あっ!こちらこそ!よろしくお願いします。あやめちゃんのおかげで、わたしもサンフランシスコまで来ること出来ましたー」
「サンフランシスコまで、あやめっちのことをひっぱって連れて来てくれたのは、きっと葵ちゃんのほうでしょー」
「えーっ?いえいえ、そんな。あやめちゃんに誘ってもらえたから、わたしもサンフランシスコに来れたんですょ」
「あやめっちは、たぶん、葵ちゃんみたいにグイグイ積極的にひっぱっていってくれるような女の子を好きだからねっ!...ねっ?あやめっち!そうなんでしょ?」
「えーっ?...うん...まあ、そうかな...」
「照れてるから、そうなんだねーっ!やっぱり...」
「今回は留学で来たんだからねっ!新婚旅行とかとは、ちゃうんやから...ほんまに、もう...」
「あははは、だれも新婚旅行だなんて言ってないよ~」
「うわーっ!ちょっと、葵ちゃんといっしょにサンフランシスコの学校に行ってくるよーっ!行こうっ!葵ちゃん...」
「うんっ!じゃあ行ってきますー」
「行ってらっしゃーい!ちゃんと勉強してくるんだよっ!あやめっち!」
「わかってるよー!」
「わからないことは葵ちゃんにちゃんとしっかりと聞くんですよー!」
「わかったよー!行ってきますー」
サンフランシスコの中学校に葵ちゃんと行ってみた。
葵ちゃんと手をつないで。
ていうか葵ちゃんにひっぱられて。
泊まりは学校の寮で。
葵ちゃんといっしょの女子のほうの寮にしてもらった。
朝はトーストとサラダのモーニング。
それから中学校で勉強する。
先生もアメリカ人だし、授業も英語だ。
いろんな国から中学生、集まってるみたい。
お昼も中学校でランチを葵ちゃんといっしょに食べる。
それから、また授業。
夕方、寮に戻って、晩ごはん。
お風呂に、葵ちゃんといっしょに入って、宿題とかやってから、葵ちゃんと同じ部屋で寝る。
沖縄の中学の時みたいに、1か月間の時間割もあって、それに沿って勉強していく。
語学や歴史なんかも学ぶ。
葵ちゃんといっしょで良かった。
ボク1人じゃなくて。
葵ちゃんは、いろんなこと出来るから、いっしょにいて、めっちゃ頼りになる。
留学も終わってから
「ディズニーに行ってみようよ!」
って葵ちゃんに言われた。
「うんっ!いいよ!葵ちゃんといっしょなら...めっちゃ楽しそう」
ディズニーランドに2人で行った。
中で葵ちゃんと歩いていたら、ふと、さよりんの存在を近くに感じた。
たぶん、さよりん、葵ちゃんとボクの2人のことをディズニーランドでも見守ってくれてるんやろうな~って思った。
「どうしたの~?」
って葵ちゃんに聞かれたけど、さよりんのことは話さなかった。
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