さよりんとの再会

幼稚園も春休みになったので、ママといっしょにロンドンに行った。


ロンドンの空港に、さよりんは来てくれてた。ボクを見つけるなり、ダーッとボクのところに走ってきて、飛び上がってガバッとボクに抱きついた。


「あやめっちーっ!」

「さよりんーっ!」

「会いたかったよおーっ!」

「ボクもだよーっ!」


「ヴィーナスさんの絵、めっちゃきれいやったよなあ~」

って、さよりんは嬉しそうに言った。

「うわ~!やっぱり、いっしょに、あのヴィーナスさんの絵、見てたんやね~」

「あやめっちの横でいっしょに見てたよ~!金閣寺も、めちゃめちゃきれいやったもんなあ!」

「ほんまやわーっ!...やっぱり、さよりん、そばにいてくれてたんやなっ!」

「あやめっちのそばにいたよーっ!」

「さよりんって、すごいーっ!」


さよりんの家に遊びに行った。

さよりんのママとパパも久しぶりの再会を喜んでくれた!

さよりんといっしょに手をつないでテムズ川のほとりを歩いた。

今日も空を見上げると、鳥さんたち、みんな仲良く空を飛んでいる。

川の上でも、鳥さんたちは仲良く気持ちよさそうに泳いでる。

「鳥さんたちは空を飛べるのに、川でも泳げてすごいよねーっ」

って、さよりんに言ってみた。

さよりんはボクのことをギュッと優しく抱きしめてくれて

「鳥さんたちみたいに、あやめっちといっしょに空を飛んでみたいよねっ!」

って言ってる。

「そうだよねーっ!さよりんといっしょに空を飛びたいよねっ!」


それから、ロンドン動物園にいっしょに行った。

大英博物館に行って、夜はミュージカルを観に行った。


「さよりんって、なんで離れてるのに、ボクのそばにいられるん?」

「なんでなんやろな?あやめっちのことをめっちゃ好きやからなんかな?」

「最初の頃はパリの幼稚園にも、いっしょに着いて来てくれてたやろ?」

「うんっ!マーリアちゃんとも会った...」

「オルセー美術館では、いっしょに絵も見てたしな~」

「そやな~!」

「金閣寺にまで来れるやなんて...凄いな~!さよりんって」


「でもな、こうやって、しゃべったりするのは、実際に会わな、出来へんからな~」

「そうやな~」


「でも、さよりんなら、離れてても、いっしょにしゃべれそうやな~」

「いや、たぶん、それは、めっちゃ高度なことやと思うで」

「そやろな」

「うちなんて、まだまだ、とてもそこまで出来へんと思うわ」

「そうなんや~」


夜は、さよりんの部屋で、いっしょに手をつないで寝た。

「さよりんは春から2年生になるん?」

「そうやで~。あやめっちは、まだまだ幼稚園やろ?」

「うんっ!あと2年間は幼稚園!」

「あやめっち小学生になる頃は、うちは4年生やな~」

「そやな~」


朝になって

「うちもパリにいっしょに行きたいな~」

って、さよりん言うので、パリに帰る時に、さよりんもいっしょにパリに来た。


ルーブル美術館に行った。

セーヌ川の遊覧船にいっしょに乗って、パリの街をながめた。

エッフェル塔のよく見える丘に登った。


「マーリアちゃんとも会いたいな~」

って、さよりん言うから、マーリアちゃんに連絡をして、3人で会うことにした。

オルセー美術館で待ち合わせをした。


「あーっ!マーリアちゃん来たーっ」

って、さよりん叫んだ。


「あーっ!さよりん!はじめまして...」

マーリアちゃんは、ボクたちのところに来て、さよりんにあいさつした。


「おたがいに知ってるんだけどね~」

「そうやな~」


「さよりんもマーリアちゃんも、2人とも凄いな~」

「そうかな?」

「そやろか?」


「さよりんとマーリアちゃんだったからこそ、離れてた時でも会えてるんやで~」


「さよりんは離れてても相手のところに行ける能力」

「マーリアちゃんは、そういう子を見ること出来る能力」


「やっぱり2人とも凄い。2人なら離れていても会話出来るからなあ。ボクには、そういう能力ないから。でも、これからは、さよりんのことを感じられる能力を身につけていこうかなーっ!」

「そうそう!訓練あるのみっ!」

「やっぱ訓練なん?」

「あとは愛!」

「愛?」

って、さよりんに聞いてみた。

「相手を愛する気持ちを持つと~、より強く感じられるようになるのかも...」

「ふぅ~ん...愛なのかっ」


それからオルセー美術館の「ヴィーナス誕生」の絵のところに3人で行った。

「やっぱり、この絵いいよね~」

3人で、実際にいっしょに見てることを実感するために、みんなで手をつないで、しばらく絵を見ていた。


オルセー美術館の学芸員の可愛いお姉さん、3人のところにやって来た。

「みんな、このヴィーナスの絵、好きなんですね~?」

「はいっ!オルセー美術館の中でも、いちばん好きなのかもしれません」

ってボクは答えた。


「わたしも好きですよ~」

って、学芸員のお姉さんも言っている。


「マーリアちゃんのママとパパは、フェルメールさんの『真珠の耳飾りの少女』の絵を好きみたいなんだよ~っ!ねっ!マーリアちゃん!」

「うんっ!そうみたい...あの絵は、今どこにあるんですか?」

って、マーリアちゃんは学芸員のお姉さんに聞いていた。

「オランダのマウリッツハイス美術館ですね~!」

「オランダなんですかー?」

「フェルメールさんはオランダの画家ですからねっ」


それからみんなでマーリアちゃんの家に行った。

マーリアちゃんはマーリアちゃんのママに

「フェルメールさんの『真珠の耳飾りの絵』をみんなで見に行こうよーっ!」

って、お願いしていた。

「えーっ?絵を見に行きたいのーっ?」

「うんっ!」

「あの絵はオランダのデン・ハーグなのよねー!」

「行こうよー!」

「じゃあ、みんなで見に行くー?」

「やったあああ!」


マーリアちゃんのママと、みんなで、オランダのデン・ハーグに行くことになった。

アムステルダムの空港まで飛行機に乗って行った。そしてアムステルダムから電車で30分くらい乗ってデン・ハーグのマウリッツハイス美術館に行った。


『真珠の耳飾りの少女』の絵も飾ってあった。

マーリアちゃんのママは、いちばん喜んでて

「うわーっ!来て良かったわーっ!この絵、見れるなんてーっ!」

って言って感動している。

マーリアちゃんも、さよりんも

「きれいだねー」

「可愛いねー」

って言ってる。

ボクも、この絵を見れて

「可愛い表情だなあ~」

って思った。


フェルメールさんの故郷デルフトの風景画も展示されていた。

めっちゃきれいな風景画。


マーリアちゃんのママは、カタログとかポストカードとかも、いろいろ買っていた。


「あっ!そうだ!ついでにアムステルダムで、あの絵も見ておこう!」

って、マーリアちゃんのママは言った。


パリに戻る途中に、アムステルダムの美術館に行った。

マーリアちゃんのママは、みんなをフェルメールさんの『牛乳を注ぐ女』の絵のところに連れて行ってくれた。

「うわーっ!この絵も見ることできたわねーっ!」

って感動している。

「あとは、イレーヌちゃんの絵を見たいけど、チューリッヒだから、今日は無理かー」

「チューリッヒってドイツ?」

「うんっ!またいつか見に行けたら良いねー」


そして、みんなでまたパリに戻った。


さよりんは数日パリに滞在してロンドンに帰って行った。

「みんなと会えて良かったよー!いろんな絵も見に行けたし...どうもありがとうーっ!」

「さよりん、またねーっ!」

「あやめっちも、マーリアちゃんも、またねーっ!」

さよりんにとっても、ボクやマーリアちゃんにとっても、めっちゃ想い出になる良き春休み。

みんなでまた会えたら良いなーっ!

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