第39話「合宿編~事前準備」

ミーンミンミン…


夏が始まった。それと同時に夏休みも始まった。私は終業式を終えると教室に戻り、担任の話を聞いていた


高校生の夏休みなんてずっとあるけどそこまで宿題は出されない。せいぜい補講と言ったものがあるが、私はその対象ではない


もしかして雅先輩がその対象になってたら困るものだ。あのひと何度もいうが頭が悪いため赤点を取ってないか心配だ


私の恋人妙子ちゃんは大丈夫っぽいが、とにかく心配なのは雅先輩。なんとか頭を下げて補講はなしにしてもらいたわね


「…では!よい夏休みを!」


担任の号令でいよいよ夏休みとなる。私は早速席を立ってオカルト部の場所へ向かおうとした


「おーい。愛子」


その声はすぐにわかった。雅先輩と桃子先輩だった。私の信頼する先輩。もちろん妙子ちゃんも信頼している


私は教室を出て2人のそばにいく


「先輩たちお疲れ様です。ホームルーム終わりましたよね?」


「はい。もう終わってますよ」


桃子先輩はニコニコしながらいう


「ところで雅先輩…補講、ないですよね?」


一応心配事をいう。すると雅先輩は笑顔になっていう


「大丈夫よ~!赤点一切なかったから!おかげで成績も伸びたし!このことは家族にも褒めてくれそうな成績だったのよ!」


…それなら安心だろう


「先輩、妙子ちゃんは?」


「うん?妙子はどこでしょうね?どこかにいると思うわ」


どこ…仮にも私の恋人だからわからないのはちょっとなあ


「でさ、聞いて愛子。私たち、合宿したいと思っているのよ!」


…部活動の合宿?


「合宿ですか。いいですね!誰にいうんです?」


「もちろん顧問の先生よ!早速いきましょう!」


私たちは妙子ちゃんは置いて顧問の佐々木先生に向かおうとしていた



「…え?合宿したい?だめだよ」


職員室で私と雅先輩と桃子先輩は佐々木先生の机にいた。先生はだめだと言われた


「えー!先生私たちの活躍をよく見てるでしょー!なんでだめなんですか!」


「確かに聞くと結構な頻度で活躍してるのは聞いてるけど、合宿だって言ってもそんなほいほいお金が出てくるわけじゃないんだよ」


お金、かあ…


「じゃあわたくしたちで合宿するのは可能ですか?」


「そりゃ…いいけど」


「ちぇー。佐々木先生のケチ」


雅先輩は聞こえないような声でぼそっと罵倒する


…というわけで職員室を出た私たち。せっかくの楽しそうな気持ちが薄れてしまった


しかし先生が言ったが私たちのみでの合宿ならOKとは言ってた。しかしそんなことできるのだろうか?


「私たちなら良いとは言ったわよね?」


「そうですね。でも…わたくしでも合宿するお金というのは出してくれるか…」


「先輩。私も同感です」


うーん…すっかり悩んでしまう私たち。すると誰かの声がした


「…あら?みんな職員室前でどうしたの?」


その声で向く。そこには私の恋人、妙子ちゃんがいた


「妙子ちゃん!」


「あら妙子。さっき会わなかったけど?」


妙子ちゃんはスマホを持ってこちらに来た


「ちょっとママと連絡してたのよ。あとパパもいて今日は家にいるって話をしただけ」


へえ。あの忙しそうな2人が家にいるなんて


「ところでどうしたの?」


おっと、妙子ちゃんに話しておかなきゃいけないことがあった


「実はね妙子。私たちオカルト部で合宿したいと思っているの。でも佐々木先生に断られてしまって…どうしようか考えてたとこなのよ」


雅先輩がいうと妙子ちゃんはすぐに答えた


「…そうなの。ウチ、実は合宿するところにピッタリな場所、あるわ。当然ママの許可が必要なんだけど」


合宿するところに良い場所がある?


「妙子ちゃん…そこ、どこなの?」


「詳しいことはママに聞いたらいいわ。ただ、そこは秘密厳守の土地であって、一般人は行けない…いわば聖域なの」


この日本に聖域なんてところがあるとは


「みんな時間あるわよね?全員でウチの家にいきましょう。これは全員で許可されないとだめだから」


「わかったわ妙子」


「わたくしも行きます」


「妙子ちゃん、どこまでも行くよ」


全員がそう言うと妙子ちゃんはニヤリとした


「…OK。なら早速ウチの家にいきましょう」


私たちは学校から離れて妙子ちゃんの家に行く



電車、バスを乗り継いで妙子ちゃんの家に行く。そういえば妙子ちゃんの家は私たちが恋人同士になってすぐに行ったなあ


そして何事もなく妙子ちゃんの家に着いた。相変わらずでかい家である。妙子ちゃんを先頭に玄関のドアを開けた


「ママー。帰ったわよー」


「おじゃまします」


妙子ちゃんの声で聞こえたのか、リビングのほうからお母さんが顔を覗かせた。辰子さんだった


「おかえり妙子。あら?愛子の他にいるわね?」


「はじめまして雅といいます」


「わたくしは桃子といいます」


その名前でわかったのか辰子さんは笑顔になる


「あら。オカルト部の仲間ね?いつも妙子がお世話になってるわ。あがってちょうだい」


そう言って私たちは玄関を上がり、リビングへと向かう


リビングにはすでに妙子ちゃんのお父さんもいた。4人で来たからちょっと驚く


「おや?こんな美人な子たちが来たなんて」


まあお父さんのことは置いといて、辰子さんは早速私たちにジュースを用意してくれた


辰子さんも座り、話しかける


「愛子、雅、桃子、いつも妙子のことをありがとう。話を聞いてると結構除霊もしたりして活躍してるじゃない」


「いやー…そんな大したことないですけどねー…」


雅先輩は照れくさい顔をする


「本題になるわ。ママ、私たちオカルト部の合宿って意味でママが建てた別荘に行きたいの。あそこなら色々あると思うし」


妙子ちゃんがいうとお母さんとお父さんは顔を見合わせたあと、いう


「そうなの?いいじゃない?むしろ、私の建てた別荘は貴女たちに刺激になってとてもいいと思うの。ただし…」


「ただし?」


なにかあるだろうか


「あそこはね。聖域って言って一般人には近寄れない場所。なおかつそこを知られるとマスコミやパパラッチが来て大変な騒ぎになるの。秘密厳守ならそこに行ってもいいわ」


…聖域。秘密厳守。どういう場所なのかしら


「どうやって、行くんですか?」


「簡単よ。電車で静岡県方面に行って、そこできさらぎ駅方面に乗り換えるの。そしてその方面に行ったらきさらぎ駅に着く」


きさらぎ駅って聞いたことあるような


「そこはね。色々な人間、特に都市伝説的生物がいて、全員が優しくて霊感がある人が見える。そんな人間型生き物がいるの。危害はないわ」


都市伝説…そこにいたのか


「それらも秘密を守ってくれれば別荘の鍵を持って行っていいわよ」


「わかりました。秘密を守ります」


私がいうと雅先輩も桃子先輩もこくりとうなずいていた


「よし!じゃあ日程が決まったら妙子に鍵渡しておくから、あとは貴女たちが行動しなさい」


「あそこは面白いところだぞ。行ったってだけで自慢になるからな」


面白い。聖域。一体どういうところだろう。今から楽しみで仕方がないわね



きさらぎ駅の場所


今すごく楽しみである


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