マーリアちゃんとさよりん

その次の日に幼稚園に行ってマーリアちゃんに会った時に

「さよりん、まだ、やっぱりボクのうしろに、いてくれてる~?」

って聞いてみた。

「うんっ!いつもいるよ~!あやめっちのことをいつも見ているよ!」


「さよりんはロンドンにいるんだけど、いつでもボクのことを見てくれているってことなんかな~?」

「そうみたいだよ~!あやめっちのことをめっちゃ好きみたい」


「えー!そうなんやー!」

「あやめっちの誕生した時から見てくれてるみたい!赤ちゃんの時から...」

「さよりんはロンドンで離れたところにいるのに、今もボクのこと見えてるのかなー?」

「さよりんには見えてるみたいだね!いつも、あやめっちのこと優しく見てるから...」

「じゃあ、離れてても大丈夫やな~」

「でも、さよりんは、あやめっちのことギュッて抱きしめたいみたいだよ」

「えっ?そうなの?」

「抱きしめられなくて、さびしいみたい」

「うわ~ん、そうなんや~」

「あと、直接しゃべれないから...」

「そうやな~」


日曜日に、マーリアちゃんといっしょにオルセー美術館に行った。

カバネルさんとブーグローさんっていう画家の「ヴィーナス誕生」の絵を好きなので。

「いいね~、ヴィーナス誕生」

「ほんまやな~、ヴィーナスはマーリアちゃんみたい」


「あっ、さよりんっ、ちょっとふくれてるみたいだよ」

「えっ?さよりん?」

「あやめっちのうしろで、ぷーって、ほっぺた、めっちゃふくらませてる...」

「あーっ!さよりんっ!...さよりんも、めっちゃヴィーナスみたい!」

「さよりん、プハッて笑ってる」

「よかった...」


「さよりんも、ヴィーナス誕生の絵を好きみたい」

「えっ?ほんま?」

「うんっ!今、あやめっちの横で、いっしょに絵を見ているよ」

「えーっ!さよりんっ!」

って、ボクは右を見たら

「さよりんは左側にいるよっ」

って、マーリアちゃんは教えてくれた。


「えっ?左側にいるの?」

ボクは左を向いて笑ってみた。


「さよりん、じっとヴィーナスの絵を見てる...」

「そうなんや!好きなんや!ヴィーナスさんのこと」


「さよりん、あやめっちの手を握ってるよ」

マーリアちゃんは教えてくれた。

ボクは、自分の左手をギュッと握ってみた。

なんとなくだけど、さよりんと手をつないだ時の感触を感じたような気した。


「さよりんっ、めっちゃ嬉しそう」

「よかった...」


「たぶん、さよりんは、あやめっちといっしょに、今、このヴィーナス誕生の絵を見れたから、この日の想い出を胸に、ロンドンに帰るみたい...」

マーリアちゃんに言われて

「えーっ!さよりんっ!帰っちゃうのー?」

って、ボクは、なんだかめっちゃさびしくなった。


「うんっ!さよりん、笑って、あやめっちに手をふっているよ」

「えーっ!うわ~ん!さよりんっ~!」


「さよりん、今、うしろからギュッと、あやめっちのことを抱きしめているよ」

「うえ~ん、さよりん~」


「さよりん、今、あやめっちにめっちゃ手をふってるよーっ!」

「えーーっ?」

ボクも後ろを向いて、めっちゃ手をふってみた。


「あーっ!だんだん、さよりんの姿、消えていってる...」

「うわーっ!さよりーんっ!またねーっ!」


それからは、幼稚園でも、さよりんの姿は見えなくなったらしい。

パリの幼稚園で、マーリアちゃんと仲良く過ごすことになった。


幼稚園の砂場でマーリアちゃんといっしょに、フランスのお城をよく作っている。

ボクのママはフランスの人だから、ボクもフランスは大好きだし、フランス風のお城も大好きなの。


幼稚園のすぐ近くには公園もあって、マーリアちゃんと公園に行って、色とりどりのお花を見ながら、芝生の上で2人で寝っ転がっている。


「なんだか、さよりんもいれて、3人で、この公園で遊びたいね~」

ってマーリアちゃんに言ったら、マーリアちゃんも

「そうだよね~」

って言ってくれた。


もしかして、また、さよりん、ボクたちのところに来てくれるかなあ~って期待していた。

でも、さよりんは、あらわれなくなった...


マーリアちゃんといっしょに、ロワール渓谷の古城に行ってみた。

フランスらしいお城いっぱいある。

大きな川の、あちらこちらに、きれいなお城いっぱい建てられてある。


夏に、マーリアちゃん一家と、ボクのママとパパといっしょに、みんなで日本の関西に旅行に行った。

うちのママとパパは、めちゃめちゃ日本のことを好きなので、どうしても、夏にまた関西に行きたくて行きたくて、しょうがなかったみたいだ。

マーリアちゃんにも関西を見せたくて、マーリアちゃん一家も誘って、みんなで関西に行くことになった。


パリから関西国際空港に到着した。

それから、大阪城、グリコのあたり、通天閣のへんをみんなでブラブラ歩いた。

タコ焼きも食べて、お好み焼きも食べた。

フランス人のママも

「大阪のミックスジュースはめっちゃ美味しいんやでーっ!」

って言うから、みんなで飲んでみたら

「うーわっ!ほんまやーっ!ほんまに、めっちゃ美味しいーっ!」

って思わず言ってもた。

「そやろーっ!なんでこんなに美味しいんやろなーっ?ママは、フルーツといっしょにミルクもミックスしてるとこなんちゃうかなあ~って思ってるんやけど...」

ってママは言っている。

「ふんふん...たしかにミルクの甘さとフルーツめっちゃミックスされてて良き味になってるような気するわーっ!」

ってボクも思った。

「マーリアちゃん、どう?」

って聞いてみたら

「めっちゃ美味しいよーっ!」

ってマーリアちゃんも言ってる。

マーリアちゃんのママとパパも

「美味しい!」

って言ってるから、大阪のミックスジュースは世界的にも、ほんまに美味しいんやなあ~。


それからUSJに行って遊んだ。

マーリアちゃんも、めっちゃ楽しんでいる。


次の日は、みんなで京都に行った。

大阪から京都に向かう阪急電車に乗った。

ママは

「阪急電車はママもパパもめっちゃ好きな電車で、電車の中で、すでに京都らしさを味わえる『京トレイン雅洛』も走っているから、これに乗ろう!」

って言って、みんなで乗ったら、ほんまに電車の中、めっちゃ京都らしかった。

「うーわっ!すごいーっ!」

ってマーリアちゃんも、マーリアちゃんのママもパパも感動している。


四条河原町から四条大橋を渡って、京都の街をみんなで散策した。

伏見稲荷の赤い鳥居は、めっちゃきれい!

マーリアちゃんといっしょに手をつないで走りぬけた。

金閣寺も、めちゃめちゃきれいだ!

バックの景色とも、めっちゃ合っている!


金閣寺を見ていたら

「あーっ!あやめっちのうしろに、さよりんいるよーっ!」

ってマーリアちゃんは言った。

「えーっ?ほんまにーっ?さよりん来てるのーっ?」

「うんっ!さよりん、あやめっちのうしろで、あやめっちのこと優しく抱きしめて立ってるよっ」

「うわーっ!さよりんーっ!」

マーリアちゃんにそう言われて、なんとなく背中に、さよりんの感触を感じたような気した。


「『ロンドンで、あやめっちのこと考えてたら、今、日本に行ってることを感じて、それで、もっと強く、あやめっちのこと、考えてたら、京都にまで来れちゃった...』って、さよりん言ってる」

「うわーっ!さよりん、すごいわーっ!」


それからボクを真ん中にして、右手にマーリアちゃん、左手にさよりんと手をつないで、京都の街を歩いていた。


しばらくして、さよりんはマーリアちゃんに

「じゃあロンドンに帰るね」

って言ったみたいで、マーリアちゃんはボクに

「さよりんロンドンに帰るって言ってるよ...」

って教えてくれた。


ボクは

「さよりん、またねーっ!来てくれて、ありがとうーっ!」

って、さよりんに言った。

マーリアちゃんは

「さよりんも笑って『またねーっ!』って言ってるよ」

って。







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