第8話「喋ったあああああああ‼」

 「よし、着いたぞ」

 

 カエサルがブレーキを踏み、周囲の状況を確認して車から降りる。

 

 ーーカエサル……、こんなにも運転が荒っぽいだなんて……。

 

 カエサルの運転の荒っぽさに体力を(勝手に)消耗していると、またも敵らしき人物たちに囲まれる。

 

 「ちょちょちょちょちょ……」

 

 慌てて車から降り、腰を少し落として臨戦態勢を取る。

 

 「私に任せろ」

 

 スパイダーマンが言うと、「まずは決め台詞だな」とも言って腰を深く下ろす。

 

 ーーあれ、またこの音楽……。

 

 「地獄からの使者! スパイダーマ……」

 

 最後のンが聞き取れないまま、彼は敵をバッタバッタを倒していく。

 

 ーーおお、やるときはやるじゃん。


 そう思っていると、私の目の前に敵が襲いかかる。

 

 (よっと)

 

 相手の腕を掴み、背負い投げを決める。相手が倒れるズシーンという音がなかなか良かった。

 

 「数が多い!」

 

 カエサルが戦いながら言う。

 

 確かに、周囲を見渡す限り敵がまだまだ続いており、一体いつまで戦い続けなければならないのか、分からなかった。

 

 ーー少しだけ絶望をしている、その時だった。

 

 ピチューン。

 

 (え? 今の音は何?)

 

 戦う手を止めて不思議に思っていると、天から声が聞こえた。

 

 「お婆ちゃんが言っていた……。君たちが望みさえすれば、この世界、いやこの時代は救われる」

 

 そして、天から徐々に下りてくると、やがて私たちを囲っていた敵がすべていなくなる。

 

 頭がカブトの形をしたスーツを身に纏う男が近づいてくる。

 

 「あ、ありがとうございます」

 

 私が礼を述べると、そこにいたのはイケメンがいた。

 

 (ちょっと待ってー‼ イケメンじゃーん‼)

 

 思わず惚れてしまう風貌は、まさに私好みの男だった。

 

 「名前は何というのです?」

 

 カエサルが言う。

 

 「……天道総司。母から貰った名前だ」

 

 (うわ……、見た目に反してこれ面倒臭い人じゃん)

 

 かっこよく言う天道に、私は少し気持ちを落ち込ませる。

 

 「行くぞ~」

 

 カエサルがそう言い、先を急ぐ。

 

 その後を、私たちがついて行った。


 天道も含めて。

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