第9話「小さな街と小さな異変」

 私たちが長く歩き、辿り着いたところは小さな街だった。

 

 まるでRPGゲームからそっくりそのまま出てきたような、私が想像していた小さな街だった。


 中世ヨーロッパの匂い。

 

 実際では感じられないけど、そんな気がする。

 

 しかし。

 

 そこでもやはり、“時空の歪み”が生じていた。

 

 小さな街は中世ヨーロッパの装いのはずなのに、私がいる時代ーーつまり現代にありそうなものが沢山置かれていた。

 

 例えば、自販機。

 

 水道。

 

 ドアベル。

 

 「この街でも、やはり“時空の歪み”が……」

 

 カエサルが唸ると、「え? “時空の歪み”?」とスパイダーマンが首を傾げる。

 

 「あ、二人はまだ知らなかったよね。この時代、ある人曰く、この時代も時空が歪んでいるみたいなの」

 

 「この時代も? ということは、俺たちの時代も時空が歪んでいるのか?」

 

 天道がそう言うと、私は頷く。

 

 「で、その“時空の歪み”を解消するためには、ある人の存在が必要になってくるわけ」

 

 「ある人?」とスパイダーマンが首を傾げる。

 

 「でもまあ、そのある人を探す為にこうして旅をしているわけど……、全然見つからないわけ」

 

 私が不満げに言う。

 

 すると、どこからか声が聞こえる。

 

 「……これだからイマドキの若者は……。しょうがないから、一つヒントを教えてるよ」

 

 そう言い、謎の人物はコホンと空咳をする。

 

 「ズバリ、“その人によってすべて仕組まれていた”ことなのです!」

 

 自信気に答え、その後声が聞こえなくなる。

 

 (その人によってすべて仕組まれていたこと……。どういう意味なんだろ……)

 

 私は暫し、思考の海に耽った。

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拝啓、目を覚ましたら見知らぬ世界にいました。 青冬夏 @lgm_manalar_writer

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