第4話「発見‼」
先程の小さな村から数分歩く。
「疲れた~」
道端にあるベンチに私は腰掛ける。
ーーえ? ベンチ?
「わぁっ‼」
急いで立ち上がると、そこには『ペンキ塗り立て 座るな』と書かれていた。
(最悪・・・・・・。ってか、この時代にこんな物があるということは、相当時空が歪んでいるんだ・・・・・・)
内心、改めて時空の歪みを実感していると、カエサルがベンチを触ろうとしている。
「ちょっと、何触ろうとしているの」
私は慌ててカエサルの手を跳ね返す。
「え? 珍しいから触ろうと」
「ここ。よく見て」
そう言って、私は彼にベンチに貼られている紙を示す。
「ペンキ・・・・・・。ペンキ? なにそれ」
「あ、ガイウスは知らないよね。私たちの時代、つまり現代にある物。壁とかに色をつけたい時に使う物」
「そうなんだ。で、この座る物は」
「これは『ベンチ』って言うんだけど」
「これも、君の時代の物か?」
「そう」
「何だか、これ便利そうだし、道を造るのに置いたら役に立ちそう」
彼は顎を撫でながら言う。
「じゃ、行こっか」
私がそう言うと、道の奥から「待ってくれ~‼」と言う声が聞こえる。
その道の奥を見ると、ある男性がこちらに迫ってくる。
(え・・・・・・? さっきの男だし)
私たちは警戒してその男がやってくるのを待つ。
「何だ。俺たちを追ってきて」
カエサルがそう言うと、「一個、思い出したことがあって」と男が膝に手をつきながら言う。
思わず、私たちは顔を見合わせる。
「それって、本当?」
私は恐る恐るそう言うと、「そうだ」と言う。
「私こそが、君たちが探している“歴史上の特異点”となる人物だよ」
(・・・・・・この髭をボーボーに生やした男が、私たちが探す“歴史上の特異点”となる人物? 名前からもっと壮大な人物かと思ったけど・・・・・・)
「俺を、あのところへ連れて行ってくれ!」
男はそう頼み込んできた。
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