楓ちゃん

4年生で同じクラスの楓ちゃんっていう女子と仲良くなった。

高梨楓ちゃん!

実家、呉服屋さんの女の子。

なんとなく呉服屋さんだけあって、日本っぽい雰囲気をしぐさや言葉からも特に感じてしまう。

そこも好きなとこなのかもしれない。


実は、転校初日、小学校から帰ってから、ママといっしょに、街の周辺を散策していた時に、ボクのことを見て、めっちゃ嬉しそうに笑っていた女の子いた。

ボクは、ママに

「あの女の子、もしかしたら、今日、転校した小学校で、同じクラスなのかもね?」

って言ってみた。

ママも

「あっ!あの女の子?...そうかもしれへんなあ!あやめっちのことをめっちゃ嬉しそうに見てくれてるもんな!」

「そやろ?ママも、やっぱりそう思うやろ?」

「うんっ!出会いっていうのは縁やから、あやめっちとあの女の子とは縁あるのかもよっ!」

「ほんまに?」

「ほんまやで!なかなか、そんなにばったり会えるなんで、ないからなっ!」

「そうなん?」

「そうやで!あの女の子、明日、小学校行って、同じクラスにおったら、おもろいなっ!」

「同じクラスやったら、ええなーっ!」

「今、あの女の子に聞いてみる?」

「えーっ?...明日でええわっ!明日会えるのを楽しみに祈っとくわっ!」

「そやなーっ!明日、楽しみやなっ!」


そして次の日の朝、小学校に行って、ドキドキわくわくしながら教室に入ったら、教室の中で、めっちゃ笑ってボクのこと見てたの楓ちゃんだった!

「おはようーっ!」

ボクは楓ちゃんに言ってみた。

そしたら、めっちゃ嬉しそうに大きな声で

「あっ!おはようーっ!」

って返してくれた。


「きのう、街で会ったよねっ?」

って楓ちゃんに聞いたら

「あっ!そやね!会えたよね!ママといっしょに歩いてたよねっ!」

って、めっちゃ笑って答えてくれた。



放課後、砂場で1人で走り幅跳びを飛んでるのを、教室の窓から、そっと見てくれているのも楓ちゃんだ。


教室でも、いつも楓ちゃんといっしょにいる。


休み時間には、いつも楓ちゃんはボクの席のとなりに座って、何かしら、ずっとしゃべっている。


楓ちゃんには、3年生の時に付き合っていたっぽい、虎岡一也君っていう子いる。

クラスは違うんだけど。


ある日、たまたま1人で学校の廊下にいた時、ボクのところに近付いて来る子いた。

なんとなく、ボクに対して

「キミの転校して来る前までは、楓ちゃんとボクは、めっちゃ仲良かったのに...」

って言ってるような感じを受けた。

その時の、その子は虎岡君って子だった。


ボクは、近付いて来た虎岡君に

「3年生の頃のことは、ボクは何も知らないから...」

って思ったら

「そりゃそうだ!キミは何も悪くない...」

っていうような感じで、ボクのそばから去って行った。


虎岡君は、めっちゃしっかりとした子だ。

ボクとは違って、フワフワしていない。ちゃんと地面を踏みしめて歩いている。

どこかの、会社かお店の跡取りのような感じ。

だから、楓ちゃんと3年生の時に付き合っていたのも良くわかる!

むしろ楓ちゃんにピッタリな感じ。

2人は、めっちゃお似合いのカップルに見える。


ただ、楓ちゃんも、呉服屋さんの1人娘のようなので、お店を継がなきゃならないみたい。

だから結婚相手は、楓ちゃんのお店をいっしょにやっていってくれる相手なんだろうって思う。

虎岡君も、自分とこを継ぐんだとしたら、もしかしたら、2人は結婚相手は、それぞれ別の人を探さないといけないのかもしれない...

だとしたら、2人は、3年生の時まで好き同士だったとしても、4年生では他に相手を探しているのかなあ~とも思ったりもした。


ボクは割と女の子っぽいので、楓ちゃんも、呉服屋さんに向いているって思ってくれてるのかなあ。

いっしょに呉服屋さんをやっていくのに、ちょうど良いって、ボクのこと思ってくれているのかなあ。って、そんなふうにボクも思った。


だから、それ以降、虎岡君は、ボクや楓ちゃんの前に姿を見せることはないみたいだった。

もしかしたら、3年生の終わり頃に、2人で何かしら話し合っていたのかもしれない。

ボクは、その頃のことを何も知らないけども...


ボクも楓ちゃんと付き合って、結婚でもするのであれば、もっとしっかりしていかなければなあ~って思った。

呉服屋さんのことも学んでいかないと...

楓ちゃんの呉服屋さんに行って勉強もしていかないと...

みたいなことも、だんだんちょっとづつ考えるようにもなっていった。


夏休みに楓ちゃんと2人で海に泳ぎに行った。

楓ちゃんの水着姿めっちゃ可愛い。

ボクも女子用の水着を着て泳いでいるから、ぜったいに、まわりの人からは、女の子の友達2人だと思われているにちがいない。


でも、ボクは楓ちゃんといっしょに遊んでいる時も、マーリアちゃんの

「1年後に、またパリに帰って来る」

っていう言葉をいつも思い出してしまう。


マーリアちゃんの言うことやから、ほとんど信じているんだけども。


楓ちゃんと遊んでいる時に、楓ちゃんに言ってみた。

「パリの友達の女の子で霊感の強い子おって、その子は、ボクまた来年パリに戻って来るって言ってたんだよ~」

「えーっ!ほんまにーっ?そうなんや~。その子、あやめっちのこと、わかるんやろな~。たぶん、ほんまなんかもしれへんな」

って楓ちゃんは答えてくれた。

「えーっ?楓ちゃんも、やっぱり、そういうの信じるほうなん?」

「そやな!そういうの、あると思うでー」


「ボクもほとんど信じてるから、たぶん5年生で、またパリに戻るんやと思うから、4年生の間は楓ちゃんといっしょに想い出をつくっておこう!」

「そやな~!...けど、あやめっちも、いそがしそうやな~!大阪来たりパリに行ったり...」

「ほんまやわ~」


放課後1人で走り幅跳びをやっていたら、楓ちゃんも来てくれた。

「あやめっち、いつも1人で砂場に向かって飛んでるから、今日はここでいっしょに見といてあげるな」

って言って砂場に座って、ボクの飛ぶところを見てくれている。


楓ちゃん、見てくれてるから、めっちゃ気合い入った。

「おおーっ!かなり飛べたーっ!3メートル行ったんちゃうかなーっ」

「いつも、どれくらいなん?」

「2メートル90くらいやねんっ!はよ3メートル飛びたい」


測ってみたら、3メートル10やった。

「やったあああ!3メートル超えたで~」


「でもな、今、見てたら、踏みきりのラインから足、出てたで~」

「えーっ?それはあかんやんっ!記録なしやんっ」

「あははは、でも、もうちょっと練習したら、軽く3メートルはいくよ」

「ほんまにーっ?」

「ほんまほんま」

「じゃ、もっと練習しよ!」


それから楓ちゃんは、放課後毎日いつもボクの飛ぶところを砂場に座って、見てくれている。

「楓ちゃん、コーチみたいやな」

「鬼コーチやな」

「ほんまやわ。優しくしてほしいわ」

「なんでやねんな、あははは」


でも、楓ちゃんのおかげで、3メートルは軽く飛べるようになった!


楓ちゃんは学校でも、いつもボクのことを想ってくれていて、何かと支えてもくれているので、良きお嫁さんになりそうやなあ~とかって思ったりしてる。

楓ちゃんはめっちゃ優しいし可愛いから、学校でいつもいっしょにいる間に、だんだん好きになってきたかも。


でも、いつもどこかで

「楓ちゃんって何か凄いなあ。さすがに呉服屋さんの娘だなあ」

って思ったりしてて、ぶっちゃけ、結婚相手として、ボクって、相応しいのかなって思ったりもしている。

でも女子みたいなボクは、もしかしたら呉服屋さんにも似合ってて、楓ちゃんも、そこを見てくれているのかな?


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