第40話「合宿編~出発」

…がさごそ


いよいよ明日は合宿もとい旅行に近い旅立ちだ。私今まで以上にわくわくしながら準備をしていた


服を中心にキャリーバッグに色々と詰める。おそらく雅先輩と桃子先輩も準備しているのだろう


ちなみに、新しく入った美優ちゃんは誘ってみたが残念ながら行けない。まあ彼女はバレー部のことがあるからそれが優先ってことね


ああいう真実を見る人がいたら面白いとは思うけどなあ…まあ仕方がないことは思う


そういえば…妙子ちゃんのことを思い出した。妙子ちゃん、彼女自身から告白されて、私も告白した。両思いで嬉しかった


それに部員は女性のみの4人。きっとどこかでいちゃつくようなことをするだろうか。それも楽しみで嬉しい


妙子ちゃんからの連絡も見る。ないということはきっと準備してるかお母さんと話しているんだろう


まあ少しだけ責任のある鍵を持ってくっていう立場だからそりゃ色々と言われているのかもしれない


しかし、きさらぎ駅とは言ったがあそこ…クトゥルフ神話TRPGだったり心霊スポットとしては有名な場所のような気がした


本当にあるのか?しかしここで妙子ちゃんのお母さん、辰子さんに違和感を感じる必要はないとは思った


本当にあって、聖域で、秘密厳守の場所ならきっと私たちが満足するような場所には違いないのだから


…ふう、だいたい荷造りは済んだかしら。キャリーバッグの蓋を閉じる…でも一応最後の確認はしておこう


またキャリーバッグの蓋を開けて確認。忘れ物。必要な物はあるかな


もちろんこの合宿は親とお兄ちゃんに伝えている。全員楽しんでこいと言われた。でもお兄ちゃんはどこか不思議そうな顔をしていた。まあきさらぎ駅だからね


一体なんだろうきさらぎ駅って。不思議に思いながら私は夜がふけるまで支度をした



朝起きた。っていうかあまり眠れなかった


まるで遠足の前日楽しみすぎて眠れない小学生のように私は眠れなかった。うーんこの体質なんとかしないとね


特別眠くない。私は朝ご飯を食べて、いよいよ玄関に向かい、外に出ようとした。父と母、そしてお兄ちゃんが出迎えてくれる


「愛子、気を付けてね」


「旅行、楽しんでこいよ」


「愛子。きさらぎ駅とは面白いのだろうから周りの人に迷惑かけるなよ」


みんなが言ってくれた


「うん!みんな、行ってきます!」


私は勢いよく玄関の扉を開けて出る。そこには眩しい太陽と気温。夏の始まりを告げる環境だった。私は家を出て、待ち合わせに向かう


ばたん


「…愛子、なんだか楽しそう」


「そうだな。今まで以上に楽しんで行くのでは?」


「俺は心配は全くいらないとは思う」



バスを乗り継いて電車へ。最初は…えーと東海道本線の駅か。なんだかきさらぎ駅というのはとある路線にいかないと行けないと聞いた


うーん。ずいぶんと電車賃かかるわね。そんなことは言ってられないので電車に乗ってそこへ向かう


しばらくその路線の電車に乗ってるとみんなが待ち合わせした駅に着く。そこで降りる


えーと先輩たちは…


「愛子ー!」


そこ声で反応する。改札口の手前に雅先輩、桃子先輩、そして妙子ちゃんがいた


雅先輩はスリムな服装。桃子先輩は可愛らしい服装。妙子ちゃんはシンプルな服装をしていた。いつも制服だからこういうのは新鮮だ


私は妙子ちゃんのようなシンプルな服装なので先輩の服装はほんとうにいいなとは思った


「ごめんなさい先輩!それと妙子ちゃん!後輩である私が最後なんて!」


「…いいのよ。全然気にしてないわ」


先輩である妙子ちゃんが言う


「で、妙子さん。ここからは改札口を出て違う改札口へと向かうんですよね?」


桃子先輩が妙子ちゃんの顔を見て言う


「…そうよ。ウチについてきて」


妙子ちゃんを先頭に私たちは進むことになる


その駅の改札口を離れてちょっと歩く。すると今度はまた駅が現れた。木造建築の、その駅が


「…何ここ?」


そんな私の声を無視したのか妙子ちゃんはすたすたとその駅にはいっていく


「妙子!お金必要なの?」


「…いらないわよ。改札口を通って駅構内に行くわ」


お金がいらない電車?初めて聞くし一体どういうことだろう?


みんなとともに駅構内に入る。すると一本の電車が止まっているではないか。これがきさらぎ駅へ向かう電車?


「これに乗るわ」


妙子ちゃんはためらいなしでその電車に乗る。私たちもその電車に乗った


窓際の席に座ると、電車は何もアナウンスせずに扉が閉められて、ゆっくりと動き、発車した


この電車がきさらぎ駅へ向かう電車…!?もしかして何かあるのだろうか…


窓際を見ると草原、田んぼ、森林と通って私たちは座ってそこへ向かっている


「ね、ねえ妙子ちゃん…これがきさらぎ駅へ向かうの?」


「そう。本当に関係者以外は動いたりしない。そしてあの構内も電車なんか止まらない。隠された駅なのよ」


じゃあ私たちは関係者だから電車があって動いているのか…


「なんだか選ばれしものみたいで嬉しいわね~!」


「わたくしも選ばれてるなんて思うと気分が高揚しちゃいます」


雅先輩と桃子先輩は嬉しそうに言う。ということは私もその一人なのか


途中トンネルに入った。一瞬だけ暗くなる。そしてその次の景色は、畑と田んぼが広がる、壮大な場所だった


「あら。そろそろきさらぎ駅だわ」


「え!?もう!?」


そう言うと電車のアナウンスが聞こえた


「…次はきさらぎ駅。きさらぎ駅。乗っている皆さん。きさらぎを楽しんでくださいませ」


…これは私たちのみに向けたアナウンス?そういうふうに聞こえた


電車は駅に入るとゆっくりと止まり、やがて停車した。そしてドアが開いた


「おいでみんな。まずは駅を出ましょう」


また妙子ちゃん先頭に電車から出る


その駅構内とはシンプルだ。屋根があり、木造の柱があり、何も改札口もない。いわゆる無人駅と言っていい場所だった


「…駅に出るとお迎えの車があるわ」


私たちは駅を出ると周りは草原の場所についた。まるで人なんか住んでなさそうなイメージだ


しかしアスファルト舗装はしっかりしてる。そこがちょっと不思議だった


駅の眼の前には車がいて、人がいた。もしかしてあの車はお迎えの車なのだろう


妙子ちゃんはその人に近寄る


「…運転手さん。来たわ」


「ははっ!辰子様の命令により別荘まで送ります!」


…意外と辰子さんって部下をいっぱい持ってる人なのだろうか


私たちは車に乗る。助手席に妙子ちゃん。あとの後部座席は私たち3人だ。荷物は全部後ろに乗せる


黒くてでかく、まだ乗れそうなこの車。まるで違う場所から持ってきたみたいな車だった


「…運転手さん。暇だったんでしょ?」


「ええ。久しぶりの辰子さんからの指示。私は嬉しい限りですよ」


運転手さんは笑顔で言う。このひとは普通の人間っぽいが、きさらぎに住んでいるのだから違うのかしら?


いつの間にかアスファルト舗装された道から砂利道になっていた。しかしあまり振動はない


車から乗って10分ぐらいでその別荘に着いた。ここなんだ


車は止まり、着いたことを確認すると妙子ちゃんから先に出て、その次にみんなで外に出た


「…大きいわね」


雅先輩はポツリという


「妙子様。2泊3日の予定でしたら最終日の午前中に向かいます」


「ええ。任せたわ。あなたもありがとう」


「では!楽しんでくださいませ!」


運転手さんはドアを開いて運転席に座ると去っていった。でもあの運転手さん…どうも…普通の人間ではないような…


「…どうしたの愛子?入るわよ?」


「あ、ごめん妙子ちゃん」


私たち4人その別荘に入ろうとする



これから始まるのはなんだろうか?


とても楽しみである



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刺戟的オカルト部!~もっと人生を刺戟ありの人生にする!~ 緑樹ユグ @yugu1120

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